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世界で最も愛されるお菓子・チョコレート。その甘さの裏には、苦い真実がある。
カカオ生産の現場で横行する児童労働の実態や、巨大企業・政府の腐敗。今なお続く「哀しみの歴史」を気鋭の女性ジャーナリストが危険をおかして取材した、「真実」の重みが胸を打つノンフィクション。
カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない
世界最大のカカオ豆の輸出国、コートジボワール。密林奥深くの村を訪れたカナダ人ジャーナリストのキャロル・オフは、カカオ農園で働く子供たちに出会う。子供たちは自分たちが育てた豆から何が作られるのかを知らない。自分に課された過酷な労働が、先進国の人々が愛するお菓子であることも、チョコレートが何なのかさえも。
マヤ・アステカの時代に始まるチョコレートの魅惑の歴史。そのなかで生まれ、今なお続いている、過酷な「児童労働」の実態と、巨大企業や政府の腐敗。その背景にある貧困と民族間対立。そして私たち先進国の消費者の行動は、この問題にどう関わっているのか?
本書は、この“世界で最も愛されるお菓子”の裏にある「苦い真実」を、さまざまな角度から明らかにする。
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Posted by ブクログ
斎藤幸平『人新世の「資本論」』にて、資本主義による成長の代償を後進国がおっかぶるという主張があったが、チョコレート産業におけるそれを見た。
先進国の都合でカカオの生産地にされた挙げ句、市場価格の暴落により貧困にあえぐ人々。奴隷同然の扱いを受けタダ働きさせられる子供たち。
私達はそれらの人々を犠牲にして、100円のチョコレートを当たり前のように食べている。
そして、原料のカカオを作っている人々は、カカオがどうなるのか知らず、チョコレートを見たことすらない。
これは過去ではなく、現代の話である。
資本主義経済における世界の歪さを思い知った。
自分が何ができるかは分からないが、この現実を意識しながら生きていきたいと思う。
Posted by ブクログ
チョコレートの原料のカカオ豆。古くから歴史があり疲労回復の食物として重宝され通貨の代わりにもなっていた。コロンブスがカカオをスペインへ持ち帰り、イギリスがスペインからジャマイカを獲得してからカカオの生産拠点としてキャドバリー社はチョコレート会社として発展する。
20世紀初頭、カカオの生産にはすでに奴隷制度が関わっていることを、クエーカー企業でさえ目をつぶってきた事実。アメリカ資本主義の欺瞞がここに。
アメリカのハーシー社はもともとはキャラメルを製造していたが、創業者はキャドバリー社の製造を参考にし、アメリカでチョコレート産業が花開く。雇用を促進し、住居を確保し、孤児院までつくる優良企業に発展するが、従業員のストライキの憂き目にも合う。
主にコートジボワールでの子供奴隷による生産の話が中心だが、近隣のマリやブルキナファソからの出稼ぎ労働者をコートジボワールが排斥し、近年の内戦でさらに混乱するという現状も語られる。
この問題の根が深いのは、コートジボアールの児童労働だけれではなく近隣のさらに貧国から仕事を求めてカカオ産業を目指すこと、よって国は利権のために安い労働力を求め、弱者が搾取されることは止めようがなく、そして結局、西アフリカ全体の貧困の問題ということに立ち戻ってしまうということだ。
大麻もコーヒーもカカオも嗜好性の高いものほど外貨を稼げるがゆえに発展途上国にとってみれば金のなる木に見えることだろう。
大麻なら倫理的な問題もあるが、コーヒーよりもさらにポピュラーなカカオ、なんといってもチョコレートは子供から大人まで需要がある。
日本も貧しい時代は子供を働きに出すというのは珍しいことではなかっただろうが(富岡日記ではなく、あゝ野麦峠のイメージ)そこで今の時代に、個人がなにを選択するのかということを考えると途方に暮れる。
個人的にはチョコレートが好物というわけではないのだが、カカオの生産がコートジボワールの児童奴隷によるもので、その恩恵を世界が受け取っているのであればもはやチョコレートを口にすることに罪悪感を持たずにはいられない。
(なお、読後に調べたところ、日本のチョコレートメーカーのカカオの仕入れ先はガーナが中心である。ガーナについてはこの本には全くの情報がない)
Posted by ブクログ
カカオ農園で働く子供はそれが何になるか知らない。
コートジボワールに行けば自転車が買えると隣国マリやブルキナファソから来た子供はだまされてカカオ農園で働かされるが給料をもらえることもなく搾取されている。穀物メジャーのカーギルやADMが買い付け、製菓メーカーがチョコレートを作る。児童労働を禁じる法律に対して製菓メーカーは調査をしぶり、見ないふりをする。
