小倉ヒラクのレビュー一覧

  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    伝統に自分も担い手として参加しているだけで生きる活力が湧いてきそうだ。そもそも自分で決めた道だと覚悟を持って伝統と向き合う人が日本には多くいたはずで、それが徐々に減ってきているのは周知の事実。少子化、後継ぎ問題、儲からない、需要が減った等の様々な理由があるだろう。絶滅してしまわようにしなくてはならないなと読んで感じた。
    それにしてもガダマーで藤井風を解釈する人と見たことないし、この二人がなぜ伝統の話で出てくるのか読まないと本当に分からない。
    アリストテレス的だと『不適切にもほどがある!』を解釈するのも飛躍してて楽しい。

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    2026年09月21日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    噛み砕いて面白おかしく説明されているので、発酵の面白さを教養として知っておくためにすごくよかった。
    様々な製品や地域によって、生産者が工夫してここまで発達しているのだと思うと奥が深かった。
    発酵食品が体にもたらす影響についてもう少し詳しく知りたかったため、他の本なども読んでみようと思う

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    2026年08月20日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    好著。ヒラクくん、さすが。
    発酵を文化人類学の手法で解明し、
    地域に根ざす発酵産品に光を与える。

    気持ちよいな。

    発酵デパートメント行かなきゃ。

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    2026年07月08日
  • 日本発酵紀行

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    まだまだ発酵ブーム中。

    私的2冊目の小倉ヒラクさんは、
    「日本発酵紀行」。
    2019年に開催された日本の発酵文化を再発見するという趣旨の展覧会がきっかけになり生まれた本書。
    小倉さんがその展示のために47都道府県の発酵文化を調査する旅のさなか、制作チーム宛に送っていた旅のメモと写真がもとになって、副産物的に出版されたらしい。

    紀行文とあるだけに、前回読んだ「発酵文化人類学」にはなかった、なんとも言えないエモさがある。

    Podcastなどで拝聴する独特な口調、ことばの言い回しから、経歴だけでなくそのチャーミングなお人柄は存じあげていた。
    匂いや音、手触りなど、さまざまな五感に訴える直感的にわかりやすい表現が多いのは、ラジオの発話の中でも面白いなーと思っていたのだが、その上でここまで情の乗った繊細で温度感のある美しい文章を書かれる人だったとは!
    小倉ヒラクさんの新たな一面に驚きながら読み進めた。

    私にとっては「ラジオただいま発酵中」の復習になるエピソードもたくさんあって、さらに、これまた情感を誘う素敵な写真があったりして、日本全国を旅しながら日本全国の発酵食品を淡々と紹介していく…ちょっとすると飽きてしまってもおかしくないフォーマットなんだけど、どれも本当に興味深い。

    特に第七章のヤマクロ醤油、木桶のムーブメントからのあれこれな話は、耳で聞いていた以上の臨場感、耳で聞いていた以上に乗っかってくる情報の量にも質にも圧倒された。

      山本さんたちの活動を見ていると、歴史を「神の視点」で見ることが恥ずかしくなってくる。神様のように世界を見下ろして「世界の流れは必然的にこうなるであろう」と預言者ぶって、アンタ誰だよ?(159頁)

      時代は常に「自分込み」で動いている。流れは「起きる」だけではなく「起こす」こともできる。そのためには、まず地面に降りてくる。一人から始める。始めたことを仲間とシェアする。そのプロセスを楽しむことこそが「今を生きる」ということだ。
    (159頁-160頁)

    ここの部分は、年を重ねたからこそ世の中を俯瞰してはつい無気力になりがちな自分に喝を入れられたような、痛気持ちよさをもって読んだ。

    また、酒と醤油の対比(白と黒、若さと熟成など)から語られるダブルスタンダードな日本の美意識についても、そんなに多くはない自分の経験からくる点と点が繋がるような目まぐるしいダイナミズムに心を掴まれた。

    この年になるまで日本文化に占める大きな割合の中に「発酵」があることも知らなかったし、生きることと食べること、食と文化の不可分性に向き合ったことがなかった。
    自分史的発酵ブームには、この新たな扉の向こうにある未知の世界の大きさに比例して、たぶん続くだろう。

