宮内義彦のレビュー一覧
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宮内義彦氏は、平成実業界の屈指の経営者。野球好きであることはおそらく間違いないのだが、プロ野球界再編問題に揺れた時期に、当事者としてもオーナー側の重要な役割位置にいた人で、その人のオーラルヒストリーには、大変高い価値がある。松田耕平は故人だし、ナベツネも堤義明も重光昭夫もおそらく今後著書を出すことはないだろうから、オーナーから側の正史。一読せざるを得ない。
球団を買う、強くする、イチローが出てきて出ていく、失敗する、連覇する強豪になる、というところとか、自分語りはものすごく野球好きなおじいさん感出てて、(勝手に冷酷な人間だと思ってるけど)愛嬌がある、そこもまた凄み。
1935年生まれで出版時に89歳。手伝う人も多かろうが、この年でこれだけ書きたいものを書けるのは、やはり稀代の傑物。1リーグ化の構想と断念、夢の日本球界MLB参画計画など、この人は数値と論理に基づく大きなスケールの戦略を建て、その時期のキーパーソンと合意し、実行していくのがやはり異常に得意なのだなと納得。
(勝手に私が想像している)弟子の南場智子氏も日本一を達成した。今後は彼女を中心に、プロ野球界を発展させてほしい。 -
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20170821宮内義彦 私の経営論-1 最高傑作!
何より世俗の流行り論に迎合しないのが良い
社外取締役に学者・公務員・士族は不適性 知識があっても経営がないから
「長期の成長」が唯一の経営課題 そのためには「イノベーション」
既存事業から面白い種を見つける 人材と資金手当をしつつ成長させる
上手くいかないものは断念トップの決断
その中から事業レベルになる 成長の過程で、シナジー・スキル獲得
「M&A」は難しくもう一つ 国内でも大変、海外は慎重に
「内向き」「管理」はトップの仕事でない この20年日本は間違えてきた
バックミラー経営 リスクをとらない
→「マネジメント強化」が大事(6) 総合力 運転 アート
[Ⅰ経営者の言動が会社を決める]
1−1「知識集約型社会」への転換を
日本は工業化社会から脱却できていない
「画一制度」一括採用・育成・三角・定年 →時代に不適合 高度成長・年齢構成
3年で30%が退職という非効率制度
1−2「多様な人材」で「新しいこと」
ex太陽光発電ビジネスへ新規参入 必要な専門家の採用・育成 地熱発電へ拡大
専門家人材が集団となり組織スキル →専門人材・組織スキルが「競合優位性」
1−3「雇用形態も複線型」
画一型人事制度(レディメイド)からテーラーメイド人事制度 採用・育成・評価・処遇
1−4「中長期の業績拡大」がすべて
株主も選択 短期売買の株主とは不適合で可
2−1経営者の役割 長期を見据える
経営者が貧乏性になってはダメ(43)
トップの評価は、将来への布石 「未来への投資」人材・資金・経営資源
社内をタコツボにしない
2−2日本経済は20年内向き経営
リストラ・経費削減が経営者 イノベーションの取組みなし 企業家精神の喪失
→常にファイテングポーズで闘う姿勢を
「金融の将来は厳しい」少なくとも今のような形の銀行はない(54)
店舗は不要 有効活用・不動産業
3−1「情報発信力」 すべて「実質本位」
経営姿勢と投資家の要求は「乖離」しがち
[宮内CEO]
オリックスは中長期経営で利益最大化図る
収益減益でも先行投資は継続
短期志向投資家は株を買って貰わなくて結構
→経営者は自身の「経営の軸」ブラさない
ステークホルダーとのコミュニケーション大事
4−1CEO選び 後継者育成
結果は判らない その立場にならないと判らない
トップの役割も組織規模に応じる
・任せきって何も判らない
・すべてを社長が判断
経営トップ選びは「アートの世界」(68)
#指名委員会など形の問題ではない!
