【感想・ネタバレ】日本発酵紀行のレビュー

あらすじ

元バックパッカーの小倉ヒラクが2018年夏から8カ月かけて全国の発酵の現場を訪ね歩いた旅行記。本書『日本発酵紀行』はD&DEPARTMENTが手がけるd47 MUSEUMの企画展「Fermentation Tourism Nipponー 発酵から再発見する日本の旅ー」の公式書籍として誕生しました。発酵を通して日本の文化の深層に出会い、今を見つめなおす旅の記録。醤油、味噌、酒といった日本のソウルフードだけでなく、お菓子、漬物、激レア激ウマ発酵食品までを隅々まで歩き出会い食べつくす!

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Posted by ブクログ

発酵デザイナー小倉ヒラクさんが、発酵をテーマに日本中を旅した記録。

発酵食品の種類が被らないこと、ルーツに忠実なこと、景色と人にフォーカスすることの3点から選定された各地の発酵文化の紹介。

多様な発酵文化を生み出した要因として、
1. .自然環境の不安定さと厳しさ。頻繁な食料不足が起きる環境で、今ある食材を保存食にする必要があったこと。
2.微生物的環境。温暖湿潤で、かつ土地によって気候風土に特徴のある日本列島に、様々な微生物が生息していること。
3.仏教による肉食の禁止。年中入手可能な家畜由来の動物性タンパク質が取れないので、旬のある植物性タンパク質を全ての時期で食べられるように工夫する必要があったこと。
を挙げる。

発酵と腐敗は、それぞれ人間の役に立つか、有害かで決まる。日本には、ニホンカビコウジという稲に好んで住む特殊な菌が存在する。それは、特徴的な旨みをつくり、穏やかでまろやかな甘みをうみ、他の乳酸菌、酵母、酢酸菌の媒体となる。それらから、調味料、漬物、お酒が造られる。

海の発酵では、旬を逃さず漁期に大量にとれる海の幸を有効利用するため、塩を使った発酵技術が進化した。
山の発酵では、塩がふんだんに使用できないため、植物由来の防菌作用や乳酸菌の酸味を活用した発酵技術が進化した。
街の発酵では、豊富な原材料で、酒や調味料が造られた。
島の発酵では、サバイバルの知恵として米以外の発酵文化が進化した。

すしの歴史は、魚醤・塩辛からはじまり、魚と塩と米を発酵させた鮒ずしや鯖寿司のようななれずしが誕生し、酢漬けのすし、酢飯に生の魚をのせた江戸前すしが誕生した。

北前船、樽廻船など、江戸時代には発酵食を運搬する海運ルートが開発され、発酵文化や発酵食の経済循環が発達した。

道具の発展と発酵文化では、醸造ビックバンを起こした木桶が紹介されている。ワインやウィスキーの樽よりも何倍も大きな木桶は、鉄のタガではなく、竹のタガが発明されことで、実現。そのことにより、三段階仕込みなど日本酒の作り方や生産性が大きく変化した。現在小豆島のヤマクロ醤油では、木桶技術の伝承に挑戦している。

地域別では、東海地方では、米をつかわず大豆のみで、2~3年の長期発酵による苦みとえぐみが特徴の岡崎の八丁味噌が紹介。大陸から伝来した味噌は、豆味噌であり、その原型にちかい味噌がつくられる。

近畿では、和歌山・湯浅の金山寺味噌が紹介。米、麦、味噌を全て使い、大陸の醤(じゃん)に近い文化が継承されている。京都・大原では、塩につよい、野菜に付着した野生の乳酸菌発酵を利用したしば漬けが紹介。大阪・守口では、そのままでは辛くて食べられないやせた土地で栽培された大根を、手に入りやすい酒粕に漬け込んだ守口漬けが紹介。

福島県・会津若松では、塩と米と麹を3:5:8の割合で混ぜた漬け床の三五八漬けが紹介。米がふんだんに使われているので、塩こうじよりも甘さの残る味わい。冨山県・射水では、イカスミを使った塩辛の黒づくりが紹介されている。

こうした優れた工夫は、なんでも自由に使うことができない不自由さから生まれた創造性だという。無からあるようにするという意志が生まれる。

最後に、日本とは、日本人とはという文章を紹介する。

クジラとともに生き、藍の葉で衣服を染め、イモに千の手間をかける。米に微生物をつけて、酒や調味料を醸す。それを杉と竹で作った巨大な岡に仕込み、国を動かす巨大な産業に育てた。山と海の恵みを塩につけ、野ブドウを酒に変え、隔絶された離島のなかでも素晴らしい食文化を作り出した。発酵文化は日本人の生きる原動力となった。


人々は自然の恵みをどう美味しく、そして長く保存するか、歴史の中で工夫をしてきた。そのおかげで、豊かな日本食文化が築かれてきたことを知れる、とても面白い本だった。

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

旅先や出張先でその土地の発酵文化を味わいたいなぁと思わせる一冊。

発酵はその土地で長く培われてきた知恵の蓄積だし、積み重ねられてきた歴史が詰まっているように思う。グローバルな流通システムが何らかの理由で途絶えたときに救ってくれるのは発酵なのではないかなと思う。農業や漁業とあわせて、発酵の大切さを感じさせてくれる一冊。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

写真が使われ読みやすい。
そして、かなりニッチな発酵の文化に足を踏み入れているので、とても興味深い内容だと思う。
日本に生まれたことを誇りに思うほど、日本の発酵はレイヤーが多様である。
この辺り、どうにか、面白がり、その面白がりをつなげていくしかないなと感じる。

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2024年10月31日

Posted by ブクログ

下北沢の「発酵デパート」のお店のヒラクさんの著書。
とてもマニアックな発酵食材の記録。

その土地土地で、冷蔵庫がない時代に食材をどうやって保存させるかその知恵によって作り出されている産物。

杉の木樽によって醸されている醤油醸造所は無くなって欲しくない



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2023年04月28日

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