    …ウチの本棚、
    小倉ヒラクさんの書籍がどんどん増えていきそうな予感がする。

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    2026年06月24日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    発酵業界ではすでに著名人である小倉ヒラクさんの最新作。良い意味で書名から受ける印象とは違う読後感を持った。
    いきなりプラトンとアリストテレスの違いから「伝統」との関わりが問題提起される。とても興味深いし面白い。
    古今東西の巨人の肩に乗りながらも、小倉さんのフィールドに引き寄せて、ご自身の言葉で語っておられるところがとても自然体で好印象だった。

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    2026年06月05日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    発酵食品の専門家が伝統に向かい合う中で、伝統との付き合い方を提案してくる内容。
    伝統とは何かを哲学や歴史、工学や芸術などあらゆる点から著者の主観で受け取った内容を共有してくれる。
    視点が広がる一方で主張が強めな為、いーや俺はこう考えるね。と反論を考えながら読むことを楽しめた。

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    2026年04月12日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    発酵×地域文化で発酵文化人類学。それぞれの地域の風土に併せてどんな発酵文化が生まれてきたのか少しマクロ的に教えてくれる。そして発酵の基礎についてもかなりの紙幅が割かれている。

    過去からの技術や知識の体系を追ってみると、なぜそんなことができたのか?と不思議に思うことが多々ある。キノコの可食判定もそうだし、フグの肝の糟漬もそうだけど、たくさんの犠牲なしには成り立たなそうだ。発酵もそのひとつ。目に見えない微生物の働きをどう技術として習得して生活文化にしてきたのか。もはや先人への尊敬しかない。

    現代では工業化された発酵がほとんどで自分で漬物も漬けなくなったし味噌も作らなくなった。発酵と腐敗を区別せずに安全の名のもとに手作りの梅干しも売れなくなると聞く。もっと発酵のことを知らないと文化も知識も失われ、化学式で表される工業的な発酵しか残らなくなるのでは?と危惧してしまう。

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    2025年04月29日
  • アジア発酵紀行

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    かなりエキセントリックでアナーキーな発酵道を足でかせいでることが発酵というフェーズだけではない厚みを生み出している。
    政治的であり、歴史的であり、宗教的であり、人情でもある。
    発酵とはトレンドではなく、人が生きる営みなんだということがわかる。必要だから発酵があり、見えない発酵が、その文化が醸されていったのたろう。
    麹と糀。茶の道。酒。宗教。
    何をとっても面白い。

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    2024年11月08日
  • 日本発酵紀行

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    写真が使われ読みやすい。
    そして、かなりニッチな発酵の文化に足を踏み入れているので、とても興味深い内容だと思う。
    日本に生まれたことを誇りに思うほど、日本の発酵はレイヤーが多様である。
    この辺り、どうにか、面白がり、その面白がりをつなげていくしかないなと感じる。

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    2024年10月31日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    発酵×文化人類学!?
    最初びっくりしたが、読んで納得。

    それぞれの地方で獲れる食材と、その場所で生きている菌類を、人間があれこれ工夫して活動させて生まれたのが発酵食品なのだから、文化的な営みでもあるというわけだ。
    ブリコラージュ(レヴィストロース)とか、贈与とかはまあ、お嫌いな方は読み飛ばしてもよろし。
    独特な文体(「~であるのだよ」)で、軽々と、ジャンルの垣根を飛び越して、面白さを伝えていく。
    「正直詳しくないんだけど…」と思いながら読み始めたが、こういうビギナー読者にもやさしい本だ。

    発酵はたしかに、今やちょっとした社会現象だ。
    身の回りをふりかえると、塩麴、甘酒のブームが来ているから、その実感はある。
    レトロ志向なのかと思っていたが、ムーヴメントとしてはずいぶん幅広いようだ。
    そのことを教えてもらえたのは第6章末の「発行ムーブメントの見取り図」。
    菌類の遺伝子を編集する、バイオイノベーションが盛んになっているというのだ。
    一瞬、頭の中のイメージがくるっと回ってめまいがした。

    冷静に考えてみれば、人間に有用な発酵菌なのだから、そういう方向に進めようと思う人がいて当然だ。
    が、何か抵抗感があるのはなぜだろう…。

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    2023年04月09日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    【カビとともに生きるロマン】

    柑橘類には緑のカビ
    いちごには毛(?)の長い白黒のふさふさしたカビ
    メロンは黒斑のカビ
    うんうん、カビって生えるものとの相性があるよね。
    おもしろいよねー。

    昔、酵母汚染!という主張に関わることがあって
    そのとき初めて酵母や乳酸菌のこと調べて
    実際問題、酵母や乳酸は味方にするととても心強く
    そして逆に敵とみると超やべえやつ
    という知識があった。
    だって当たり前に存在するものですよ。
    それを人間の生きる環境下から除去するって、
    …how?

