宮澤伊織のレビュー一覧
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長谷敏司「10万人のテリー」
下永聖高「猿が出る」
星野之宣「雷鳴」
理山貞二「折り紙衛星の伝説」
草上仁「スピアボーイ」
円城塔「∅」
堀晃「再生」
田丸雅智「ホーム列車」
宮内悠介「薄ければ薄いほど」
矢部嵩「教室」
伴名練「一蓮托掌(R・×・ラ×ァ×ィ)」
三崎亜記「緊急自爆装置」
諸星大二郎「加奈の失踪」
遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」
高島雄哉「わたしを数える」
オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」
酉島伝法「環刑錮」
宮澤伊織「神々の歩法」(第6回創元SF短編賞受賞作)
SF?とは言い難い気がしますが「再生」は面白かったかな。「わたしを数える」も電脳空間でお菊さんが皿を数えるイメージがなんか好きです。 -
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豊穣な年だったようですが個人的には期待値ほどではありませんでした。やっぱり国産SFと相性がわるいのかもしれません?
[○]長谷敏司「10万人のテリー」/カードゲームのレアカードのデータに人格を分割コピーしたオーバーマンが世界大会でデータが集まり甦った。世界の命運を賭けたゲームがいま始まる。《ゲームみたいな悪役がいれば、世界がゲームみたいになると思わない?》p.26。シンプルで三十分アニメにしたら楽しそうです。
[△]下永聖高「猿が出る」視覚に猿があらわれしだいに進化していくのと同時に恋人との仲が進展し結婚、娘が生まれる。
[○]星野之宣「雷鳴」恐竜があの巨体でなぜつぶれなかったのかというのは昔から疑問に思っていましたがそのひとつの案ですね。『星を継ぐもの』では月がまだ衛星でなく地球の自転がめっちゃ速かったからという説で面白かったのですがそれより現実的かも。
[△]理山貞二「折り紙衛星の伝説」《それなら自分は、と彼は思う。墜ちない機体を作ろう。金星の空をいつまでも飛び続けられる飛行機を作ろう。》p.119。しずかに淡々と。
[△]草上仁「スピアボーイ」名を馳せたロートルカウボーイが自信満々な若者の挑戦を受けて・・・という構図の西部劇。馬ではなくジェット推進で飛翔する回遊魚のような生物スピアを駆るスピアボーイですが。
[△]円城塔「Φ」宇宙、言葉、自己、一文字ずつ。
[△]堀晃「再生」不整脈の手術、宇宙の構造。
[△]田丸雅智「ホーム列車」大阪環状線を利用しているとときおりホームの方が走ってもええんとちゃう? とか思うことがあります。あと、駅のホームがひとつなががりになってたり、あるいは全部の列車がひとつながりになって動いてもええかも(それはムービングウォークか)とか考えることがあります。そんなお話。
[△]宮内悠介「薄ければ薄いほど」《自己存在を限りなく薄めたその最果てに、自己の不滅があるのだと》p.271
[▽]矢部嵩「教室」とある日の教室の風景。
[▽]伴名練「一蓮托生(R・×・ラ×ァ×イ)」双子はなんでもまっぷたつにしちゃう。
[△]三崎亜記「緊急自爆装置」市民には自爆する権利があるがお役所的にはなかなかたいへん。《業務を円滑に遂行する上では、抜本的な解決能力ではなく、調整能力の方が重要である。》p.327。このくらいのナンセンス度が読者の現実感を喪失させるのにちょうどいい感じですね。星新一さんっぽい読後感も。
[△]諸星大二郎「加奈の失踪」なんか不自然なセリフと思っていたら・・・びっくり。
[△]遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」論文っぽい形の小説。純文学系では評論っぽい小説はときおり見かけますがSFと科学論文は相性よさそうでほんとうにありそうな気がしてきますね、恐怖の谷と恍惚の峰。そしてそれを利用しようとするあるいは利用してきた何ものかも。
[○]高島雄哉「わたしを数える」人間が数えるという機能を失った後もお菊さんは数え続けていた。《数えることは確認することなんだ。》p.378
[○]オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」ガンダムSEEDのコーディネーターと地球のような関係の中で亡命を成功させる逃がし屋。SFはまず特異なあるいは興味惹かれる設定が重要で基本的に馴染みのない世界なのでやはりストレートな物語性があり魅力的なキャラクタが出るといいですね。あと思いがけない展開と。尖ってるだけでは読みにくい。「トリノホシ」は持ってるはずですがPS2が壊れたのでまったくプレイできてない・・・
[▽]西島伝法「環刑錮」うにゅうにゅうにゅ。《自身の脳もまた牢獄なのだ。》p.468
