内山節のレビュー一覧
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太古から受け継がれてきた信仰を生み出した風土と結ばれて、日本の大乗仏教は成立する。
仏教に共通するものがあるとすれば、「自己否定」というところでしょう。
自分はどうでもいい存在として生きていることに気づき、そのような存在の在り方を楽しむ。Posted by ブクログ -
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか。前半部は上野村をはじめとした自然に思いを馳せる程度だったが、中盤部以降、今まで自分が触れることのなかった思考体系をなぞり、脳が興奮した。今まで触れることはなかったけれど、でも感覚的に理解できる思考体系で、自分の中からスルスルと何かが引き出された、そんな気分...続きを読むPosted by ブクログ
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すべてが遠くなっている感覚・・自分事でなくなっている感覚。それはわかる気がする。普段食べている食べ物も、誰から・どこから来ているか知らないし、家もどこから来たものなのかわからない。目の前にあるけど、その先が見えないものに囲まれて。社会のシステムも、その先のつながりがわからない、ただ搾取されるだけ・・...続きを読むPosted by ブクログ
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内山節氏の文章は身近な問題を哲学的に説明してくれてわかりやすい。
この本を読んだきっかけは「おこんじょうるり」を読んだからだ。イタコのばば様とキツネのおこんの心の交流のおかしくも悲しい物語だ。
我々日本人は昔話を読んで育ってくる中で、人と動物が心を通じ合わせたり喧嘩したりという、日常生活を共にするの...続きを読むPosted by ブクログ -
「共同体」という日本語は、明治時代になってから生まれた言葉だ。
この共同体なるものの基盤として、華厳経は「人間関係」を挙げている。大乗仏教ではそもそも自己も、真理も「空」だとされている。つまり、私たちが見ている現象には全て実体がなく、関係に本質を見出しているためである。関係自体も実体があるわけでは...続きを読むPosted by ブクログ -
ポランニーが主張するように「共同体の慣習」によって地域内経済は等価交換ではない。これは地域外経済にも作用する(p.19)。しかし、資本主義化の過程で、様々なものがシステム化していくなかで、この共同体的慣習による経済への作用は効果を薄めていく。
資本主義の原理として、「カネがカネを殖やす」ことが目的...続きを読むPosted by ブクログ -
「現代人」の視点から眺める景色は合理的思考や科学的思考によっては知覚されないナニカを排除する。
歴史も同様に意味を与えられない出来事を排除して直線的に「歴史」を作り出す。
意味を超えてそこに存在したナニカを知覚できなくなったことにより「キツネにだまされる」ことができなくなってしまったのではないだろう...続きを読むPosted by ブクログ -
○目次
まえがき
第1章:キツネと人
第2章:1965年の革命
第3章:キツネにだまされる能力
第4章:歴史と「みえない歴史」
第5章:歴史哲学とキツネの物語
第6章:人はなげキツネにだまされなくなったのか
あとがき
○感想
本書のタイトル「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」という命題か...続きを読むPosted by ブクログ -
「日本人はなぜキツネに騙されなくなったのか?」という問いを発端に、自然に対する日本人の精神的変化を考察する一冊。一年の半分を群馬県の山村で生活する著者の経験をまじえながら、歴史の本質に迫る議論が展開されている。
本書によれば、日本の伝統的社会では自然と人間の関係において「知性・身体性・生命性」それぞ...続きを読むPosted by ブクログ -
修験のお坊様2人と内山節の鼎談。修験の歴史とかも。女性受け入れをどうするのかとか、今どきの話も出てくる。縄文的なものとしての修験というのは最近の流行りなのかな。Posted by ブクログ
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お恥ずかしながら修験道なるもの、開祖らしき人物がその大昔にいるような「宗教」だとは露知らず、土着的な自然信仰かと無知にも程がある理解でした。
ということで最初から結構面白く読めました。
内容としては日本独特の感性からくる信仰についていろいろ思い巡らすということでしたが、当方としては、ケルト然り、地域...続きを読むPosted by ブクログ -
日本では、1965年を境にキツネに騙された、という人がいなくなったのだそうだ。
それはなぜか?
私が最初に思ったのはテレビ放映が始まり、情報が人づてではなくなったからとかそういうこと。
この新書では、誰もが思うような理由や、その観点はなかったが納得という理由、さらにそれらを組み合わせて見せて...続きを読むPosted by ブクログ -
好き嫌いがそこそこ分かれそうな内容です。非現実的・理想論と評価される可能性は高いかも。
要点は市場の発達により社会と乖離した市場経済になんとか社会性(人々の生活的な価値のことだと思う)を取り戻していく時代になってきたのではないか、という主張。
課題解決の効率化のためにある程度レイヤーを制限せざる...続きを読むPosted by ブクログ -
震災前のうっちーの著作を読んだのは初めてかも。
日本人の身体性、生命性、知性の歴史の物語でした。
「感想」を述べるには自分の中で諒解していないことが多くってそこまでには至っていないのだけれど、
これまで言葉にできていなかった『何か』を説明してくれているような気がした。
伊坂幸太郎が「人生は要約できな...続きを読むPosted by ブクログ