    発酵と腐敗は同じもので、
    要は人間がその状態をよしとするかどうかであって。
    ちなみに確か乳酸菌数の上限値縛りがあるのは
    浅漬だけだったかな、そんなんもあるみたい。

    発酵すてき!
    やっぱロマンがある。
    手前味噌文化にふれたい!
    …味噌スープ、うちの娘大好きなのよ。
    みそから一緒につくったら絶対楽しいよねとか。

    自然界からもらい受け、利用し、共生し、…
    というか生かされてるよね。
    というのを改めて本書で感じました。
    ありがたや。
    そして発酵文化を生業とするの、うらやましい。
    厳しいだろうけどロマンがある!



    パイナップルを切りました。
    2日後に食べたらシュワシュワするよー
    さて発酵か腐敗かどっちかな?

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    2023年01月24日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    これに感化されてもやしもんが気になっている。表紙が可愛くて手に取っただけだったが、単なる発酵の仕組みを学ぶような本ではなく、人間と自然の関わり等まさに人類学的な部分もあり、著者の一見バラバラに見える興味関心(デザイン・発酵・)が線でつながった様子は、まさにconnecting the dotsなのかな、と。

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    2022年08月16日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    親しみやすいユーモラスな文章。お酒に関する章、最終章が好みだった。最後まで読んだときに、タイトルが『発酵文化人類学』たる意味が深く理解できた。

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    2022年05月14日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    発酵文化人類学

    発酵の仕組みと文化人類学を初めて学ぶには、非常に良書。個人的には文化人類学に関しては既知情報が多かったが、発酵の仕組みを学ぶことができたのは面白かった。発酵とは、腐敗と紙一重の奇跡であり、人間の役に立つかで正否が決められている唯心論的なものであるという冒頭の一文は唸らせる。
    発酵とブリコロールのところでは、日本の農村の大豆の使い方の多様性に改めて驚かされる。農村では、米、大豆が主な収穫物であるが、大豆をもとにした醤油、味噌、豆腐、納豆、米をもとにした米麹や日本酒など、非常時にバラエティに富んでいる。豆腐の味噌汁なんでものは塩と大豆に工夫を凝らしたものにすぎないが、その工夫というのがまさに発酵なのである。発酵は保存の手段でもあるが、それを利用することで、バラエティの少ない食物から、彩り豊かな食卓を作る触媒でもある。発酵おそるべしである。
    なお、発酵とは、微生物を媒介とする人間と植物の輪の循環というのもいい得て妙だ。ここではマルセルモースの贈与論などが引かれているが、コミュニケーションとは常に過不足があり、永久機関のように回り続ける。贈答品のやり取りそのものに意味はなく、そのやり取りによって立ち上がる交流の輪にこそ意味がある。ここに、西洋哲学の基本概念である自由意思を持った個人の解体を見ることができるが、発酵とは、微生物を介した人間と植物、ひいては自然界のループの一つのブリッジにすぎない。そして、発酵を学ぶことで、我々もまた、大きな視野でみれば、チェーンの一つであるとも感じられる非常に大きな示唆があるのであった。
     後半は、日本酒、醤油、ワイン、味噌づくりなど多くの発酵食品を手掛ける若手の起業家に注目されていたが、現在、高級ブランド化している日本酒や醤油などは、ハイリスクハイリターンの製法で臨んでいるからこそ価値があるということがわかった。発酵は一歩間違えると腐敗となる。そのため、資本主義は加工や無菌室などをうまく使って腐敗が起きる可能性を減らしてきた。しかし、今のブランド化している日本酒や醤油などは、加工によって失われた薫りや味わいなどを求めて、一切加工しないものを志向している。これもまた面白い取り組みである。

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    2021年05月31日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    発酵が人類の生活を向上させている。しかし発酵と腐敗は表裏一体。人間がコントロールするためには未解明なこともたくさん。醸造家は微生物とのコミュニケーションしている。それを頂きながら醸造家とコミュニケーションする。生きる意味に踏み込めるテーマ。面白かった。

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    2021年03月07日
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

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    おもしろかった。かつて学んだ文化人類学がこんなふうに立ち上がってくるのはとても楽しい。特にPART2の風土と菌のブリコラージュは、著者の考え方が伝わってきて興味深く読めた。
    ただ、読みにくい。本書がおもしろくてわかりやすいこととは別である。ブログを元にしているということだからか、体系的ではなく(そこは著者も冒頭で述べている)、見出しがないのも難点だろう。大文字が見出しかと思いきや違ったり、所々に1行空きが挿入されるのもブログの名残りか。図と文章の連携も甘く、これは著者のせいというよりは編集者のせいとも言える。
    日本各地の醸造文化の紹介にはワクワクさせられる。続刊に期待!

