内山節のレビュー一覧

  • 半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代

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    社会企業が共同体として市場経済の外縁を彩り始めた。この新たな半市場経済という潮流がいったいどこに向かうのかは、語られていないが、これによって人としての幸福を感じる従業員のいる企業が成り立っている現状を伝えている。
    ここに弁証法的止揚の視点で語るのであれば、市場経済と半市場経済が互いに折り合いをつけて、新たな経済形態が生まれ発展することを期待したくなる。

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    2016年04月05日
  • 文明の災禍

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    震災後失われたものはなんだったのか。それは「未来の時間」である。原発事故は我々に現代文明が生み出した大きな矛盾を突きつけている。どうやって新しい思想を打ち立て、生きていくのか。厳しい問いがすべての人に投げかけられている。

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    2011年10月16日
  • 哲学の冒険

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    分野、趣味、関心事、主義主張に関係なく、皆さんに一度は読んでいただきたい本です。

    皆さんの当たり前が、近代に飲まれているかもしれない。

    私達の行為を凄く「みじめ」に感じてしまうかもしれない。

    私達はどう生きるべきか?

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    2009年10月04日
  • 修験道という生き方(新潮選書)

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    内田樹先生と藤田一照老師の対談の中で、行という取り組み方の説明があった。その中で、人間のあらゆる行動は、行となりうるという説明の中で、科学という探究活動も行となり得るという発言があった。

    自我を去り、比較や被査定の次元を離れて、未知に向かって道をあゆむこと。歩み方としては、言葉やテクニックから入るのではなく、五感を使って身体的に、呼吸も含めて、師匠を真似て肉薄するという、修行をすること。それにより、調い、人ならざる大悟や強さにつながる。
    そんな話があった。
    全てが行として実践し調え得るのであれば、人と人の関係や、チームビルディング、商売などの営利活動、ひいては自然と共存する社会のあり方にも

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    2025年10月19日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    ネタバレ

    キツネの話からはじまり、最後には歴史とは何かを語る、構成おもしろ本。
    キツネの話をしているときは正直なんかつまらなそ〜と思っていましたが、途中からアクセルベタ踏みで思ってもない方向に話が進んでいきます。
    直線的で発展的に語られる歴史はナショナリズムの隆盛にも寄与していて、その歴史はほとんど無意識的に我々のスタンダードになっています。
    ただ、この切り口からみる歴史のみに注目してしまうと、かつてのキツネに騙されていたようなタイプの歴史が見えにくくなっていきます。
    それがよいことなのか、わるいことなのか、私には分かりませんが、歴史の普遍性のなさ、みたいなものをよく感じることができたのが本書で最も印象

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    2025年10月18日
  • 文明の災禍

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    著者は、東日本大震災は、私たちの時代の転換点を画する出来事であった、とする。
    巨大システムにのみ込まれ、巨大システムが取り返しのつかない禍をひき起こす時代から、人間たちが確かな等身大の生を取り戻していく時代への転換。
    これからの社会は風土とともになければならない。ローカルな世界を基盤にして、自然や歴史、文化、他の人々とのたしかな関係を結びなおすのでなければ、人間は人間自身を破壊してしまうことになる、と内山は警告するのである。
    この哲学者のことばは、重く受けとめなければならない。

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    2025年10月13日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    タイトルだけ見るとオカルト系かな?と思ったものの、実際読んでみるとキツネに騙された話のある土地に住む人間たちの証言や感覚をきっかけに歴史というものを見つめる視点やその歴史などについて多岐にわたる角度から面白く切り込む本でした

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    2025年08月30日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    軽い気持ちで読み始めたら結構深淵な世界だった

    前半はだまされなくなった理由を、経済や科学、環境などから考察して、後半では現代人の歴史の捉え方にまでスケールアップする。

    言われてみると僕も歴史を一元的に見てたなぁ

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    2025年05月26日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    私は自然が好きで、これまで各地の秘境を巡ってきたが、いくら深い山の中に身を置いても、何峰か大山を越えていけば普段見慣れた、自然の加入する余地のない街が確実にあるんだよなっていう諦念に近い感覚が拭えない。たしかに深夜に鬱蒼とした山々を眺めるときなんかは、一時的に神的な恐怖を感じることはある。だけど、この感覚がある限りこれから先もキツネに化かされることはできないと思う。

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    2025年05月23日
  • 哲学の冒険

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    働くことの意味を見いだせなくなった頃に、ちょうど出会った。

    現実にはきっと、資本主義と自由との間になんとか折り合いをつけるしかないのだが、権力と金とがすべてのように見える今の社会に馴染めないわたしに、それでもよいと励ましてくれた。

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    2025年05月22日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    タイトルに惹かれて購入。現代は歴史や物事を知性を通して知覚することが重要視されており、その文脈においてはキツネに騙されるような、高度経済成長期以前の自然と人間のコミュニケーションや自然に霊性を見出していたような精神世界は見えざるものとなっている。
    この主張自体は面白いけどスピ系に悪用されそうな理論だなと思った(笑)

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    2025年01月11日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    1965年頃を境に、日本人はキツネにだまされなくなったんだって!?