・中長期の業績が上がるCEOは誰か
・手続き通り整然と選ぶ
5−1企業の社会貢献
買い手がすべての善し悪しを決める
市場経済はお金で投票するメカニズム
一人一票の民主主義ではない
ただし「格差拡大」への配慮が必要
「新しい価値」の開発と提供が企業の意義
その土地の経済に貢献 信頼関係を築く 相手と会う
[Ⅱマネジメントの実践]
6−1知識集約型社会への適応
オープンで多様な組織←クローズ・画一
組織・リーダー・人材育成評価を変革
6−2たこつぼ組織は必ず滅びる(79)
視野狭搾 大局的な見方ができない
組織改革・多様な社員・人事交流
→経営者はたこつぼ化しないように目配り
6−3リーダーは人間性
「血と涙」(82)・・・チョット難しい表現
心を常に動かせること
状況を正しく判断できる賢さ
→cool head,but warm heart 高向頭取
6−4評価制度
客観的評価 言葉・数字---管理職スキル
・こつこつ業務 工業化社会
・革新業務 知識集約型社会
両方の見方が必要
7−1売上より付加価値☆☆☆
知識集約型社会
財務の重要性 社長が把握 →戦略判断
ROE経営 部門に「想定資本金」を配賦
格付機関のノウハウ優れている
利益目標を出す
→全社目標だけではダメ
ROEも、GDPも 分割配賦
中長期で評価 一喜一憂しない
ただし日々の検証 改善策は即実行
CFOの育成 財務戦略を立案できる
日本では社長の意向を実現
ベンチャー経営者がMBAを修得
8−1意味ある経営計画
外部環境の認識・見通しが8割
ニトリ社長のスタンス
環境変化は読みにくい 弾力的対応を
オリックスでは長期経営計画はラフ計画
→新規事業 新しい企業価値の創出
挑戦の風土 R&D重視
8−2経営計画に先行投資2盛り込む
目標利益10なら必要利益12
資金 人材 時間 体制作り
→これが本当の中期経営計画と思う
9−1新規事業は撤退戦略が重要
ゴーサインは容易
難しいのは「いつストップするか」
→失敗を許容する度量
でなければ大本営発表 嘘の上塗り
傷が拡大 致命傷に
リスクを取って頑張る姿勢を堅持(101)
社内の誰もリスクを取らなくなる
9−2面白いこと データより先
現場が面白い、やろうと思うこと
現場からチャレンジが生まれてくる
小さく沢山生んで、早く見極める
「離陸」が一番難しい(103)
→成功は大きく、失敗は小さく
9−3現状維持から新規事業挑戦へ
高い利益目標達成は既存事業だけでは無理
新規事業の重要性
将来の利益成長のネタ
マンネリ・惰性の打破
新しい知識・専門家・組織スキル育成
9−4「経理社員」の重要性(110)
面白いことに商機あり
成功のポイントは情熱にあり
空港ビジネス
電力ビジネス 太陽光から地熱へ
介護ビジネス 収益化に長時間
数字をしっかり見られる社員の重要性
経理人材
経理システム
月次チェック厳格
→松下の経理社員 懐かしく思い出された
10−1CEO責任体制の明確化
事案の見方
突発事故 骨折を直せば強くなる
組織慢性病 体質の糖尿病 再建厳しい
コーポレートガバナンス・経営執行体制
日本では往々に「形式論」
人材も居ない
10−2CEOの執行能力がすべて☆☆☆
権力ではダメ
権威 全社を統率する・・・ここは難しい
→独裁はいずれ間違うリスク高い(117)
神ではない 絶対権力は絶対腐敗する
コーポレートガバナンス
CEOの選択 権威と執行能力
会社が下降局面でのガバナンス発揮難しい
11−1株主価値より企業価値☆☆☆
株主の区分 短期成果志向か長期投資か
長期保有の投資家はなかなか居ない 年金資金もFMは短期評価
企業の中長期成長と株主の在り方
個人株主の長期保有に働きかける exトヨタ自動車 元本保証型新種株5年
11−2新たな企業統治 長期ステークH
米国の短期経営
自社株買い・配当増で株価引上げ
時価総額を増やし、経営陣のボーナス増加
→自己資本を減らす
リストラで企業体力弱める
「取締役会の方針」が重要
