三島邦弘のレビュー一覧
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「ぼくは日本一楽しい仕事をしている」といいきる三島さんの著書。
ミシマ社の設立から、城陽オフィスの設立、京都市内オフィスの設立まで。そして、ミシマガジンをめぐるドタバタ劇。
こんなに場当たり的な経営(といえるかも怪しい)なのに、こんなに明るくて、自身の思想をきちんと貫いているのは、三島さんほんとうにすごい。自分が生きていくうえでのいろんなことに対して、余白というか、未知の部分を持っているのはほんとうに大切。「不安定であること」をここまで楽しんでいるひとは、なかなかいないと思った。
読んだあとは、すがすがしい気分にさえなった。いい読書体験でした。 -
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とても興味深く読んだ。というか、ものすごく共感しながら読んだ。
禅か武道かなんかで同じような概念があったような気がしないでもないけれど、言語と非言語の境目にある「あれ」が浮かび上がってくるような心持ちだった。
偶然なのかもしれないし、必然なのかもしれないけれど、同じ時期に読んでいた佐久間裕美子『ヒップな生活革命』も、アメリカでも同じような現象(と僕には読めた)が起こっていることをさまざまな角度から紹介していた。
これって一体どういうことやろう?「あれ」は日本っぽい考え方というか姿勢というか生き方かと思っていたけど、「あれ」の入り込む余地がないと思っていたアメリカでも日本と同じ流れにあるとは。
この感覚、感覚というか、うーん、無駄な力が抜けた感じというか、仙人になった感じというか、この言いようのないものを言語化しようとする試みは、決して一言では言い表せない、本でしか表現できないことだと言えそうだ。 -
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友人と今年上半期の芥川賞・直木賞が該当作無し、ということについて激論になったことがあります。そんなことで激するなよ、って感じのおっさん酒飲み話でお恥ずかしい限りですが「今の書店の苦境を考えれば作品の質とかの上から目線で話題を作る機会を逸するのは許せん!」というのが友人の主張で、自分の知っている出版社の経営者が「必ず年2回出すって必要ないんじゃないか?」って言ってたと伝えたら、だからダメなんだ!と怒られた訳です。失敗しました。でも本を愛する人は本屋さんが苦しんでいることを看過できないのだなぁ…と感じました。そういう意味では自分も一緒です。このちくまプリマー新書は若い世代に世の中の仕組みのことを先輩たちが丁寧に教えてくれるシリーズで中高年にとっていい本が揃っています。この本棚にも何冊か。そしてミシマ社の本も何冊も登録しています。読んだ本はどれもが何かの優しさを持っていて、これ社長の想いの表れなのだと読みながら感じました。まさに「一冊入魂」。またパブリッシングは紙でもデジタルでも同じ、という今時の考え方ではなくあくまで手に取れる「モノ」クラフト作品と考えていることも納得できました。思い出すと読んだ本のどれもが権威主義的じゃなく、煽りがなく、そして重くなく(これ、実際の重量の話です。)なんか人肌の本ばっかりの印象です。でもそのやさしさの内には編集者の「おもしろマグマ」という熱いものがあることも納得しました。作者と読者、出版社と書店の間を繋ぐ清流として、ミシマ社のこれから、そしてそこから拡がる支流が希望だと思いました。
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ミシマガサポーターをしているので、オフィスの移転は知ってはいたのですが、こんなに逡巡されていたとは・・・と驚きました。
城陽市から京都市内への移動は単に社屋の賃貸問題なのかと勝手に思っていたので。
自分自身がバスも電車も時刻表など気にしたことがなく(5分待たない)、それが当たり前だと思って育ちました。
現在は都内まで電車で1時間弱、最寄駅は無人駅という地方に暮らしています。時間によって最寄駅では自分しか乗降しないことも珍しくない暮らし。都内の職場から帰ってくると「しーん」と空気が澄んで心底ほっとします。
ただ、これは職場が都内で、その途中にも何でも揃う地方都市があるから成り立つ暮らしなのかとも思っています。
なので三島さんが城陽から移動された理由にとても共感を覚えました。まっすぐ京都市内に落ち着かれた以上に、城陽市でのひとときが三島さんとミシマ社にもたらすものがあったのではないかと思います。試行錯誤を経て進むミシマ社のこれからがますます楽しみです。 -
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いまだ書かれぬ何かを感じ、編み、読み手に届けるのが編集者。その極意は「何もしない」を全身全霊で行うこと。
バブルのようなガツガツの熱さとは一線を画して、でも日々熱く過ごす。感覚的すぎて、支払いが危うくなったりもする。
幼い頃にもっていたはずの感覚を失っている、ということは、多くの人が感じることだろう。僕もそうだ。感覚を取り戻しながら言語化もすすめる。そんなことが出来るのだろうか。作家であればまた違うのだが、編集者とは、まず真っ白になる、「何もしない」を極めて見る、ということ。
本書でも触れられているが、電子書籍やらアプリやらが出版にのしかかってくると、出版社、編集者という存在が失われていく可能性がある。誰もが作家に、なんてのはけっこう辛いものがあって、それよりも失われそうな職能、ひいては感覚が、ほんとうにもったいない、というか怖い。というわけで、僕はミシマ社の本のファンである。 -
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有名なタランティーノの映画『パルプ・フィクション』
にかけたタイトルで、
これは何?!と古本市で手に取ったら、
気になっていた出版社・ミシマ社さんの
代表の三島邦弘さんの本だった!!
