櫻井義秀のレビュー一覧
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宗教とカルトは本当に難しい問題で、おそらく「答え」はないのでしょう。
こういう問題を考えるうえでは、このような複数人での対話が重要になる気がします。
「理解できないと重んじられない、ではなくて、理解する前に重んじる」「宗教的要素を教育から排除してきたことを見直す」といった、自分が普段から考えていることが述べられていて、深く共感しました。
若松さんが「拘束」はカルト化の原因だと述べたあとに、川島さんが宗教においてある程度の拘束は避けられないと、自身のキリスト教徒としての経験から正直な感想を述べていたのが印象的でした。では何が問題なのか、互いに共存できる考え方は何なのか。こういうのは対話によっ -
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NHK「こころの時代」を興味深くチェックするようになったのは、本書のもととなった放送を見て以来。よって、本書の購入は記念的な意味だったが、各先生が放送で語られたことを一歩深めて書き下ろしているコラムが追記されていて、より深まった。
”カルト”について考察を進めると、宗教と国家、社会における個人へと問いがつながっていく。その過程が平易な語りでなされているのは、どの先生方も当事者として、危機感をもって関わってきてたからだろう。こうした番組が多くの人の目に留まり日本社会の宗教リテラシー向上につながることを願う。
①カルトの定義②宗教と国家の歴史的把握③宗教間対話の可能性④宗教の意義、役割 -
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安倍元総理の狙撃・殺害事件により、霊感商法や高額献金による被害、日本政治への関与、二世信者の問題などの点で注目を集めることになった統一教会(世界平和統一家庭連合)について、「性・カネ・恨」という観点を軸に、歴史的背景、教義、組織構造、法的観点などから多角的に論じている。
ニュースで話題になっている統一教会だが、霊感商法や高額献金、大学でのカモフラージュした勧誘活動といったイメージしかなかったけれども、本書を読んで、その歴史的経緯や教義をおおまかにではあるが知ることができ、勉強になるとともに、興味深かった。
統一教会の教義はキリスト教をベースにしているというが、東アジア的な先祖崇拝や地獄観念など -
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安部元首相殺害で関心が集まる宗教、カルトの世界。容疑者家庭における母親の一億円寄付、家庭崩壊がいわれるが、ではなぜ宗教にそこまで入れ込んだかという視点も必要ではないか、というのが冒頭の問題意識としてあった。読んでいくと、本来宗教とは、そういうものではないんだな、と思ったね。ただ、宗教の力を利用して、そういうことをする集団もある、と。見分けるポイントは「恐怖」「搾取」「拘束」する集団であるかどうか。あと「嘘」をついていないか、ということも言われていた。
「宗教というのは、その扉に鍵がかかっていないはずなんです。もしなんらかの宗教画内側から鍵をかけるようなことがあれば、それは宗教と呼ぶには値しな -
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ネタバレ「宗教嫌いの神秘好き」と形容される日本人。日本社会で勢いを増しているスピリチュアルについて警鐘を鳴らす本です。副題は「スピリチュアル・ビジネスの構造」。2009年刊行の新書ではありますが、著者の目と分析力が、本書で扱われるいろいろな事件やトラブルの底の部分まで透徹しているので、今読んでも翳りのない論考として光っていました。構造的にどうなっているのかがちゃんとわかっているからこその、スピリチュアル・ビジネスに対する(そしてある部分での社会構造に対する)見抜きがあります。
最初に登場するのは、宗教団体がその身を隠して作った会社が運営するヒーリングサロンに取り込まれそうになった女性の話で、そのやり -
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霊感商法(スピリチュアル・ビジネス)を題材にした新書。霊感商法は新宗教、カルト教などと重なる部分はあるものの明確に区別される。あくまで「ビジネス」としてのスピリチュアル、というわけだ。
そういった霊感商法がいかにしてビジネス的に成立しているのか、そのシステムについて著者の体験と経験者との対談を通じて語られる。