短期利益・株価上昇最優先
中長期の発展
→応益権と議決権で対処できる
12−1 M&A
M&Aの高額化
多額の「のれん代」 負担長期に渡る
cf米国会計は定時償却ではない
買収から経営がスタートする
国内でも難しい ましてや海外は
CEOの判断
ポートフォリオの把握・コントロール
[Ⅲ永続する企業の創り方]
13-1経営者の時代 知識集約型社会
・工業化社会 社名・製品がブランド トヨタ、キャノン、シャープ
・知識集約型社会 経営者のビジョンや戦略
経営者のコミュニケーション力 日本の経営者は不得手
欧米の経営者は努力している
ビジネスの話題だけではダメ 幅広い教養が大事
経営も「教養」に基づく「大きな見通し」が成否を分ける
14-1マクロを間違えると会社は倒産
トップはマクロ観が大事 1年後を見通すのも困難
exバブル後の不動産 買い時と追加購入→結局、倒産した
15-1技術とマーケティング
ハイテク→商品では必ずしも違う
ex「AIとビッグデータ」
自動車、金融、医療→「判断」をAIが担う「運転」「与信判断」「医療判断」
銀行の店舗は不要→大地主へ
exビットコイン
中央銀行の役割 信用創造とクラウドファンディング
貨幣とは?
16-1日本は「業法」が基本の社会 イノベーションが生まれるか
ビジネスは原則自由ではなく、原則規制
ex Uber Airbnb 「業法上できない」から出発する
規制・行政指導に縛られていると、「視野狭窄」が進む
行政で認められていないことはやらない・考えない
「業界ありき」 「業界横断イノベーションは思いも寄らない」
経営者は行政依存となる バブル期以降の銀行経営者
17-1先進国共通 収益性の低下=低金利
通貨拡大への安易な依存
レバレッジの大きな金融ビジネス拡大へ志向 ピケティの成長格差
ROEはレバレッジ拡大
企業家精神の衰え
ケインズが財政政策の拡大で金利生活者の存在希薄化を予言したが
現実は逆に金融モンスターを生み出し、アンコントローラブルな社会を創造した -
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ネタバレ今日の書評レビューは「私の経営論」宮内義彦。宮内さんと言えば、大野の母校・関西学院大学を卒業後、アメリカでリース業を習得し、日本でそれをいち早く展開したことで有名な方。
そんな日本一のリース業・オリックスを50年余り率いてきたという、名実ともに日本で、もっとも優秀な経営者の一人なのだ。その宮内さんの経営哲学がギュギュっと詰まった本である。
では早速紹介します。
まず宮内さんは、経営者たるもの中長期的な視野で企業業績を上昇させるべきだと考えられている。そのためには日々常に変わる必要があるそうです。
またオリックスの株主に外国人株主比率が大変高いのはIR(=インベスターリレイションシップ・株主対話)を充実させたことに帰すると言います。
それでは以上のことを証左するため、具体論に入っていきます。
まず、宮内さんは知的集約型社会の組織を作れ!と説きます。なぜなら、現在の世界の需要は1980年代のような、工業型社会は終わっているからだと言います。
つまり、旧来の日本企業の得意だった、モノの大量生産+輸出という構造という式は成り立たないからだと述べておられます。そのため必要な人材は、因襲的な大企業志向の学生より、優秀で多様なバックグラウンドを持った人材が必要であると仰っています。
具体的には、オリックスでは4月1日に入社式は一応行うものの、宮内さんの挨拶はとっくの昔に止めてしまったそうです。なぜなら、中途採用が多いからだそうです。
そこで宮内さんの言う”優秀さ”はなんであるかと言うと、具体的には「専門性」だとのことだそうだ。実際オリックスでは、最近太陽光発電ビジネスに参入したが、そのような分野の知見が豊富な方々をたくさん雇い、従来の社員と混合させて、ポジティブな効果を得るそう。