    キツネにだまされるということが、本当にあるか否かについては敢えて問わず、ただその現象を考えてみて、こうして本にしちゃうところが面白い。

    昔は高度成長で、今ならインターネットやSNSで、知りうる世界がとても拡がったように思うけど、一方で、知らず失っている世界もとても多いのかもしれない、と思う。

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    2024年07月19日
  • 戦後思想の旅から

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    ネタバレ

    戦後の変革による思想の変遷がまとめられている。特に社会主義の説明は非常にわかりやすい。
    現代でも多くの人が抱き社会的な問題として指摘される空虚さや孤独の問題が、すでに1960年代から議論が始まっていた問題だったとは。
    結局、世界はこれらの問題に対する明確な対処ができないまま、今日を迎えているということになる。経済成長も鈍り、環境問題が先延ばしできない段階になった今、これらの問題はより切実になっている気がする。
    昔は○○だった、というけれど、昔から状況が変わっていないことも事実。状況を変えられるのはいつだって現在の自分なのだと、強く感じた。

    「大きな繁栄とともに大きな何かを失った」とあるけれど

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    2024年04月19日
  • 哲学の冒険

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    分かりやすく物語風に書かれた作品。哲学に関する本としては取っ掛かりやすく親しみやすい作品だった。
    哲学史をたどりながら自分の哲学を拡げていく話なので一方的な持論展開でなく、自身の整理にもなる。個人的には、自分の大好きな漫画『進撃の巨人』に通ずるところが沢山あり非常に面白かった。
    とりあえず、哲学は美しく生きるためのものらしい。哲学とは何なのか、自分とは何なのか、自由とは何なのか、私はこのままで良いのだろうか?と日々考えてしまう自分に嫌気がさすこともあったが、美しく生きるために必要だったんだと背中を押してくれた気がする。

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    2024年04月16日
  • 修験道という生き方(新潮選書)

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    太古から受け継がれてきた信仰を生み出した風土と結ばれて、日本の大乗仏教は成立する。
    仏教に共通するものがあるとすれば、「自己否定」というところでしょう。
    自分はどうでもいい存在として生きていることに気づき、そのような存在の在り方を楽しむ。

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    2024年01月21日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか。前半部は上野村をはじめとした自然に思いを馳せる程度だったが、中盤部以降、今まで自分が触れることのなかった思考体系をなぞり、脳が興奮した。今まで触れることはなかったけれど、でも感覚的に理解できる思考体系で、自分の中からスルスルと何かが引き出された、そんな気分。

    "事実(だと思っていたこと)"は、全て現在の社会が持つ尺度によって規定されているもので、その尺度からこぼれ落ちた物事は見えなくなってしまう。現在は「知性」という存在が大きな力を持っていて、だから「知性」では説明できない「何か」を、私は見ていない。時間と共に「知性」は発展して

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    2024年01月02日
  • 新・幸福論―「近現代」の次に来るもの―

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    すべてが遠くなっている感覚・・自分事でなくなっている感覚。それはわかる気がする。普段食べている食べ物も、誰から・どこから来ているか知らないし、家もどこから来たものなのかわからない。目の前にあるけど、その先が見えないものに囲まれて。社会のシステムも、その先のつながりがわからない、ただ搾取されるだけ・・。
    そうやって、すべての関係が希薄に、遠くなっていく。
    日々の生活に追われて、コミュニティに所属・コミットする余裕もなく。
    自分にとっての幸福とはなにかと考えて、そのコミュニティを大事に生きていきたいと思う。

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    2023年11月21日
  • 哲学の冒険

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    中学生にも読みうるように、という条件のもとで、哲学史に題材を取りながら著者が自らの問題意識を語った哲学への案内。
    自分の手で働いて生きる者のための哲学、と著者は自ら謳っている。
    生きることの意味を明らかにすることは、働くことの意味を明らかにすることに他ならない。働くことの意味が決定的に損なわれた近代において、それを回復させるために何が必要か、という内山哲学の原点が、きわめて平明な言葉で綴られている。

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    2023年10月19日
  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

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    内山節氏の文章は身近な問題を哲学的に説明してくれてわかりやすい。
    この本を読んだきっかけは「おこんじょうるり」を読んだからだ。イタコのばば様とキツネのおこんの心の交流のおかしくも悲しい物語だ。
    我々日本人は昔話を読んで育ってくる中で、人と動物が心を通じ合わせたり喧嘩したりという、日常生活を共にするのが自然に感じてきた。これらの動物は人間の言葉を話しお隣さん的に助け合ったりしてきた。そのことに全く違和感を感じなかった。それくらい身近にいて共生していたのだ。それだけ人が自然の中で生きていたのだ。しかし、科学の進歩や経済の発展によって人間は変わり、自然との距離を隔ててしまっただけでなく、自然の領域ま

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    2023年08月10日
  • 内山節と語る未来社会のデザイン3 新しい共同体の思想とは

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    ネタバレ

    「共同体」という日本語は、明治時代になってから生まれた言葉だ。

    この共同体なるものの基盤として、華厳経は「人間関係」を挙げている。大乗仏教ではそもそも自己も、真理も「空」だとされている。つまり、私たちが見ている現象には全て実体がなく、関係に本質を見出しているためである。関係自体も実体があるわけではないので、「空」とされる(p.77)。

    そこで華厳経では、「一即一切」という考えを大事にしている。宇宙の全真理はホコリくらいの世界にあり、一と全ては同じ、という考えだ。つまり、真理はひとつの小さな世界にあり、それはすべてが関係で結びあっているためだからだ(p.79)。また、華厳経は利他も重要視して

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    2023年08月09日