山口輝臣のレビュー一覧

  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    幕末の江戸幕府や明治時代への印象が変わる本。
    徳川家茂は一橋派との跡継ぎ争いに勝利し将軍の地位についたものの若くして病死した程度の印象しかなかったが、実際には積極的に上洛を行っていたらしい。
    また、江戸幕府は保守的だったため倒れたのではなくむしろ改革を行ったことにより瓦解していったという見方も面白かった。
    そして始まった明治時代に関しても、江戸幕府が倒れた後武士は一体どうしていたのか、明治時代の終わりはどのようなものだったか等が、明治時代の人間の視点から考えられている点も良かった。

    0
    2023年11月16日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    明治史は高校までの歴史の授業では、あまり深く教えられていないと感じているが、大学でこのような講義が行われていることに感心した.明治維新の内容を細かに追跡した 第二講 幕府はどうして倒れたのか? は、まとまった論考だ.文久インパクトと名付けた解説は秀逸.第六講 日露戦争はどうして起きたのか? も、元老の存在を前面に掲げて解き明かす感じのストーリーは楽しめた.また、第五講で解説されている「華族」については、知らないことの連続だった.面白かった.

    0
    2019年06月30日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    2019年3冊目。日本史は受験科目ではなかったので、明治史は大きな出来事しか知らなかったけれど、この本でいろいろなことを知ることができました。徳川幕府は倒されたのではなく瓦解したのだとか、内閣総理大臣の権力は強くなかったとか、日露戦争の前には満韓交換論で纏まろうとしていたなど。
    そして、明治天皇、大正天皇、昭和天皇と崩御の際の祭り事が少しずつ簡略化されてきていることは、今上天皇の御退位に向けて、最も参考になりました。昭和の終わり、M社では事前に喪章を準備していて、崩御の報と同時に店の社員、アルバイトさんに喪章を付けるよう連絡しようとした時、当時の副社長級の方から、準備していたという印象を与えな

    0
    2019年01月11日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    明治維新150周年が終わったとたん、明治に興味が涌く。。ちくまプリマーにしては難しめだと思うけれど、だからこそ学ぶところ多し。

    0
    2019年01月04日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

     最近,「西郷どん」の影響か,明治が気になります。
     本書を読むと,「明治時代とはどんな時代だったのか」…その概略がつかめます。年号と天皇の世が一致していた最初の時代。天皇は死んだ後,明治天皇と呼ばれていますが,こういう風な諡のようなことは,明治からです。明治・大正・昭和・平成…このような日本のやり方がこれからも続くのか,それとも年号や天皇などはなくなっていくのか,それは,後世の国民の選択に俟つべきでしょう。
     少なくとも,この明治の時代は,そこで生きていた本人たち自身が「私は明治の時代を生きている」と思っていたということです。だからこそ,「明治史」という視点で歴史を見る必然性も出てくるのでは

    0
    2018年12月02日
  • 思想史講義【大正篇】

    Posted by ブクログ

     大正期を代表する思想と歴史を、15の講義と11のコラムにより論じたもの。
     編者の「はじめに」で大まかな見取り図が示されている。明治期の政府は、文明化の推進と「国体」の確立をめざした、しかし、この試みは、天皇の死と代位に伴う「国体」のほころび、及び第一次世界大戦の衝撃による文明化の変容(西洋化ではない「文化」の発見)により大正期に入るころから変化を強いられてきて、それがこの時代の思想や運動に現れてくるという。

     興味を持ったところを以下簡記。
     吉野作造の民本主義(第3講)や天皇機関説論争(第2講)、大正マルクス主義(第5講)や大正アナーキズム(第6講)などは定番のテーマだが、要領よくまと

    0
    2024年02月02日
  • 思想史講義【戦前昭和篇】

    Posted by ブクログ

     この昭和戦前期を「国体」の再構築と「文明化」の超克が目指された時代として意義付け、それに応じたテーマで各講が取り上げられる。一つ一つがかなりの歴史的背景を持ったものであるので、項目によっては消化不良を感じるものもあるが、最新の研究動向を知ることができて大変勉強になる。興味を持ったものについては、各講末に付されている<さらに詳しく知るための参考文献>によって、更に深堀りすることもできるだろう。

     以下、個人的に特に興味を持ったもの
    〇第3講「講座派と労農派」
     講座派と労農派の対立点などについて一応の知識は持っていたが、両者の相違点がよりクリアに理解できた、①日本資本主義の発展の起点となった

    0
    2023年09月30日
  • 思想史講義【明治篇Ⅰ】

    Posted by ブクログ

    <目次>
    第1章  王政復古
    第2章  祭政一致
    第3章  公議
    第4章  修史
    第5章  万国公法
    第6章  征韓と脱亜
    第7章  自由民権
    第8章  政論
    第9章  郡県と封建
    第10章  富国強兵
    第11章  文明開化
    第12章  人種改良
    第13章  国語
    第14章  自治
    第15章  衛生
    第16章  元気

    <内容>近現代の思想史のシリーズ第1巻。前半は政治史などとリンクしやすかったが、中盤以降難しめになり、後半は教科書レベルではついていけなかった。

    0
    2023年04月08日
  • 天皇の歴史9 天皇と宗教

    Posted by ブクログ

    日本の長い歴史の中で、天皇は国民のための祭祀を神に捧げることが重要な役割であったし、また現に毎日のように多くの祭祀の時間が割かれていることは改めて思い知らされた気がする。仏教と関係は7世紀の伝来当時から異国の宗教であり、日本の神の怒りを招く考えられていたこと、それが幕末からの神仏分離の流れに続き、「天皇・皇室は国民ではないので、信教の自由はない」と知識人たちには公然と語られてきたという明治以来の歴史、信仰の自由というときに、キリスト教ではなく、仏教が意識された時代が長かったことは、気がつかなかったことである。昭和26年に死去した貞明皇太后は熱心な仏教信者だったが、仏教を認めず古式の葬儀で行われ

    0
    2023年01月03日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    ちくまプリマーのはじめてシリーズはどちらかというと中高生向けに仕立てられており、なんとかついていけた。のだが本書は東大生向けの講義をまとめられており、ちょっとしんどかった。第ニ講が一番面白かったかな。説明されているのは幕末だけど。

    0
    2021年01月11日
  • はじめての明治史 ──東大駒場連続講義

    Posted by ブクログ

    幕府はどうして倒れたのかから、明治はどう終わったのかを、歴史家の視点で描くことで歴史のオモシロさを抽出する。
    今の感覚からすると「明治はどう終わった」って聞かれても「明治天皇が崩御したからだろ」と後出しジャンケンの回答しか出てこない。当時はそうではなかったわけで「一世一元」制の確立に始まり、特に諡号をどうするかなどいろんなことを制度として確立する必要があったことに、改めて「なるほどね」と思う。そして明治神宮の設立には呆れてしまった。景気対策だったなんて。

    0
    2019年07月03日