三島邦弘のレビュー一覧
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「ぼくは日本一楽しい仕事をしている」といいきる三島さんの著書。
ミシマ社の設立から、城陽オフィスの設立、京都市内オフィスの設立まで。そして、ミシマガジンをめぐるドタバタ劇。
こんなに場当たり的な経営(といえるかも怪しい)なのに、こんなに明るくて、自身の思想をきちんと貫いているのは、三島さんほんとうにすごい。自分が生きていくうえでのいろんなことに対して、余白というか、未知の部分を持っているのはほんとうに大切。「不安定であること」をここまで楽しんでいるひとは、なかなかいないと思った。
読んだあとは、すがすがしい気分にさえなった。いい読書体験でした。 -
Posted by ブクログ
とても興味深く読んだ。というか、ものすごく共感しながら読んだ。
禅か武道かなんかで同じような概念があったような気がしないでもないけれど、言語と非言語の境目にある「あれ」が浮かび上がってくるような心持ちだった。
偶然なのかもしれないし、必然なのかもしれないけれど、同じ時期に読んでいた佐久間裕美子『ヒップな生活革命』も、アメリカでも同じような現象(と僕には読めた)が起こっていることをさまざまな角度から紹介していた。
これって一体どういうことやろう?「あれ」は日本っぽい考え方というか姿勢というか生き方かと思っていたけど、「あれ」の入り込む余地がないと思っていたアメリカでも日本と同じ流れにあるとは。 -
Posted by ブクログ
友人と今年上半期の芥川賞・直木賞が該当作無し、ということについて激論になったことがあります。そんなことで激するなよ、って感じのおっさん酒飲み話でお恥ずかしい限りですが「今の書店の苦境を考えれば作品の質とかの上から目線で話題を作る機会を逸するのは許せん!」というのが友人の主張で、自分の知っている出版社の経営者が「必ず年2回出すって必要ないんじゃないか?」って言ってたと伝えたら、だからダメなんだ!と怒られた訳です。失敗しました。でも本を愛する人は本屋さんが苦しんでいることを看過できないのだなぁ…と感じました。そういう意味では自分も一緒です。このちくまプリマー新書は若い世代に世の中の仕組みのことを先
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Posted by ブクログ
ミシマガサポーターをしているので、オフィスの移転は知ってはいたのですが、こんなに逡巡されていたとは・・・と驚きました。
城陽市から京都市内への移動は単に社屋の賃貸問題なのかと勝手に思っていたので。
自分自身がバスも電車も時刻表など気にしたことがなく(5分待たない)、それが当たり前だと思って育ちました。
現在は都内まで電車で1時間弱、最寄駅は無人駅という地方に暮らしています。時間によって最寄駅では自分しか乗降しないことも珍しくない暮らし。都内の職場から帰ってくると「しーん」と空気が澄んで心底ほっとします。
ただ、これは職場が都内で、その途中にも何でも揃う地方都市があるから成り立つ暮らしなのかと -
Posted by ブクログ
いまだ書かれぬ何かを感じ、編み、読み手に届けるのが編集者。その極意は「何もしない」を全身全霊で行うこと。
バブルのようなガツガツの熱さとは一線を画して、でも日々熱く過ごす。感覚的すぎて、支払いが危うくなったりもする。
幼い頃にもっていたはずの感覚を失っている、ということは、多くの人が感じることだろう。僕もそうだ。感覚を取り戻しながら言語化もすすめる。そんなことが出来るのだろうか。作家であればまた違うのだが、編集者とは、まず真っ白になる、「何もしない」を極めて見る、ということ。
本書でも触れられているが、電子書籍やらアプリやらが出版にのしかかってくると、出版社、編集者という存在 -
Posted by ブクログ
個性的な出版社、ミシマ社の代表の方のたどってきた道筋。
いいと思うことをちゃんとやってみて、問題に気付かない時間もくぐりつつ、
方向を変えながら動いていく。
地方に行くことも、京都に拠点を移すことも、
やってみないと分からないし、まずやってしまうことの方に意味がある。
サポーターに向けた商業ベースではない冊子の話が面白かった。
印刷所もまた、日頃できないけどやりたかったことがあるんだね。
出版・編集という仕事があるから、世にないものが世に出るのだと改めて思った。
「何もしない」に全身全霊をこめて取り組む仕事、間にいる人の消え方がプロの技。