さらにオリックスの本質について突っ込んだ議論がされています。すなわち、「会社は誰のものか?」を考える時、宮内さんが嗜好する企業の中長期的な成長を考慮すると、利害関係者のうち、従業員(即物的な考え方でなく)や地域の下請け先(下請けなどいくらでもあるといった考えではなく)を大事にすべきだと説いています。
そこで、宮内さんはどこまで先を見通して経営を行っているかというと、ズバリ「7、8年先」だそうです。具体的にはCEO的な立場のかたは3~5年先、長老的なポジションの方は10年先を見通すべきだと。宮内さんの場合、シニアチェアマンであるので、その間だそうだ。
そのためには経理部長的な社長であったらダメだそう。具体的には、「日本が伸びない。だから売り上げが上がらない。コストカットをしよう。じゃあリストラね」というのが最も悪い経営者だそう。
そうでなく、経営者たるものつねに「こうしよう、ああしよう」と新規事業にリーダーシップを発揮するべきだと断じています。(太陽光発電事業とか。あとオリックスは福祉事業も行っている)
そのような経営者になるためには、経営者たるもの常に感性をとがらせている必要があると説きます。例えば歴史観や地政学的なリスク。さらには宇宙の構造等への好奇心が必要だと述べています。
オリックスのような金融業は極めて法律や制度によって、環境が変わってくるので、宮内さん曰く「人より三歩先でなく、半歩先を歩く」ぐらいがちょうどいいそうだ。
そのようなオリックスであるが、宮内さんは社内に向けては具体的に経営哲学はもっぱら語らなかったそう。それよりも自分のやっていることを見せるのが一番だと仰っている。
そのかわり社外の株主には、自らも言うように「日本一」対話してきたようだ。例えば、「収益が落ちても、これこれには投資を続けます」とか短期保有目的の株主には「株を買ってもらわなくて結構です」と言わんばかりの対話をしてきたとのことです。
次に後継者育成について語っている。これについては「ベストを尽くしても、結果はわからない」というのが宮内さんの認識らしい。
宮内さんは「常に後継者のことを頭の片隅に」入れておいたそうだ。また、不測の事態とバトンタッチとの間では差異をもうけ、海外出張の時など、秘書室長に「私に万が一のことがあればXさんに任せます」と書いた封筒を委ねたこともあったそうだ。
そこで宮内さんが提唱するのは「リーダーは人間性を磨こう」である。彼曰く、日本人が寝ている間、地球の裏側では現地の社員が働いているのだから、情熱が必要だ、と。つまり血と涙。社員と共感すること。一緒に泣き、笑うことだそうです。しかし、浪花節のバカ殿様では経営は勤まらないので、状況を正しく把握できる聡明さも必要とのことです。
以上、宮内さんの書籍の中をかいつまんで、抽出したが本ブログでは、ほんの数パーセントしか述べていません。これを見て興味を持たれた方はぜひ、宮内さんの書籍を読むことをお勧めします。 -
Posted by ブクログ
ミスタープロ野球ビジネス
■概要
オリックスの元オーナーである宮内氏による球団経営との関わりを自ら記した内容。
・阪急→オリックスへの買収、
・監督人事
・震災と神戸残留
・球界再編と大阪移転
・独立経営≒黒字化、vs成長&勝利の難しさ
・プロ野球全体への提言
などがまとめられている
長期間に渡りオーナーを務めただけではなく、オーナー会議へのコミットという点でも、オーナーの中では特筆すべき方。長嶋さんがミスタープロ野球なら、宮内さんはオーナー界・ビジネス面のミスタープロ野球と言えるだろう
■評価
思っていることをより鮮明にしてもらえた、経営者として、球団オーナーとしての考え方が臨場感を持って追体験できたのが良かった
■感想 -
Posted by ブクログ
