井川博年のレビュー一覧
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フォロワーさんのレビューで知った詩集。
うつくしいことばと、純粋さに、わたしの忘れかけていた何かが共鳴した、ような気がした。
重吉の詩のことばを借りれば、「ほそいがらすがびいん」と鳴って、壊れるように。
壊れた「がらす」は粉々になって、光にきらきらと反射してプリズムとなる。
重吉の詩を読んで「びいん」と鳴ったひとは皆、そのうつくしさに惹かれるのだろう。
重吉はずっと、かなしさを抱えてた。
愛する妻と愛らしい子たちはいても。
平安な日々を送っていたときも、詩では「はらにたまっていくかなしみ」と書いていたことを知って、後に妻の富美子さんは、『八木をひたしていた【かなしみ】とはなんだったのだろ -
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石垣りんさんの詩集ですね。
永遠の詩シリーズ 05 の作品です。
このシリーズの魅力は、時代に関わらず読み次がれていける作家と作品を見事に紹介されていることですね。
石垣りんさんの詩集も、ものすごく受け入れやすく、働く私たち職場の隣に席する仲間だという事だと思います。また、『職場の詩人』であり、『詩情豊かなロマン溢れた詩人』でもあるようですね。
石垣りんさんは、2月生まれ(21日)との事。初めてふれる詩人の誕生の月に巡りあえて二重の喜びでした。
同時に、茨木のり子さんの大親友(石垣りんさんが六歳年長)であられたようなので、親しみを増しました。
解説の井川博年さんは語られています。
「現実 -
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書店で表題作に胸を突かれて購入した詩集。
なんて美しくて悲しい詩なんだろう。
それでも、日差しを受けてキラキラ光る雨粒や、降り注ぐ光、雲間からの青空が浮かび、光に満ちて神々しい。
29歳でこの世を去った八木重吉。
名前は重々しい響きだけれど、彼の紡ぎ出す言葉達は、コロコロと楽しげで、軽やかで、美しくも悲しい。
可愛らしささえ感じる素直な目線と柔らかい文章、
そして唯一無二の表現力に、貴方もきっと心打たれるはず。
「果物」
秋になると
果物はなにもかも忘れてしまって
うっとりと実ってゆくらしい
うっとりと実るだなんて表現、他に誰が出来ようか。
たっぷりと果汁を含んで甘く熟している様を思い浮 -
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ネタバレ八木重吉の名前を知ったのは最近なのですが、どこで知ったか忘れましたが(アンソロジーかなにか?)とにかく、この人の詩集をもっと読んでみたいと思わされました。
それで、探したらこの『永遠の詩』のシリーズが一番入手しやすいとわかり、このシリーズを集めだしました。はじめに八木重吉ありきでした。
とても透明感があって、とってもピュアで美しい詩ばかりでした。
私のレビューより、ご存知ない方の為に、短い詩が多いので何篇かまとめてご紹介します。
「素朴な家」
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りいだすだろう
<解説より>
八木重吉の詩で一番好きな詩に「素 -
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ネタバレ初期の詩は、少しこわいくらいの精神力の強さが感じられました。
少女の頃から一家の生活を支えて、家族を次々に亡くしたという環境もあったことだと思われます。
初期といっても、初めての詩集『私の前にあるお鍋とお釜と燃える火と』を出されたのは39歳という遅咲きの詩人だったそうです。
晩年の詩は肩の力が少し抜けたようなかんじで、しみじみと心に染み込んでくる味わい深いものが多かったように思います。
「崖」
戦争の終わり
サイパン島の崖の上から
次々に身を投げた女たち。
美徳やら義理やら体裁やら
何やら。
火だの男だのに追いつめられて。
とばなければならないからとびこんだ。
ゆき場のないゆき場所。
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ネタバレ「永遠の詩」シリーズは、まだレビューにはまとめていませんが、全巻、既読です。その中でおそらく誰もが親しみを覚える詩を書いているのがこの「獏さん」こと山之口獏さんです。
社会のことを書いても、ユーモアと明るさがいつもあって、親しみやすい方です。
むずかしい語法の詩はひとつもありませんが、「たった一篇ぐらいの詩をつくるのに/100枚200枚だのと/原稿用紙を屑に」するほど推敲を重ねているそうです。
「ねずみ」
生死の生をほっぽり出して
ねずみが一匹浮彫みたいに
往来のまんなかにもりあがっていた
まもなくねずみはひらたくなった
いろんな
車輪が
すべって来ては
あいろんみたいにねずみをのした
ね -
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八木重吉さんの詩集ですね。
「永遠の詩シリーズ」八巻目です。
「永遠の詩シリーズ」はこの作品が最後です。思えば、詩へのいざないの出会いでした。
全八巻、いずれも私には近しい詩人たちでした。詩集と言うとなんだか別の世界の言葉のように感じられていました。
このシリーズの作品はわかりやすく、心に実にしみてきます。
八木重吉さんの詩集は初めて読みましたが、軽やかでいて美しい響きがあります。
短い言葉の中に、思いの丈をこめて解き放したかのようですね。自由律俳句のような簡略化の極みが感じられます。
八木重吉さんの生涯が詩句の解説で寄せられていますが、小さな幸せをつかみながらも、若い身で病に倒れなければなら -
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山之口貘さんの詩集ですね。
永遠の詩シリーズの三冊目です。
貘さんの詩は、初めて読みました。そして驚きました。
日本人の詩は、どちらかと言うと内省的で何かしら暗い影があるものなのに、貘さんの詩は明るさとユーモアに溢れていて1903年生まれの人とは思えない斬新さを持っています。
ほのぼのとしているようにみえて、本質をついた鋭さがあり、スッキリとしたわかりやすい表現が魅力ですね。
解説の井川博年さんは語ります。
「貘さんの詩には、いまの日本の若者を惹き付ける魅力がある。貘さんの生き方に共感を覚える人も多いだろう。貘さんはいつも娘さんに語っていたという。『ほんとうの人間はそんなに多くないんだよ。僕は