大江千里のレビュー一覧
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匿名
購入済み読み応えは期待以上
確かに千里さんのファンというのが購入した理由でした。
想像以上にジャズの世界は広くて奥深くて、何よりも日本でも成功していた千里さんが太刀打ちできないような才能を持った人達が世界各国から集まっているということに衝撃を受けました。
身体が悲鳴を上げるほどの努力、屈辱、焦りが最初のパートでは切実に伝わってきました。でも徐々に努力が実を結び、じっくりと温めた友情やネットワークは拡がり、少しずつニューヨークの地に根を伸ばしていく千里さんの姿が季節と共に綴られていました。
音楽の才能に加え、印象的な写真の数々、そして何よりも文筆の才もあったとは。読み応えは期待をはるかに上回っていました。
最後に、この本 -
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愛犬の病気や父親の逝去など重たい内容が多く、コロナ禍初期の最も感染が酷かったニューヨークの状況も生々しく描写されていますが、どんなに大変な時でも心のどこかで「この状況を楽しもう」と捉えているような、不思議な明るさが感じられました。
こういう明るさやユーモア感覚みたいなものは、千里さんの文章だけでなく音楽にも共通していて、ジャズミュージシャンになっても、根っこに持っているポップさと同じく魅力の核になっているんだな、と逆境の時だからこそ改めて際立っているように感じました。
もし日本でポップスの世界に留まっていたら、今頃大御所として何不自由ない生活をしていたことでしょう。60歳を過ぎてまだまだ挑 -
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ネタバレ前作のつづきのニューヨークのブルックリンでのジャズミュージシャン生活の記録。
コロナ禍ではバスの中でアジア人差別を受けたこと、マスクをすることはテロリストか感染者と見られていたこと、大変な自粛生活のあと2021年初頭にワクチンを受けられたがワクチン2回目にはアナフィラキシーがおきたことなどのリアルな描写がとても貴重。
大学の軽音楽部でのバンド結成からデビューまでのこと、お父様との別れ、大切な家族である愛犬"ぴ"のこと、これからのご自身のこと。いつも明るく振る舞う大江さんが、色んな葛藤やダメージを受けつつも前に進んでいる様子が記されていてる。
自己主張のそれほど強くない -
Posted by ブクログ
2008年。日本での名声を捨て、47歳で単身ニューヨークの音楽大学へジャズを学びに入学した大江千里さん。そのニュースを聞き、当時40歳だった私は、大きな驚きとともに、なんだか羨ましい気持ちになったのを思い出します。
本書は、大学入学から4年半のニューヨークでの生活を千里さんが綴った作品。日本であれだけのトップアーティストだった人が、本場のジャズの学校では、全くの素人で何もできず、先生からも仲間からも怒られたり無視されたりと、メチャ厳しい日々を送ります。それでもあきらめない。プライドも捨てて、基礎から一歩一歩、地道に学んでいくんですね。
ジャズという音楽は、軽く聞き流していると、適当に演奏し -
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1990年代後半に社費留学でNYに行った。同じくNYの同じ大学に留学した同期から、「今の自分と同じ47歳でNYにJAZZを勉強しに行ったストーリー」と紹介された。色々な人生がまだまだあるはずやのにな、と言われてとても気になって手に取った。
47歳で海を渡った人の名前は大江千里。自分の世代では結構有名なポップシンガーだった。「ワラビー脱ぎ捨てて」や「格好悪い振られ方」などのメロディーはまだ耳に残っている。50歳間近になって、これから20代に交じってJAZZを学ぶというのは、ずいぶんと「格好悪い」はずだ。そのことを著者は隠してはいない。
こういうことができることはうらやましい。性格もあるのだろ -
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ポップスのシンガーソングライターである大江千里は2008年に国内での音楽活動を休止し、ジャズピアニストになるべく単身ニューヨークに渡り、ジャズの音楽大学へ入学する。そして大学を卒業し、ジャズピアニストとして一人立ちするまでを描いた自伝的ノンフィクションが本作である。
彼が入学したThe New School For Jazz and Contemporary Musicは非常にレベルの高い音楽大学であり、21世紀ジャズを代表する三羽烏とも言えるBrad Mehldau(Pf)、Robert Glasper(Pf)、Avishai Cohen(Ba)を輩出したことでも知られる超一流校である。当 -
購入済み
”始める”勇気
全てを投げ打ってJazzの世界へ飛び込んだ。
唐突に思えた決断も彼にとっては必然だったことが
この本を読むとじわじわどんどんわかる。
大江千里という人をよく知らなくても、
読了後、何かを「始める」勇気がわいてくるエッセイ。
様々な事件?!が起こるNY生活は読み物としても続きが気になるシリーズです! -
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テレビでニューオリンズの街を訪ねながら、いろんな人とジャムをしていく大江さんのドキュメント番組を見て改めて興味を持ち読んでみました。
日本でそれなりの地位を築いて順調なミュージシャン生活を送っていたのに、もの足りなさとジャズがやりたい思いで単身(withワンコ)ニューヨークへ渡る。そのシチュエーションだけでもう、わくわくする。
スクールで苦労しながらジャズを学んでゆく姿、出来事は小説を読んでいるようだ。苦労しながらもだんだんとピアノの腕前もジャズになり、それに応じて友達も増えてゆく。音楽で楽しみながら仲間ができてゆく。才能があり、努力できた人にこそ成し得られる境地。これこそがジャズの醍醐 -
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文章のスピード感というかリズム感がすばらしいと思う。最初の、高校生の前で講演したときの一部始終が書かれた章を読みはじめて、臨場感というかだんだん盛り上がっていく様子にものすごく引き込まれた。ほかにも、ライブやレコーディングのこととか、わたしは音楽のことはよくわからないし、それほど興味がないのに、読んでいて一緒に気持ちが上がっていくような。
アメリカの音楽業界のこともわからないけど、ワンステップずつ上っていく感じ、きっと不安もすごくあるんだろうけど、それをひとつずつ乗り切っていく感じもすごくよかった。本当にものすごくポジティブで前しか向いてないってふうだけれど、意外とそれも鼻につかず、素直にいい -
Posted by ブクログ
シンガーソングライターとしての成功を投げ捨てて、単身448歳でニューヨークに渡り、ジャズの名門大学であるニュースクールに入学し、ジャズピアニストとして活動を始めた大江千里の日記的なエッセイ集の第3冊目。
本書でのメイントピックは、これまでに数枚リリースしたリーダーアルバムの中で、ようやくジャズピアノの王道とも言える編成、ピアノトリオ作『Hmmm』へのチャレンジ、そして何よりもCOVID-19でロックダウンしたニューヨークでの生々しい市井の生活の実態である。
『Hmmm』に関しては、これまでの大江千里のリーダーアルバムの中で、個人的には最も良い作品だと感じた。ポピュラリティのあるメロディーメ -
Posted by ブクログ
47歳で犬と単身ニューヨークに渡り、ジャズの学校に入学して一からジャズを学ぶ日々の記録。
日本ではアーティストとして活躍していた日々から一転、ポップスとは異なるジャズの世界に身を置き、年齢も国籍もさまざまな同級生達と切磋琢磨していく日常が綴られている。
何歳になっても好きなものを妥協せずがむしゃらに追求してしくのは素敵だなと思いました。
年齢も国籍も関係なく、ジャズが好きでジャズへの情熱が半端ない人たちとの交流や才能あふれる人々との出会いが大江千里さんの言葉で描かれていて楽しく読めました。
大江千里さんってこんな人だったのだと日本のメディアから受けた印象がガラッと変わりました。
何歳