いや、タイトルズルい笑
でも読めば読むほど、
『パルプ・ノンフィクション』というタイトルが
ぴったりな本だということが分かりました。
出版社を創業するにあたって、
紙の原料となる「パルプ」は切っても切れない存在。
そして創業者の三島さんはとにかく「紙」への愛が半端なく、絶対に電子書籍は反対という信念のもと小さな出版社を立ち上げられた。
そんな、ある意味「紙フェチ」の
三島さんのノンフィクション奮闘記。
だから『パルプ・ノンフィクション』。
いや、ぴったりなの。
このタイトルは良すぎた笑
中身は正直にいうと、
様々な説明に対して「たとえ」が多くて余計に分かりにくいと思ってしまったり、
文体があまり好みでないところもあったり、
時系列が飛んだりするので「?」となってしまいました!
その上結構厚めのボリュームたっぷりの本なので、
流し読みも沢山してしまいました!
ごめんなさい!!
(私の体調不良が続いていたことも原因にあると思います!)
でもでも!
私も本は絶対紙派で、
本は中身だけではなく装丁も含め、
見た目が美しいと思う人なので、
三島さんの紙の本へのこだわりに、
全力で同意したい!!
そしてそんな創業者の方の出版される本は
やはりとても気になるので、
これからももっとミシマ社さんの本を手に取ってみようと思います!
書店さんがもっと利益を上げられるようなシステムを考えておられるところも本当に尊敬します。
そして印象に残った三島さんの考えは、
スマホもいつかタバコのように、
「こんな体に悪いものはやめよう!」的な
流れがいつか生まれるのではないかというところ。
タバコ全盛期には
現在のタバコのあり方を想像した人はいなかっただろうから、もしかしたらスマホだっていつかそうなるかもしれないという考えが好きだった。
昔は公共交通機関での喫煙はごく普通だったと思うけど、今はありえないですよね。
だから「地下鉄でスマホ?ありえない!」
という時代が来たら少し面白いなぁ、
と個人的に思いました!笑
そして最後に!
どうしてこの本は自社からではなく、
河出書房新社さんからだったのか、すごく気になりました!
何かこだわりがあったのだと思うけど、
私には全然読み取れなかったです!笑
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Posted by ブクログ
出版社を立ち上げた著者が、出版という仕事の実態と醍醐味と将来性を、入門者向けに余すところなく語った一冊。
本をつくるという営みに欠かせない「おもしろマグマ」。それをしっかりと意識し、育てていける人たちがいたからこそ、今の豊かな活字文化が存在しているのだし、これからもそういう人たちに支えられて、AIに取って代わられることのない、人間ならではの産業でありつづけると説く。
私もそう思う。前に、出版で働く知人がこの仕事をこう説明していたーー「面白がりながら、ちゃんとやる」。この言葉は刺さった。なにも出版業界に限らない。どんな仕事でも、面白がりながらちゃんとやることこそが、本人のやりがいとなるし、成果も上がる。面白がりながらちゃんとやれる仕事に出会えた人は幸せだ。いつからでも遅くない。いまから探しに行こう。 -
Posted by ブクログ
個性的な出版社、ミシマ社の代表の方のたどってきた道筋。
いいと思うことをちゃんとやってみて、問題に気付かない時間もくぐりつつ、
方向を変えながら動いていく。
地方に行くことも、京都に拠点を移すことも、
やってみないと分からないし、まずやってしまうことの方に意味がある。
サポーターに向けた商業ベースではない冊子の話が面白かった。
印刷所もまた、日頃できないけどやりたかったことがあるんだね。
出版・編集という仕事があるから、世にないものが世に出るのだと改めて思った。
「何もしない」に全身全霊をこめて取り組む仕事、間にいる人の消え方がプロの技。