川瀬一馬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
鴨長明の感覚に共感する。
たどり着いた行き方・考え方に、とても穏やかなものを感じる。
最後の結びの章の謙虚さ、自己を冷静に見つめる姿勢にも静かな誠実さを感じる。
文章もわかりやすく流麗で素晴らしい。
短いが、日本が誇る素晴らしい文学作品だ。
2017.3.12
久しぶりに読んだ。
非常に短くわかりやすい。
心の平穏、ささやかで穏やかな生活にたどり着いた長明は、それまでにずいぶん苦しみを味わったことだろう。
だからこそ、この境地に至ったのだろうね。
2002.1.4
とても読み易い。短いし、段ごとで完結しているような感じで、すっとなじめる。ものすごく悲観的だけれど。俗世間の良い面は一切 -
Posted by ブクログ
ネタバレ■物狂
物ぐるいのまねぐらい申楽能でおもしろい芸能はない。物ぐるいの種類は多方面にわたるから、これが上手くやれるような達者のものは、結局なんでも上手にやれるわけだ。そこでくり返し工夫がいる稽古である。物のけが付いて狂わせるもの、例えば、神仏・生霊・死霊のたたりなどは、その付いているものの姿をまねてやれば、やりやすい手がかりがあるというものだ。ところが、親に別れ、子を訪ね、夫に捨てられ、妻に後れるというような、人情の悩みが原因で狂乱する物狂いは難しい。相当程度にうまい役者も、狂乱する原因が何かということをしかと突きとめないで、どれもこれも同じく通り一遍に狂いはたらいて見せるので、一向に見物人の感 -
Posted by ブクログ
どんな人に同じく感動をもたらすこと、それが芸能
ずーっと、存在はわかっていて読みたいなーと思っていて手を付けていなかった本を、読みました。
パンセの時と同様、これは多くの人に読まれるための文章ではないので、こうやって公になってしまって観阿弥さんもかわいそうと感じてしまいます。秘すればこそ花なのに。
ご存知、能についての教えの本でありますが、現代芸能と照らし合わせてあれこれ考えさせられることとなりました。
「十七八より
このころはまた、あまりの大事にて、稽古多からず。まづ声変りぬれば、第一の花失せたり。」
で声変わりの時期には一切の歌手活動を控えていた三浦大知さんが浮かんだり
「三 -
Posted by ブクログ
せっかくの丁寧な解説や現代語訳にもかからわず、私にはちょっと難解でした。
ですが、演技論や「花」に関する記述は面白く、演劇や芸術活動をしている人にとっては、もっと面白いのではないかと思います。
世阿弥の著作だとばかり思っていましたが、お父さんの観阿弥の主張を世阿弥が書き留めたものだそう。さらに面白いことには、ずっと秘伝にされていたもので、発見されたのは近代なんだそう。秘伝書ですからねぇ・・。ってことは、この本のようにとても面白い、すごい本が秘されたまま世に出ずに、その権利をもった人だけに語り継がれている、という本もたくさんあるのでしょうね。
まさに「秘すれば花」か。
この本についで『隠れた