●チャレンジするということは、とりもなおさず「リスクをとる」ということ。失敗を恐れていてはなにごとも始まりません。リスクをしっかりと受け止めつつ前に進むことで、新しい道が開けます。一歩前へと踏み出すことに不安を覚える人もいるでしょうが、何もしないでいることこそリスクと考えるべきです。なぜなら、動かないまま手をこまねいているうちに世の中の変化に対応できなくなる可能性があるからです。しかし、やみくもに突っ走ればいいかというとそうではなく、とるべきリスクをみきわめることが大切。自分にとって価値あるリターンが期待でき、仮に失敗したとしてもその経験が将来への糧になるようなリスク、すなわち「グッドリスク」をとることを目指していただきたいと思います。
●「答えのない質問」をみつけることが大切
今の教育の場では、何よりもい点数を取ることが求められます。つまり、試験で示される「質問」には必ず正しい「答え」があって、それをいかにたくさん自分の頭の中に詰め込むかが、学歴社会で生き残る条件となるわけです。しかし、実社会では「答えのない質問」、つまり簡単には答えが見つからない問題のほうが圧倒的に多い。質問には必ず正解があると思い込み、また、質問そのものも外から与えられるという発想になれてしまっていると、問題そのものに気づかないという事態にも陥ります。今の時代、何よりも必要なのは「質問を見つけること」、つまり、何が問題なのかをしっかりと見極めるということです。
●世の流れを読み取る「大局観」を身に着ける
会社組織では上に行けば行くほど、会社の社会における立ち位置を見誤らないようにして、決定を下していかなければなりません。それこそトップともなれば、専門性よりも、今後進むべき方向をしっかりと見据え、的確なジャッジを行うための大局観が重要となってきます。大局観を身に着ける方法は一にも二にも勉強。世界の歴史をひもとき、さまざまな情報を駆使して現在の世界をしっかりと見る。本を読んだり、人と会って話すといったことが挙げられるが、時代の流れや社会の変化を大きく捉えるには、場合によってはメディアなどから得られる、きれいに整理された情報は思い切って全部捨ててしまうことも必要かもしれない。
●この会社は「自分たちに安定をもたらしてくれる存在」と捉えていたら困ったこと。会社を自分のものではなく、社会から預かっているものと考える。会社から支えてもらうのではなく、自分が会社を支えていこうという思いが強くなれば、本当の意味で「自分の会社」であるという実感をもつことができるようになる。
●英語を知れば世界につながる
世界の人口に日本人が占める割合はわずか2%ほどで残りの98%とコミュニケーションを図るには、残念ながら日本語ではなく「世界語」である英語を使わねばなりません。グローバル化が進む今、ほとんどすべてのビジネスは海外とつながっていくでしょう。英語によるコミュニケーション能力なしには世界と対等に渡り合えなくなりますから、若いうちに英語を勉強することは必須なのです。これからの時代、言葉の壁は想像以上にグローバル化の障害となり、コミュニケーション上のハンデは、多くのチャンスを逸する要因にもなることでしょう。英語をはじめとする外国語の習得を避けてきた人も、今こそ思い切ってチャレンジしてみるべきです。
●ビジネスには「志」が必要
企業の目的とは、社会の期待に応えること以外にはない。今までになかった新しいもの、今までと比べてよりよいものを社会に提供してこそ、存在意義があるのだということ。言い換えれば、新しい価値を創造するのが企業としての務め。それができなければ、起業などする必要はないものと思います。ましてや、お金儲けなどは二の次と心得るべき。
●企業活動というものは「時代」と「技術」、そして「社会システム」という3つの要素から、進むべき方向が見えてくるもの。業種によって、それぞれの要素との接点から大きく異なりますので、それを正確に読めるかどうかが事業の成否を決することになる。自社の事業にかかわるようなソリューション、イノベーションの動きはないか、制度面や人口、生活習慣といった、消費行動全般に影響を与えるような社会構造上の変化が起きていないか、といった視点も踏まえて、時代を読み解いていくことが必要だということ。
