山本一郎のレビュー一覧
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音楽と映画のエンタメ系と電子書籍が中心ではありますが、デジタル化されたコンテンツビジネスが既存のビジネスといかに戦い、あるいは戦わずして既存ビジネスを駆逐していったかがまとめられており、非常に示唆に富む内容です。アメリカ市場の話ではありますが、デジタルコンテンツと高速回線によるインターネットがいかに破壊的なテクノロジーだったのか、破壊的なテクノロジーが環境や市場をどのように変えていくのか、という点は日本も同じ。音楽ではAKBの握手券や投票券商法、ジャニーズの特典商法、書籍では雑誌と漫画を軸にした取次による流通網の整備、という日本独自のマーケティングや商習慣は、毀誉褒貶あるものの逆にすごいなーと
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Posted by ブクログ
竿竹屋調のサブタイトルが挑発的な切込隊長の新書。前半は、よくある第二次世界大戦の敗戦と現在の企業経営/政治運営の失敗を比較して「よく似てるよねー」という話と、ピーターの法則の話。最終的には「一億総専門家目指して、お互いに尊敬し合いながら前に進めばいいんじゃないの?」と毒にも薬にもならない結論に落としていて、切れ味が今一。むしろ、あとがきの「リーダーシップとは、何が正しいのかをとことん考え、それを人に説明すること」という話の方が説得力があり、こちらの線で本を書いた方が良かったのではないかと思う。新書向けの文章ではあるが、Blog でお馴染の洒脱な筆致も控え目ながらも楽しめる。
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Posted by ブクログ
・日露戦争の成功体験で勘違いした日本軍が太平洋戦争で痛い目にあった歴史から、高度経済成長の成功が忘れられず、近年のグローバル化などのパラダイムシフトに対応できずにいることが、失われた20年の原因なのではという話は、面白いけど、割とよく聞く話でそれほど意外性はない気もする。
・本書の大半は、一般論(上記の日露戦争と太平洋戦争のアナロジーやピーターの法則など)と、著者の専門のコンテンツ系ビジネスの裏話(パチンコ台への展開を計算してのアニメ製作など)で占められ、副題の「日本ではなぜバカだけが出世するのか?」という釣り文句にはあまり答えていない気がするのだけど、釣りだから仕方ないのかも。 -
Posted by ブクログ
幅広い話題がいっしょくたに語られていて、正直理解できているとは到底言えないのだが、とりあえず本書の一つのテーマである、「トップが無能である」理由については、本文中で言及されているピーターの法則で説明が尽きていると思う。
トップになり、それより上がなくなると、さらなる上になるためのビジョンが思い描けなくなることなのだろう。
課長なり、部長なりといった明確な目標を描いて、そのためのステップを講じてくることができた人も、社長となると、ゴールの見えない曖昧な目標を抱えたまま、次のステップを定めることができず、長期的に合理的な行動はとれなくなる、ということなのだろう。
一方、もう一つのテーマである