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    2020年08月23日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    発酵の世界に飛び込んた元デザイナーの著者が、伝統を大文字の伝統と小文字の伝統に分け、小文字の伝統にフォーカスしその歴史と現状を哲学的なアプローチもしながら、その魅力と価値を紐解く。失われてつつある「つくることの伝承」(小文字の伝統)を守っていくには、自分たちの意志による選択が問われていることであることを常に意識したいと思う。

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    2026年09月23日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    縦横無尽と言えば聞こえはいいが、とにかくあっちこっちに話が飛ぶ

    もちろん「伝統」って何?ってところから始まって、題名にある「伝統とどう生きるか」のところに行き着くわけだが、この結びに行くためには、途中で読者にこの本が定義した「伝統」と一緒に生きた方がいいよ!というのを納得させないといけないわけだよね当然

    んで、そこのプロセスで、それこそ世界各地の事例や、哲学、文化人類学、民俗学、芸術などなどから引っ張ってくるんだけど、ほうほうなるほどと納得させられるものもあれば、え?そうなんか?とちょっと違和感を感じるものまで様々

    楽しく興味深い話もたくさんあった一方でわいはちょっと散らかってるような印象やったんよね

    そしてあらためて思ったのが、みなさんのレビューよ
    みんなほんとうまいことまとめるな〜って
    まぁ半分以上は備忘録的意味合いで書いてらっしゃるのかな

    わいなんか後でレビュー読み返しても、全く内容思い出せないもんな
    ノーヒントか!って腹立たしい時あるもん
    まぁ、それはそれでいいんだけど(いいなら言うなや!)

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    2026年08月15日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    ネタバレ

    総括

    問題提起

    本書のテーマ
    プロローグの「選択肢そのものがなくなり、自分たちの伝統を失う危機なのです」という問題提起。
    のほほんとされているいつもの文体は控えめに、ギョッとさせるところから話は惹きつけられる。

    前著『発酵文化人類学』との比較

    前著の到達点
    前著『発酵文化人類学』は「発酵とは何か」を人類学的・生物学的に体系化した本。

    核心的な概念はレヴィ=ストロースのブリコラージュ。
    「手元にある限られた素材で問題を解決する」という思考が、発酵文化の本質と完全に一致することを著者は示した。
    マリノフスキーの贈与論、ベイトソンの生態系論まで展開し「発酵とは微生物と人間の贈与経済である」という結論にまで至る。

    前著の強みは一貫して具体から抽象へ向かう論理。
    味噌・すんき・碁石茶・くさやという具体的な発酵食品から出発し、文化人類学の概念へと展開する構造。

    本書について
    その前著の到達点を前提に、発酵文化論を3つの新しい領域に展開。

    ①歴史哲学へのガダマーの「地平融合」と「了解」
    ②経済思想へのハイエクの「自生的秩序」
    ③美学・社会論への民藝・岡本太郎・和辻哲郎

    前著でやり切ったブリコラージュ論を今回は意図的に使わず、ガダマー・ハイエクという異なる思想家を通じて発酵文化論を政治哲学・経済思想に展開した。
    それが本書の新しさ。
    だが、本書には惜しい点もある。


    本書の失敗点

    政治的文脈の持ち込み
    前著でやり切ったブリコラージュ論をより広い思想的文脈に発酵文化論を展開したが、その拡張の過程で政治的文脈を持ち込んだことが、本書の読者層の範囲を大幅に狭めた。

    著者が本当に言いたいことは、おそらく「弱い者の生存戦略としての伝統」という普遍的な問いであり、その問いにはイデオロギーは全く必要としない。
    政治的な怒りが、著者自身の最良の問いを覆い隠している。
    それが本書最大の失敗であり、惜しさ。

    著者の思考パターン
    ①弱さから生まれた伝統への共感
    ②その弱さを生み出した外圧への怒り
    ③外圧の象徴として帝国主義・大文字の権威の批判
    ④そして政治的な議論へ

