藤井厳喜のレビュー一覧
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ネタバレアングラマネーとタックスヘイブン(租税回避地)の本。Googleやアップルが利用しているダブル・アイリッシュ & ダッチ・サンドイッチのスキームを知りたくて読んだが、よくわからんやった。
但し、Googleの利益から払われた法人税は2.4%。米国のGEは、2010年に140億ドルもの利益を上げながらアメリカに納めた法人税はゼロというショッキングな事実を書いている。
2001年9.11でテロ被害を受けたアメリカはテロ資金根絶のためアングラ・マネー取締に乗り出したが、この結果2006年春頃からタックスヘブンからアメリカの金融市場に流れていた資金が急激に枯渇し、それがサププライム・ローン -
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藤井厳喜「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」幻冬舎文庫
よく調べられている。歴史的なところを含めて客観的に。一朝一夕には書き上げられない。残念なのは索引がないところ。これがあればよく使える参考書になる。純粋に読み物として面白い。必ずしも利用者側を悪と見ていない。
自分は、タックスヘイブンは、国家間の競争に他ならないのであって、これを締め上げるために多数国家で協力しようなどというのは、談合、カルテルにほかならないと思っている。
p23.イタリア当局筋の話として、この2人は神奈川県と福岡県に住む60歳代と50歳代の男とされており、その内の1名は日本の財務省の職員であったと -
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ネタバレおすすめ度:85点
題名はふざけているが、実はとてもまっとうな本。アメリカと世界情勢の現状をとてもわかり易く説明しており、納得のいく内容だ。
チェンジしたのは結局オバマだったと皮肉っており、彼に期待していた米国民は失望、あの大統領選挙の熱狂が今は冷めきってしまっている。
これまで推進されてきたワン・ワールド主義が、2008年のリーマン・ショック、そして2010年以来のユーロ・ショックによって挫折した。ユーロ圏やNAFTA、ASEANなどの地域主義統合が進むものの、それはワン・ワールド主義の前提ではなく、むしろ、ワン・ワールド主義に相反する方向であり、群雄割拠の時代、「不安定な多極化」時代であ -
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米国の大統領選挙が近づいているようですが、最近あまりニュースに取り上げられていないせいか状況がよく把握できていません。以前に米国出張した時に、選挙の週に当たっていて、黒人の大統領が誕生して大いに盛り上がっていたのを覚えています。
しかし、あれからアメリカは変わったのでしょうか、チェンジしたのは結局オバマだったとこの本の最後にも書かれていましたが、彼に期待していた米国民は失望したことでしょう。
この数十年で米国は「ほんの一部の金持ちが更に栄える」システムが強化され、現時点(本書では2011データ)では、多国籍企業群を中心に最高益を出しているにも拘らず、米国へ支払われた税金は税率にして2.3% -
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ネタバレタイトルの通り、一筋縄では行かないアメリカ経済。バイオテクノロジー、代替エネルギーなど次をにらんでいろいろ手を打っているが、決め手にかけるところがある。それどころか、アフガニスタンとイラク戦争で莫大な資金と人を投入したつけがいまだに響いている。
だからといってもうアメリカはおしまいと思うのは早い。例えば、著者は、インターネットにおけるデータが威力を発揮する例として、あのSNSのフェイスブックを挙げている。何しろ、ただで利用できて世界中の人が使っているので、個人情報から写真などを惜しげもなく公開している方がたくさんいる。中には頭がもやもやしそうな写真まで公開している人もいる。企業の側として -
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同著者の「日本人が知らないアメリカの本音」の姉妹編とも言える本。「日本人が〜」では主に歴史を遡ることで現代アメリカを分析していましたが、本書では金融を中心にアメリカの病理を掘り下げるとともに、ワンワールド主義(一般的な言葉で言えばグローバリズム)に対する批判がなされています。
私が面白いと思ったのは、いわゆるユダヤ陰謀論の妥当性について真面目に分析しているところと、ITと政治との関わりについて論じているところです。ITの文化的な側面については多くの評論が書かれていますが、政治的な面についての分析は珍しく、参考になりました。
著者はいわゆるビッグデータに、プライバシーが筒抜けになってしまう現代 -
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毎年立春は2月4日と思っていましたが、今年は124年ぶりに2月3日となるそうです、とは言え立春を迎えると新しい気分になります。米国のトランプ大統領が就任して、世界が変わっていますが、この本は藤井氏により、具体的にどのように変化していくかが解説されています。
米国に影響を及ぼす、欧州・中国の行方、ウクライナ戦争の終結などについても書かれています。2025年の激流に飲み込まれないように、この本に書かれていることを参考にして進んでいきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・トランプは大統領選挙人数だけでなく、一般投票数でも上回った、約250万票の差をつけた。ハリスの獲得票の中には -
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私が社会人生活を始めて5年後に結婚しました。1994年の頃です、バブルが弾けて経済に悪影響が出始めていたころで、会社はそれに気づいて毎年の営業経費を削減していました。
少なくとも3年連続、前年比5割カットになったのを記憶しています。3年目にそれを聞いたとき、何ができるのだろうかと若いながらに思いました。
その頃から聞かれ始めたフレーズに「グローバリゼーション」という言葉があります。いつまでも日本独自の方式にとわわれていたらダメで、世界標準のやり方にしなければ日本は世界に取り残されてしまう!という掛け声でした。
渡した勤務していた会社は外資が50%でしたが、1999年には50%超になり完全 -
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既読感があった。昨秋読んだ、ニコラス・ジャクソン著タックスヘイブンの闇と内容はかなりかぶっているように思える。だからこの世界の大枠を知りたいなら両方を読む必要はないと思う。
本書は、タックスヘイブンと裏経済、アメリカ系、イギリス系、最近のタックスヘイブン絡みの事件、と続き、最後にイタリアに詳しく触れている。イタリアといえば、混乱政治、マフィア、バチカンだが、それらを彩るなじみのない名前がたくさん出てきて、それらが複雑怪奇に絡み合い、まるで映画を見ているかフィクションを読んでいるかのようだ。
しかし、最後はビットコインまで出てくるので、彼岸の世界と思いきや結構身近の問題なのかもしれないと、 -
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大恐慌の原因については、さまざまな原因が指摘されています。表面的には「いきすぎたバブルが弾けた」わけですが、その前提となる構造的要因がありました。(…)二〇年代のアメリカの好景気を支えていた要因の一つは、ヨーロッパの復興需要でした。ヨーロッパの工業生産力が戦争によって全面的に破壊されてしまったため、その欠落を補うような形でアメリカ経済が急成長を遂げたのでした。ところがヨーロッパ経済が復興するにつれ、生産力が世界的に過剰となり、世界資本主義が大不況に陥る構造的要因がつくられてきました。73
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