沢村貞子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
愛してやまない1冊です。
残業の帰り道、この1冊にどれ程心を癒されたことか。
献立日記の名の通り、本書の大半は著者が26年間綴り続けた献立が載っています。26年ですよ。
年数だけでなく、その中身も圧巻です。主食から副菜、汁物まで、忙しい女優業でありながらこんなにも丁寧にきちんと毎日を送っていた人がいたなんて、とただ驚くばかり。
日々の暮らしを丁寧に扱う心意気が、ページを開く度にこちらにまで感じられて、それが忙しい日が続いてもなお「私も毎日を丁寧に過ごそう」と思い起こさせてくれたのです。
さて、そもそも私が本書を手に取るきっかけをくれたのは、平松洋子さん。
いわく、「献立日記は、沢村貞子にとって、自分の人生を全うするための心棒であった。それは、脇役女優として懸命に働き、たいせつにした夫婦の暮らしを守り通すための盾であったかもしれない。だからこそ、恬淡と綴られた献立日記はぴんと背筋を伸ばした気の張りを湛えている。それは、沢村貞子の生きかたそのものである」
書かれているあとがきも、素敵です。
本書に綴られているエッセイにはところどころ毒も混ざっていて、著者が聖人ではないことに安心します。
読んでいて感じるのは、世間の目よりも何よりも、自分がよしとしたものを、自分の軸できちんと判断して最後まで大切にする姿勢です。
献立を眺めるだけでもそれが感じられる。ため息がでそうなくらい、その生き様が凛々しくて。
同時に季節に即した献立リストは、何を作るか迷った時のヒントになる。ずっと大事にしようと思います。 -
Posted by ブクログ
主役として輝く人より、二番手、三番手に惹かれるのはどうしてか…と思うと、
やっぱり、周りから見れば「負け」をつきつけられている状態で、
それでも飄々と、周りに流されない本当の価値観を見せてくれるからなのかなと思います。
沢村貞子さんは、日本を代表する”脇役女優”。脇役がいいんです、とご本人も書いていました。
沢村さんの本を読んでいると、書いてあるのはごくふつうのことです。
マイペースが好き、でも自分を甘やかすのは苦手。後悔したり恥をかいたりもされています。
がむしゃらにトップを目指すとか、一旗あげてやるとか、子どもを産んでも
夢をあきらめないとか、そういうまぶしいポジティブさにさらされ疲れてしまったとき、
沢村さんの言葉は、みずみずしいものに触れられた気分にさせてくれます。
私にとって、自分をゼロに戻すリセットボタンが、沢村貞子さんの本です。