●グローバリズムの中の日本
グローバリズムの時代になったといわれても、「みんな世界市民、仲良くやろう」という方向に向かっているかといえば大間違いで、その実情は仲良くどころか国家間の熾烈な競争が続いており、日本は90年代から20余年負け続けているのです。ビジネスの現場も、グローバル化の波の中で厳しい競争にさらされています。その中で勝ち組に鞍替えしたいなら、自らを奮い立たせて国際競争の荒波の中に再び挑むしかないのですが、多くの企業は日本を覆っている閉塞感、無力感をなかなか払拭できずにいます。そこでいつも気になるのは、停滞の原因がすべて政府など外側にあって、国が何とかしてくれないから自分たちが苦境にあえいでいるという考え方です。
何よりも今、日本人に求められているのは、国に頼らず自らの足で立ち、自らの力で未来を切り開いていこうという気構えではないかと思うのです。いつまでも他力本願では、ますます厳しくなる国家間の競争に打ち勝つことはできません。企業の力だけで現状を打開できる局面では、精一杯努力してイノベーションを起こし、効率化、活性化を図るべきなのです。
●居心地がよすぎる大都市・東京
目を世界に向けてみると、たとえばアメリカで政治はワシントン、経済はニューヨークというように分散していますし、イギリスでもオックスブリッジという言葉があるように学術研究の中心がロンドンにあるわけではありません。それが日本ではすべてが東京に集中してしまっているのです。このことは日本にとって大きなリスクとなるものです。東京への一極集中は攻めの意欲をそぎ、災害時の都市機能停止などのリスクを高める。
●「人生で最も大切なものとは?」
私は迷わず「時間」と答えます。時間は誰にでも平等に与えられているだけに、なかなかそのありがたみを実感できません。つい無駄に浪費してしまいがちですが、だからこその活かし方次第で、人生の充実度は大きく変わってくると思います。
ややるべきことに優先順位をつけて、重要度の高いものから時間を割り振っていくということ。情に流されず冷静に自分のやるべきことを見定めて、その仕事に必要なだけの時間を割かなければ、結果を導くことができません。時間を巧みにマネジメントすることで、大切な仕事に集中できる状況を自ら作っていくことができます。会社内でのポジションが上がれば上がるほど、このことは重要となってきます。
●多様性が企業の強みになる
日本社会は多くの場合、はみ出し者を嫌います。とにかく和を乱さず、みんなで仲良くしようとします。上に立つ者もそれを求めているところがありますから、日本の社会では多様性が育ちにくいのです。しかしこれからの脱工業化社会=知識社会では、そのようなスタンスでは企業が生き残るのは難しくなります。上が「右向け右」と号令をかけたときに、素直に右を向く社員ばかりでなく、左や上や後ろを向くような者もいないことには、今後は立ち行かなくなるでしょう。異質な意見を投げかけて旧態依然の組織を揺さぶってくれるような、多様な人材が必要になるのです。
●リーダーの責務とは、チームのパフォーマンスを最大限に発揮すること。メンバー一人ひとりに働きかけ、全体のエネルギー量を最大限に引き上げることにほかなりません。そのためにリーダーは「専門性」と「人間力」を高めることに尽きると考えています。リーダーに必要な「人間力」を磨くには、人に興味をもつこと、それに加えて「自分自身の人生を大切に考えること」。自分を向上させようと常に懸命に生きている人ほど、まわりの人たちに対しても向上してほしい、誠実に生きてほしいと考えるもの。その気持ちが組織のメンバーにも自然に伝わり、リーダーへの共感・信頼感が育まれ、チームのパフォーマンスを高めることにつながります。優れたリーダーがいる組織に共通しているのは、内なる人間性が意図しなくても表に現れ、それが巧まずしてまわりの人間を突き動かし、チームとしての成果を導き出すということだと思います。よきリーダーになるには王道はない、と心得てください。