またそこから「顧客」の心理についてリスク認知、認知心理学的な見地からあぶり出す。
「要するに、スピリチュアル・ビジネスの商法というのは、スピリチュアルな商品やサービスそのものの効用によって顧客を満足させるのではなく、顧客となった人々のリスク認知を操作して特異な問題解決の利得を得るためには -
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[ 内容 ]
信じる者は救われぬ。
スピリチュアリティ(神霊・心霊)を騙れば簡単に金儲けはできる。
ほんの少しだけ「不安」を煽り、安易な「癒し」を差し出せば判断能力は歪められ、人は喜んで搾取され続けるのだ。
その危険性について現代人はあまりに無防備である。
神世界、統一教会、テレビ霊能者から仏教、神道、キリスト教など既存の宗教まで、霊と金、宗教と経済の関係を対応させながら現代社会を鋭く読み解く意欲作。
[ 目次 ]
第1章 取引するカミサマ(ヒーリング・サロンに関与する人々 神世界はどこから来たのか ほか)
第2章 統一教会と霊感商法(霊感商法は生きている 統一教会とは何か ほか)
第3章 -
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2025年12月、山上被告の裁判について、連日報道がされている中、そうとは知らず(家にはテレビがないので)、本書を読んでいた。
「信じる」と言う行為は、個人的であって、他人が何かを言えるものではない(言ったとしても意味がない)。
改めて考えて見ると「信じる」と言うことは、良かったり、悪かったりもする。と言うかその評価そのものに意味がない。良いことだから信じる、悪いことだから信じないのではないからだ。
つまり善悪を受け付けないということだ
なので、信じると言う行為は誰も裁けない。
さて、この統一教会(本名は違うらしいが)という教団について、心惹かれるものがあり(えーっと、そう言う意味ではなく -
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フリーランスであった11年の間、特に後半スピリチュアルにはまって数十万を使った。明らかに怪しいコンサルにも大金を使った。4年前にそこから抜けられたのは、新興宗教が使う洗脳やマインドコントロールの原理を学んだからだった。
この本は、マインドコントロールについて新たな知見を得たく読んでみた。
●スピリチュアルに巻き込まれる四つの脆弱性
①社会経済的な脆弱性
②アイデンティティの脆弱性
③関係性の脆弱性
④知性の脆弱性
・不足のない学歴と安定した職業の持ち主は癒しを必要としない。家族や仲間のいる人、思考力と判断力に優れた人も、癒しは必要としない。
●p238
宗教団体別のリスク認知(金を出し続 -
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ネタバレスピやカルトに関わることで、自分に様々な影響が与えられ、考え方や態度が変わってしまう、認知が歪められるリスク。
スピやカルトは感性に働きかけて、状況の認識や価値判断を歪める。
p.213
「大学では学問を学び、諸説を比較検討する知的柔軟性を持つことや批判精神を持つことを教育目標に掲げる。ところが、勧誘され、入信した学生たちは、信じること、指導者に従うこと、疑問を持たないことを信仰的であると教え込まれ、他の学生を勧誘し入信させることこそ信仰活動だと思うようになる。布教のマシーンに組み込まれ、従属的な人間になるために彼らは大学に入学したのではない。」 -
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平たく言うと「ぼったくられるスピリチュアルビジネスには要注意」という主旨の本。
筆者は基本的に「スピリチュアルと呼ばれるものは怪しい」というフィルタをかけておられるようだ。
スピリチュアルなものを求める社会環境や無宗教といわれる日本の国民性などに言及し、スピにはまる日本人は危ういとお考えのようだ。
私は、この世界は玉石混交であり、すべてが怪しいと決め付けることはないと思っている。
筆者の範疇のなかに、「まじめにスピリチュアルビジネスをやっていて、かつそれで救われている人たちがいる」というジャンルが抜けている。
ぼったくるわけでもなく、正当な対価として妥当であると思われるプライシングで提供 -
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