【感想・ネタバレ】アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門のレビュー

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Posted by ブクログ 2016年12月21日

世界各国の税収が極端に減少する現代経済社会。
税金は表の経済にしか、課税し、徴収するしかない。
しかしながら、タックスヘイブン(租税回避地)やシャドーバンキング(影の銀行)を使った、いわゆる脱税や資産隠し、麻薬や売春や賭博によって生まれ蓄えられた金をアングラマネーと呼称している。
闇に流れ、動く金は...続きを読む想像を絶する額に達している。
もはや中央銀行やIMFも制御できない闇資金の還流が世界経済を揺さぶっている。
その歴史と仕組みなどについて、詳細に述べられた著作である。
アメリカ、イギリスのタックスヘイブンの歴史、仕組み、イタリアのアングラマネー、特にバチカンのアングラマネーとマフィアとの歴史的な展開、最後に、ドイツ経済も、実は、アングラマネーの世界にどっぷりつかっている。
財政赤字などに悩まされているアメリカという一応世界経済の中心国が、上記のような闇の世界に立ち向かおうとしている現在、おひざ元のアメリカ自体も大いなる矛盾を抱えているが、ここは、世界の良識を信じ、少しでも、表の経済が立ち行くような方向に向いてほしいものである。

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Posted by ブクログ 2015年10月12日

いやぁ〜、こんなことが起きていたとは。
世界史的にも面白い。イギリスのシティとスイスの大きな闇を知らなかったのは私の怠慢。グローバル化した社会で色の付いてないお金は黒く染まって白くなる。
UBS社員が国外に出れないとはね…

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Posted by ブクログ 2013年10月19日

タックスヘイブン関連の書籍は色々読んできましたが、本書は関連する歴史、政治、人物などが手際よくまとまられており非常に参考になりました。

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Posted by ブクログ 2019年04月02日

オフショアやアングラマネーを通して経済を読む本。
詳しく解説されているのは、デラウェア州・ネバダ州・マイアミなどの企業優遇措置をとるアメリカの都市、イギリスの中心部に位置するシティ、スイス・リヒテンシュタインのプライベートバンク、イタリアのマフィアとバチカンのつながり、など。また、ロシアとイギリス・...続きを読むキプロスとの関係や、中国とイタリアとの関係についても言及されていて、国際間の裏経済のつながりがある点も面白かった。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

個人から多国籍企業、果ては国家まで、タックスヘイブンを利用した、アングラマネーの影響は計り知れない。本書はその大きな流れを掴むのに参考になる。タックスヘイブンといえば、ケイマン諸島と思っていたが、アメリカ、イギリス、ドイツ、バチカンとその流れは底知れない。実体経済に影響を与えるに至り、ようやく各国政...続きを読む府も取り締まりに乗り出したという。どこまでも奥深いものだと思った。

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Posted by ブクログ 2016年06月13日

税金払え! 貧乏人は節税のすべも知らずにお上の言う通りなす術もなく納付しています。早く総背番号導入しましょう。まいりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年07月04日

アングラマネーとタックスヘイブン(租税回避地)の本。Googleやアップルが利用しているダブル・アイリッシュ & ダッチ・サンドイッチのスキームを知りたくて読んだが、よくわからんやった。

但し、Googleの利益から払われた法人税は2.4%。米国のGEは、2010年に140億ドルもの利益を...続きを読む上げながらアメリカに納めた法人税はゼロというショッキングな事実を書いている。

2001年9.11でテロ被害を受けたアメリカはテロ資金根絶のためアングラ・マネー取締に乗り出したが、この結果2006年春頃からタックスヘブンからアメリカの金融市場に流れていた資金が急激に枯渇し、それがサププライム・ローン崩壊の引き金となった。換言すると金融ブームの原動力となった住宅バブルを支えていたのは海外のタックス・ヘブンから流入している極めて出処の怪しい金であったという記載には驚いた。

国家とグローバル企業の戦いは、今後とも続いていくのだろう。

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Posted by ブクログ 2014年04月05日

藤井厳喜「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」幻冬舎文庫

よく調べられている。歴史的なところを含めて客観的に。一朝一夕には書き上げられない。残念なのは索引がないところ。これがあればよく使える参考書になる。純粋に読み物として面白い。必ずしも利用者側を悪と見ていない。

自分は、タッ...続きを読むクスヘイブンは、国家間の競争に他ならないのであって、これを締め上げるために多数国家で協力しようなどというのは、談合、カルテルにほかならないと思っている。

