久保勉のレビュー一覧
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ネタバレギリシアの哲学者ソクラテスの弟子プラトンによる、愛と知をめぐる対話。学生時代に熱心に読んでいたが、ひさびさに通読。
少年愛という習慣があったギリシアで、対話のしめくくりは、ソクラテスに横恋慕する弟子の登場でしめくくられる。文学性が高いとされるが、そのあたりはよくわからない。
ただ、ディオティマとの対話を引き出して、ソクラテスが「エロスとは美や善そのもの」と信奉する若者を論破していく下りは、知の遊びとしておもしろい展開。AはB
である。しかし、AはBとは反対のCでもある。という矛盾した対立項をおさめるために、親の話に例えるとは。
愛情とはなにかについて、あらためて考えさせる一冊。もちろん抽 -
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『いけない、いけない、あの人は放っておいた方がいい、それがあの人の癖なんだから。所かまわずどこかへ、人通りを避けて立ち続けることがよくあるのだ。が、いずれまもなく来るだろうと思う。だから邪魔をせずに、放っておいてくれたまえ。』(アリストデモス)
『実際人は次のようなことを熟思するべきである。明らさまに愛するのはひそかに愛するものよりも美しく、しかももっとも高貴にもっとも優秀なものを―たとい彼が他のものよりは面貌が醜いにせよ―愛するのは特に美しいといわれていることを、さらにまた、万人が恋する者に与うる異常なる―しかも何か醜悪な行いのあった者にはけっして与えられぬごとき―鼓舞を、かつ恋愛における -
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・・・ソクラテスは、最後に立って、そのまえになされた演説者の華麗なエロス讃歌とは対照的に、いつもの対話の方法によって、まずエロスの本質そのものを想定し、そのうえで、巫女ディオティマから聞いたという「廉価井修業の奥義」を物語る。肉体的愛から精神愛へ、さらに美のイデアの感得へと究極してゆく、このソクラテスの話は、深い哲学的真実をひときわ美しく表現している・・・(扉紹介)
ディオティマによれば、『エロス(恋)とは、善きものが永遠に自分のものであることを目ざすもの』であるという。不死への欲求から人は肉体的に身ごもるが、それより上位に精神的に身ごもることがあると説いている。法律を産み出す、流麗 -
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自分の正義感というか信念を曲げずに生きるというのは難しい事ですが、処刑を受け入れてまで曲げない、というのはちょっと常人には不可能に思います。
一番大切なことは単に生きるそのことではなく善く生きること。善く生きるとは美しく正しく生きるということ。
わかりますよ。わかりますけど、、、
学べた事は、なんでしょうね。まあなるべく自分に正直に生きる。って事ですかね。
あとは前半にある、分からない事はわからないと自覚する、方が知ったかぶりより大分良いという事くらいでしょうか。
いずれにせよ2500年前の人の考え方を知れる。これも読書の素晴らしさの一つですね。 -
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不正な死刑判決なんてうっちゃって逃げようとアドバイスする友人すらも淡々と論破する真の論破王ソクラテス。
終始ソクラテスが突き抜けてサイコパス(ロジカルすぎて感情とかプライドとか置き去りまくる)だし発言の一つ一つが裁判官煽ってて(正しくても)そりゃ反感買うよなーとか、若者がソクラテステンプレ使って社会問題になるのとか現代と同じやん…とか、ここからのプラトンの『国家』か…とか、いろいろかなり楽しめる本でした。結構声出して笑った。
ソクラテスの一貫性、言行一致の態度は本当に見事。でも、普通の人はあなたほど理詰めでは生きられないことにも気づいてほしかったよ… -
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某漫画に影響されての哲学する(あちらは倫理♪)
単純♫
で、本作の主演はソクラテス、著述プラトン。
世界史的な知の巨人の師弟がガッツリ絡み、分量もボチボチ。
哲学始めに最適ね♪と軽く選んだ本書。
でも、何これ、傑作。
ソクラテスの弁明 は「はい、論破」な法廷物で気持ちいい。そして クリトン。
死刑確定のソクラテスに逃亡を奨める親友クリトン。
変わらぬ友情に謝しつつ、死を選ぶソクラテス。
2人は国家と個人、法と正義について語りあう。
『生きろ』と説得する友を優しく論破する男の横顔に、真善美を血肉化した偉大な哲人の誇り高い魂を見る。
穢れた私には眩しすぎ、実は泣きかけた。
二千年、読みつがれるに値 -
Posted by ブクログ
難しい…と思いながら読み終わってしまい、投稿まで時間が空いてしまった!
難しいと感じる最大の理由は、「エロス」という神が一つの人物像(人ではないけど)なのか、それとも恋や愛という概念として語られるものなのかがなかなか掴めなかったことでした
ネットに上がっている要約に助けられながら振り返ります。笑
物語はソクラテス含む6人が、ギリシア神話のエロス神を称えるという形式で進んでいく。
エロス=恋(少年愛)に関して、6人が様々な意見を戦わせる。
・古さゆえにエロス神は「善さ」の源泉であり、徳と幸福をえるために最も強い力となる
・エロスには2種類あるが、世俗的な恋ではなく、理性的 -
Posted by ブクログ
愛についての本。運命の人ってフレーズは、元々2人がくっついていたけど、切り離されて、片割れを探しているって話が由来らしいよ。
純粋な愛は男性同士の愛ってのは面白いね。性的な何かも含めてなんだろうけど、それより人として好きって感覚なのかな。人まで見て好きになれるのが一番いいよね。
ソクラテスとアガトンの一説で、エロースは美を求める美しい神という主張に対して、美を求めるってことは、美を持たない。→対象に対して欲求する愛を持っているなら、それは、欲求する段階ではそれを持っていないことになる。
なぜなら、持っていないものを求めることだから。かけている物を欲求する感じ。
人間もエロースも、知恵と無知の -
Posted by ブクログ
男女の恋愛ではなく、少年愛が主なテーマ。
ギリシャ時代、少年愛こそが崇高なもので、女性に興味を持ってるような男はまだまだ人間としてレベル低いやつ、というような考えだったよう。
フェミニストとしては、この時代で既に女性は男性に都合の良いように定義づけられてきたのか、、と悲しく思った。
ただ、愛というものは、最終的には1つの対象に対するものではなく、広い後世の世代に対しての教育意欲を掻き立てる=社会全体への貢献欲に繋がる、という点は、
自分自身の感覚や、アドラー心理学とも共通していて、やはり、人の欲求は最終的にそこに至るのだなと再確認できた。
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Posted by ブクログ
ネタバレエロスとは何か、
エロスを讃美するとはどういうことか、
次々にいろんな人が語る饗宴。
エロスを語るのに、
一緒に飲みながらという場面は、適切なのかもしれませんね。
愛と美に魅せられ、
酔い、
熱くなり、
ほめたたえる。
愛に溺れるのでもなく、
酒に溺れるのでもなく、
美そのものへと到る道を行くがごとく。
ソクラテスは、
自分がいかにエロスを知らなかったかを説き、
そしてさらにはエロスのなんたるかを語る。
この世界で、いま、エロスの神は賛美されているだろうか。
”なぜといって独力でもしくは他の誘導によって愛の奥義に到る正しい道とは次のようなものであるからです。それはすなわち地上の個々