    ナチス・ドイツと大日本帝国の並置
    ソ連vsナチスの対決構図
    植民地政策批判
    柳宗悦への過剰な批判

    いずれも「弱さから生まれた伝統」という普遍的なテーゼを、著者のいう「善悪二元論」による特定のイデオロギーだけの議論に変えてしまった。

    帝国主義は当時の西欧列強全体の問題であり、日韓併合を西欧の植民地政策と単純に同一視する歴史認識は不正確すぎる。
    また柳宗悦の「革命より文化」は植民地支配の黙認ではなく、暴力によらない相互理解という信念の表れであり、革命賛美は2つの「伝統」どちらにも矛盾する。
    しかも、岡本太郎は実際に革命を起こしたわけではなく、茶会に乗り込んで喧嘩したり、万博に塔を建てたりしただけ。

    著者の意図的な「逃げ道」
    ・「大多数ではないと思うが」という留保。
    ・政治的な立場を明言せずイデオロギーを滲ませる書き方。
    ・筆者の支持層と政治的な問題意識の両立を図った結果、どちらにも完全に踏み込まない中途半端な構造。

    第4章の構造的な破綻
    民藝・岡本太郎・フランス革命という豊かな素材があり、「他力」「プロセス」「個人」という面白い概念があったにもかかわらず、帝国主義批判が論理的に機能せず、発酵との関連性も最初の比喩で終わっている。
    柳宗悦と岡本太郎の対比も、歴史認識の単純化により根拠が弱い。

    ハイエクと小文字の伝統に対する矛盾
    第3章末尾の矛盾は最終的に完全には解消せず。
    ハイエクの自由市場は本質的に「競争による淘汰」を前提とする。
    著者が守りたい小文字の伝統は、自由市場の競争原理にさらされたからこそ消滅の危機に瀕している。
    この矛盾はハイエク自身も解決できなかった問題で、著者はその矛盾をそのまま引き受けてしまっている。

    削除すべき箇所
    政治的な文脈を退けると、論旨は格段に明確になり、読者の範囲や共感も大きく広がる。
    削除すべき箇所は以下の通り。

    第1章
    ・ナチス・ドイツと大日本帝国の並置による伝統の悪用の説明。
    ・本居宣長の国学による明治期の政治体制への批判。
    ・柳田國男・折口伸夫の植民地政策への加担の記述(ポストコロニアル批評に行きがち問題)。
    ・天皇制・血統への疑問。
    ・パレスチナ・イスラエル問題への言及。
    ・父親のWGIP論。

    第3章
    ・ソ連vsナチス・ドイツの対決構図の後半部分。

    第4章
    ・藤原辰史のナチス有機農業の引用と分析。
    ・柳宗悦の朝鮮独立運動への態度への批判。
    ・岡本太郎と革命に立ち上がる朝鮮人の対比。
    ・菊池和宏の社会論の長い説明。

    エピローグ
    「外からの強制介入により日本は南アジアのような社会になる」という予測。


    それでも本書は読む価値がある

    「弱さから生まれた伝統」というテーゼ。
    「〈手〉ロワール」という概念。
    パリの講演エピソード。
    鵜飼の「かたらい」という締めくくり。
    これらは著者にしか書けない内容であり、前著と合わせて読むことで発酵文化への理解が大きく深まる。

    この筆者の体験による「身体的メッセージ」をより多くの読者に届けるためにも、政治的文脈の整理という編集上の判断が惜しまれる。
    だからこそ講談社の今野正悦氏はなぜ今作に不必要な政治的思想を議論・熟考もせずに、そのまま執筆させてしまった(と思われる)のか。
    もっと丁寧に作って欲しかった。

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    2026年06月15日
  • 僕たちは伝統とどう生きるか

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    ネタバレ

    <目次>
    プロローグ あなたにとって、伝統とは何ですか?
    第1章   大文字の伝統と小文字の伝統
    第2章   「歴史」の誕生、さびしさの地平融合
    第3章   発酵~見えないものとつむぐ伝統
    第4章   民藝~つくることの伝承
    第5章   鵜飼~異なる存在と、風土を旅する
    エピローグ 向かい合うな、となり合え

    <内容>
    山梨県甲州市で、発酵食品のプロデュースをしている著者。全国、いや全世界を巡りながら、「伝統」と向かい合い、大きく変化している地球を考える。そのキーワードが「伝統」。もはやこのワードは死語に近いが、発酵以外に、民藝(柳宗悦)や鵜飼を元に、生きることを考える。

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    2026年06月13日