[△]宮澤伊織「神々の歩法」既視感がありました。いろいろ考えて、ウルトラマン? と思ったときかつてこの続編のような話を読んだことを思い出しました。調べたら「草原のサンタ・ムエルテ」という作品でした。そこで触れられていたかつての事件を読めたということでしょう。ニーナと船長は『ケロロ軍曹』のアリサとネブラの感じ。最後に出てきた兵器は「鉄血のオルフェンズ」でバルバトスを貫いたヤツや他でも似たようなのを知ってるような気がするという感じでどこかで見たような設定ではありますが普通に楽しめました。 -
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■個人的なメモ
[△]久永実木彦「一万年の午後」/ヒト絶滅後、一律なマ・フたち、聖典、宇宙の地図づくり、変化しないこと。
[▽]高山羽根子「ビースト・ストランディング」/ビースト挙げ競技、旧野球場。
[○]宮内悠介「ホテル・アースポート」/宇宙エレベーター、ホテル、殺人事件。
[△]加藤直之「SFと絵」/ゲーム「ディガンの魔石」以来ファンです。
[○]秋永真琴「ブラッド・ナイト・ノワール」/旧吸血鬼の「夜種」、人間は王族、ローマの休日、好みのキャラ、好みの設定、好みの会話。
[△]松崎有理「イヴの末裔たちの明日」/技術的失業、AI、ロボット、ベーシックインカム、治験、星新一さんっぽいオチ。
[△]吉田隆一「SFと音楽」/音楽SF案内。
[▽]倉田タカシ「生首」/生首落とし、半世紀ほど前の前衛的小説のようなレトロ感。
[△]宮澤伊織「草原のサンタ・ムエルテ」/異星人憑依型スーパーガール、戦闘サイボーグ部隊、死の概念。
[▽]堀晃「10月2日を過ぎても」/大阪市内中を自転車で走っているので馴染みの地名や風景ばかりですが・・・ -
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GENESIS(創元日本アンソロジー)シリーズが今回の五集目で最後になるという。いや~、実にもったいない、このシリーズとても気に入っていたのになぁ~。特に、表紙の絵(カシワイ作)が好きで毎回楽しみにしていた。まあ、社の方針だからしょうがないのかもしれないけど。私以外の人にはあまり好評ではなかったのだろうか。売り上げも伸びなかったのかな。
最近、帯の呼び込み文句が派手なものが多く、ちょっとこの傾向を懸念していたのだが、この本も首を傾げた。「日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編」って、ちょっと誇大広告でしょう。この6人のうち3人(宮澤・水見・空木)しか知らない。私も最近のSFを勉強してきたつもりだが、それでも勉強し足りないという事なのだろうか。他の3人は実際に牽引した、しているのだろうか、疑問です。しかも、水見稜なんてだいぶ古い世代だし、最近作品を執筆していたのだろうか。そして、裏の帯を見たら「ベテランから日本SFの未来を担う新鋭まで、6人の作家が集結!」だって。ベテランは水見稜のことだが、他の5人は日本SFの未来を担ってくれるのでしょうか?もし本当だったら今後も頑張って欲しいです。
6作品の中で一番高評価だったのが、空木春宵「さよならも言えない」だ。服飾局という設定が話の中核をなし、服装が物事の価値判断の中心となる設定。少々偏った設定というのがSFや伝奇小説にとっては都合が良い。近未来社会と言ってしまえば何でももっともらしく話を展開できる。つまりアイディアが一つありさえすれば、文章構成力がある作家であれば素晴らしい作品を大量生産できるという訳だ。作家と読者のwin-win関係は長く続くだろう。今後も空木春宵には期待している。
その次、二番目の評価は、水見稜「星から来た宴」。懐メロみたいな作品で、すんなり体の中に染み入っていった。昔だったら、幼稚な作品だなと思っていたかもしれなかったが、久々に読んだタイプの作品でもあるためが新鮮に感じた。逆に、この様な作品は現代の若者、現代のSFファンに受け入れられるのか少々疑問である。Z世代とか令和時代の意見を聞いてみたいものだ。もしかしたらコメントすら出ないのではないか。
三番目の評価は、笹原千波「風になるにはまだ」。さすが第13回創元SF短編賞を受賞されるだけのことはある。体の共有化という設定は目新しいものではないが、共有感覚が妙に生々しい、感覚を表現する言葉のセンスも小気味よいのには将来性を感じる。また作品を出すなら是非読んでみたい。 -
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おもしろいシリーズだから愉しみ
最初に大好きな堀晃作品を読んだ。土地勘あるからスラスラ読める。堀さんの近況報告みたいなものかな。
最も楽しみにしていた久永作品を最後におき、順番に読む。高山羽根子作品は最初から乗り切れずパス。宮内悠介作品はミステリー感覚て肩透かし。秋永麻琴作品がとても楽しかったぞ。これ別作品も読みたいってことで発見のワクワク感で持ち直す。松崎有理さくひんは少しトーンダウンて、次の生首って作品はさっぱり乗り切れずに少しコーヒータイム。
リフレッシュ後の宮澤伊織作品は、これまた秋永作品同様にアクションつぽくてとても良かった。これも発見だ。アンソロジーはこれが醍醐味。
満を持して久永実木彦作品を!と思ったら既読だったよ。ちゃんちゃん。