氷上英廣のレビュー一覧
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ツァラトゥストラは保険が効く本だ。
「読んでもよくわからなかった」というのは、ある意味でこの本に対する褒め言葉ともなっている風潮があるのではないか。
そんな悪しき風潮のために、「読んでもよくわからないだろうな」を前提にして読む者もいる。そして読み終わった後、彼らは「よくわからなかった」とニヤケ笑うのだ!
ああ吐き気!
彼らは中途半端な教養主義という一つの意志を持って生きているのだ!
彼らは、この本によって彼らのような人間、自分自身が批判されていることにも気づけてはいないのだ!
彼らが真に欲していたのは、「ツァラトゥストラを読んだことがある」という経験だけだったのだ!
しかしそれに何の意味がある -
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自ら善悪を判断(創造)し、苦しいことは幸福として受け取り、それを自ら超克せよ。→これが上巻を超要約した感じはこんなんかなーー。
・今我々が立っている大地に目を向けろ(「神は死んだ」)
・自分自身を喜ばせることをしろ、そうすれば人を悲しませたりすることはなくなる
・人間は平等でもなく、平等になるべきでもない→超人への愛があるから。最高の戦いをして、自己自信を超えて高みを目指さないといけない。意志がとても重要(真理への意志、力への意志)。
・善悪は自分自身で自分自身を繰り返し彫刻しなければならず、また善悪において創造者とならなければならない者は、まずは破壊者となってもろもろの価値を壊さなけ -
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ニーチェの鋭さの中に少しの狂気も感じる。
人生生きることは、悩むことに過ぎないとある者は言うが、それなら人生をたんに悩むだけになるように用いたらどうだ!
死の説教者が、他人の人生をおのれの贈物の鎖でもってますます束縛するとは何事か!
そうした連中は、人生からの脱出を説教するとともに、自らも立ち去ってくれることを私は望む!と。
女は謎、だが謎を解く鍵は一つ、それは妊娠。
女にとって男は一つの手段である。目的は常に子供。「わたしは超人を生みたい」ということでありなさい!と。
男性は危険と遊戯を求める。だから、女性をもっとも危険な玩具として求める。
男性は戦いのために教育され、 -
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ネタバレ主に「超人」について語られた上巻から一変して、下巻のメインテーマは有名な「永劫回帰」へと転換する。
この世の一切は永遠に、何度も何度も繰り返す。繰り返すからといって、少しずつよくなったり、悪くなったりするわけではない。一切は全く同じように繰り返す。
もし自分の人生が終わった瞬間に、また初めから同じことを繰り返せ、しかも永遠に何度も、と言われたら?普通の人は発狂してしまうだろう。
が、ツァラトゥストラは、永遠に繰り返す世界に絶望するのではなく、生を愛し、永劫回帰を受け入れ、何度でも生きてみせる強靭な精神をもつことを要求する。
ツァラトゥストラ自身も初めは「ああした人間が永遠にくりかえしやって -
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以前、『道徳の系譜』やらニーチェ解説本やらを読んでいたときは、個人的に「魂の救済」をテーマに読書をしていたので、やたらキリスト教を否定するニーチェの良さがよくわかっていなかった。ニーチェの思想で弱者を救えるかよ、と。
本書を読んでわかったことは、ニーチェの思想は決して「強者の論理」というわけではない、ということ。
むしろニーチェは弱い人間が強くなるための思考法を提示しているのであって、「超人」思想を説く主人公のツァラトゥストラでさえ、理想的な強い人間(=超人)には完全にはなりきれていないと思わせる箇所があった。
「俺のように強い人間になれ」というよりも「俺と一緒に強い人間になろう」と言 -
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最近になって読んだ本の中に、
「若いときに読んでいたらよかった」という
ものは、いくつもありますが、
これもその一つです。
神を否定した実存主義、キルケゴールは神に向かう実存主義。
19世紀の実存主義は、20世紀のそれに比べ、
社会性がない。
などの知識はあり、書名もインパクトがあり、
若い頃から知っていましたが、
初めて読んでみると、
たいへん感銘を受けました。
まず、全体を流れる、ニヒリズム。
ニヒリズムとは、辞書によると、
「既存の価値体系や権威をすべて否定する思想や態度」
だそうですが、
19世紀にニヒリズムを全うするニーチェの強さを実感するとともに、 -
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ニーチェ 「 ツァラトゥストラ はこう言った 」上巻は キリスト教世界の価値観を批判し、超人という新しい価値観を創造。
時間概念も少し入ってきて永遠回帰につながる感じ。面白い。岩波文庫なのに 注釈が なくても読める。比喩の意味に迷う時もあるが、何となく 意味は理解できる
女性や戦争については 現代感覚とズレはある
蛇=永遠回帰の知恵の象徴
鷲=知恵を身につけた超人の象徴
太陽=超人〜人間は他人の幸福を妬むが 太陽は妬みを克服
「人間は克服されなければならない或物である」
ツァラトゥストラ「人間は 動物から超人へ わたる一本の網」
*この網は 超人へいたる希望の橋
*そこそこの幸福、 -
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ネタバレ【熱血・超人説教】
第1部と第2部が収められています。
ツァラトゥストラ、という主人公が、なんだか人間を超えようと修業したのちに山を下りてきて、人間たちに説教をする、というような流れです。
ちょっと分かるようなところもあり、分からないところもありました。
難しさ、わざな部分もあるようです。ルター訳の新約聖書の文体、語りと掛け合わせて書かれていると、あとがきで解説がありました。
そのニーチェの工夫は、解説がないと大部分の日本人には伝わらないところだと思うので、解説大事だなーと思いました。
神に代わる、超人の存在を説く、のですが、いろいろな現生の人間の批判をしているというか、とにかくめちゃくちゃに -
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ネタバレ超訳ニーチェシリーズを読んでからのツァラトゥストラ。
少しは理解できるかな?と思って読んでみたけど、私の理解力では追いつけなかった(笑)
他の方々の感想を見ていて、本文を理解し、楽しんでおられる方が羨ましく、
私もそこのレベルまでいつかいきたいなと思った(笑)
言葉の意味を理解するのにも時間がかかり、
何度も読み返して咀嚼していかないといけない本だなと思った。
噛めば噛むほど味わえる、スルメみたいな本だなと思った。
私も超訳とかではなく、そのままのこの文章を自分の中に落とし込んでいって、
自分なりの解釈を考えることを楽しめるように、
ツァラトゥストラと対話できるようになりたいな。
「今のレベル