p23.イタリア当局筋の話として、この2人は神奈川県と福岡県に住む60歳代と50歳代の男とされており、その内の1名は日本の財務省の職員であったという説も流布されている。
p42.2010年、ゼネラル・エレクトリック(GE)は140億ドルの利益を上げながら、アメリカで法人税を一切、払わなかった。この事実が大きな衝撃をアメリカ人に与えている。
p44.2008年の米国会計検査院報告によれば、タックスヘイブンを利用している83社の内、74社が、政府から多額の仕事を受注、ないし資金援助を受けていた。
p44.単に税金ばかりではなく、アメリカ大企業は、メディケアや社会保障など連邦政府に納める巨額の社会福祉費用の支払いを、タックスヘイブンを利用して回避できる。
p55.ブッシュ・ジュニア政権は、この海外利益の本国送還を「最後のチャンス」とする約束で、優遇措置を行ったのだが、その後も米大企業はダブルアイリッシュなどの移転価格操作をやめた様子はない。
p58.さて、デラウェア州で登記した企業は、この10年間で推定95億ドルの節税に成功している。しかしデラウェア州は、2011年には、この州に法人登記しているだけの企業からの税金や手数料で8億6,000万ドルの収入を得ているのだ。
p62.ワイオミング州もまた、企業に有利な法体系を備えている。ワイオミング州には、企業に情報開示を命ずるような法律が存在しないのである。そもそもこの州では、完全な匿名法人の登記が可能である。
p76.今やイギリスの主要産業として残っているのは、金融サービス用だけであると言っても過言ではない。
p81.表向きは、エルフ・システムが死んだことになっているが、未だに形を変えて生き延びているようである。フランスのミッテラン社会党政権も、このエルフ・システムを解体できなかった。フランスの対外援助担当大臣ジャン・マリー・ボッケルは、2008年1月、エルフ・システムに関して「腐敗した過去との決別には、時間がかかっている」と発言し、その直後に解任されている。2007年に、ニコラ・サルコジがフランス大統領に就任した直後に、最初に電話をした外国首脳は、オマール・ボンゴだったと言われている。
p84.現在、タックス・ジャスティス・ネットワークは、タックスヘイブンとアングラマネーに関する世界的な権威ある情報源の1つとなっている。
p91. シティ・オブ・ロンドンは、中世の自由都市の伝統を継ぐ政治的自治体である。グレーター・ロンドンから独立してるばかりではなく、実は、連合王国と呼ばれる、現在のイギリス国家とは別の政体を保持し続けているのである。
p93. シティ・オブ・ロンドンの誕生は、ローマ時代である。ローマ人が西暦50年頃にこの地にロンディニウム(Londinium)
という城壁都市を築いた。この要塞都市は、ローマ人がこの地域(ブリタニア南部)を支配する軍事拠点であった。
p94.ウィリアム征服王にしても、マグナ・カルタにしても、シティ・オブ・ロンドンがそれ以前から歴史的に保持していた自治権を再確認したまでである。その意味で、シティ・オブ・ロンドンの自治権は、国王の発行するチャーター(設立許可書)によって、生まれたものではない。
p94.シティ・オブ・ロンドンにはそもそもチャーターが存在しない。チャーターがないのだから、シティのイギリス国家との関係はいわば対等であり、少なくとも相互関係は曖昧なものにとどまる。これはタックスヘイブンとしてのシティの最大の強みである。
p99.現在もシティは、ロシア経済と深くリンクしている。規制の厳しいニューヨーク上場を嫌うロシア企業は、大体、シティで(IPO)を行っている。ユーロ・ドル市場の誕生は、純然たる違法行為から始まっている。
p100. 1945年8月、日本が降伏することにより、第二次世界大戦は終了する。イギリスは戦勝国ではあったが、これ以降、一挙に没落の坂を転がり落ちることになる。植民地は徐々に独立し、大英帝国は完全に崩壊するのである(ちなみに、大英帝国を崩壊させた最大の原因は、東アジアのイギリス領植民地を解放してしまった大日本帝国である)。
p106.このノンドミサイル(非永住者)のステイタスは、もともとはイギリスの植民地出身者を差別するために作られた法律区分であった。
p106.差別の構造であったものが、今は脱税の構造に転換してしまったのだ。なんとも皮肉なことではあるが、これもまた、大英帝国が残した遺産の1つと言えなくもない。イギリス社会の偽善や欺瞞がこんなところにもよく表れている。
p116.マカオは全チャイナから、多くの富裕層を集めているが、このカジノ自体が、マネーロンダリングの中心地となっている。マカオのカジノで儲けたことにすれば、不正蓄財したダーティーマネーのマネロンが、容易にできるからである。
p119.LIBORの不正操作問題は、英国中央銀行を含むシティ全体が関与していた共謀事件なのである。

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Posted by ブクログ 2013年10月10日

タックスヘイブン(租税回避地)やシャドーバンキング(影の銀行)を使った、いわゆる脱税や資産隠し、麻薬や売春や賭博によって生まれ蓄えられたいわゆるアングラマネーの実態を解明。
アメリカ・イギリス・スイス・イタリアの状況を詳細に解説、その事実は驚愕に値する。
一部の大企業・特権階級・マフィアの実態が明ら...続きを読むかにされている。

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Posted by ブクログ 2013年08月29日

ニュースでちらっと聞くだけだったあのニュースこのニュースにアングラマネーが関わっていることに驚き。
先に読んだタックスヘイブン書籍とはまた少し立場を異にしたものだったから、読んで良かった。

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Posted by ブクログ 2014年02月23日

 既読感があった。昨秋読んだ、ニコラス・ジャクソン著タックスヘイブンの闇と内容はかなりかぶっているように思える。だからこの世界の大枠を知りたいなら両方を読む必要はないと思う。
 本書は、タックスヘイブンと裏経済、アメリカ系、イギリス系、最近のタックスヘイブン絡みの事件、と続き、最後にイタリアに詳しく...続きを読む触れている。イタリアといえば、混乱政治、マフィア、バチカンだが、それらを彩るなじみのない名前がたくさん出てきて、それらが複雑怪奇に絡み合い、まるで映画を見ているかフィクションを読んでいるかのようだ。
 しかし、最後はビットコインまで出てくるので、彼岸の世界と思いきや結構身近の問題なのかもしれないと、急に現実に引き戻されるのだ。

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