子供達を働かせる農家も儲かっている訳ではなく、カカオの集配人は私兵に賄賂をせびられ、カカオ公社は権力と結びつき輸出した代金は闇に消える。
チョコレートを食べる人が責任を感じる事はないが、真実は苦い。
Posted by ブクログ
原料のカカオ豆を栽培する子供たちと
それを食べる先進国の子供たちとの間には
どれだけ 深い溝があるのか・・
ショックを受けました。
働かないと生きていけない世界。
過酷な労働をしても 賃金が無い
または人身売買のような状態で つれて来られて働かされていたり・・
さらに恐ろしいのは、その状況を作り出しているのは
その豆を製造・加工・消費する
先進国の私達自身だということ・・
自分が口にするものについて
ここまで無知だったことを恥ずかしいと思いました。
「カカオ豆を収穫する手とチョコレートの包み紙を開ける手の間の溝が埋められるためには?」
という著者の言葉に、
今は何も答えられないほど、呆然としています。
Posted by ブクログ
キャロル・オフ氏は、カナダのウィニペグ生まれ、1981年にウェスタン・オンタリオ大学(英文学専攻)卒、CBCテレビの国際報道記者として活躍したジャーナリスト。旧ユーゴスラビアやアフリカの紛争、難民問題、グローバル資本主義の闇、児童労働などの国際的な社会問題を取り上げたノンフィクションを多数執筆。ジェミニ賞(カナダの優れた報道・ドキュメンタリー番組に贈られる賞)、B.C.ノンフィクション賞(カナダ最大級のノンフィクション文学賞)等受賞。
本書は、チョコレート産業の裏に潜む「苦い真実」を告発するノンフィクションで、原書は『BITTER CHOCOLATE:Investigating the Dark Side of the World Most Seductive Sweet(苦いチョコレート:世界で最も魅惑的な甘味の暗黒面を調査する』(2006年)。
私は、国際紛争などを含む、国際的な社会問題に関心があり、これまでも数多のノンフィクション物を読んできて、本書も題名は知っていた(因みに、英治出版にはこの種のテーマの良書が多数ある)が、今般新古書店でたまたま見つけ、手に取った。
主な内容は以下である。
◆西アフリカのコートジボアールのカカオ農園では、多くの子供たちが過酷な労働をさせられているが、彼らはそのカカオが何になるのかも知らず、当然ながらチョコレートを食べたこともない。
◆カカオの起源は、古代マヤ・アステカ文明に遡り、当時は神聖な飲み物とされていたが、その後、植民地支配と奴隷制度を通じて欧米に広がるとともに、富と権力の象徴となり、同時に搾取の対象となっていった。
◆更に、資本主義のグローバル化が進展すると、カカオ産業は多国籍企業に支配されるようになり、現地の労働者に利益が落ちることはなく、他方、児童労働や人身売買、政府と企業の癒着、内戦の資金源化、告発者への圧力などの問題が発生している。
◆フェアトレードは、認証コストが高く、小規模事業者には現実的な選択肢とはなりにくく、また、フェアトレード企業も大企業に吸収されるなど、制度は形骸化している。
◆先進国のチョコレート消費者は無意識にこの問題に加担していることを知ることが必要である。
一通りページを繰って、チョコレートの搾取構造の実態と、それがなぜ長く続き、また覆い隠されてしまうのかが、非常によくわかった。そして、コーヒー、サトウキビ、たばこ等の、主に嗜好品といわれる国際産品というのは、大なり小なり似た構造を持っていることにも気付いた。
ただ、一つ疑問に思ったのは、チョコレート産業がそれほどの魅力あるビジネスなのかということだったが、読後に調べたところ、世界のチョコレート市場の規模は10兆円以上(うち、日本は1兆円弱)で、利益率が高く(板チョコ1枚の価格のうち、カカオ農家に渡るのは数%以下という)、かつ、ゴディバのような高級ブランドが作るブランド価値、ネスレのような多国籍企業によるグローバルな供給網に支えられた、巨大な利益を生む、安定したグローバルビジネスであることがわかった。
私は、現在の世界の究極的な問題の一つは、行き過ぎた資本主義だと考えている(そのほかの問題は、生命工学、人工知能等である)。物理的なフロンティアが消滅した現代(宇宙を新たなフロンティアと考えるのは早計)においては、資本主義は基本的にパイの奪い合いでしかない。この問題を解決するには、各人が過大な物欲・金銭欲を抑えるしかなく、この基本的な考え方において、私は、斎藤公平氏のいう「脱成長」に賛同している。
私は、バレンタインにチョコを贈ることや、自分へのご褒美に高級チョコを買うことを、否定するつもりはないが、せめて、そのときに、アフリカの子供たちを思い出すこと、そして、何か自分にできることはないのかを考えることが、第一歩になると思うのだ。
(2025年10月了)
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