中里友香のレビュー一覧
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第二回アガサ・クリスティー賞受賞作。
第一回の作品もそうだったが、これも衒学的な要素が多い作品である。
アガサ・クリスティー賞ってこういうのが好きなんだろうか?それともたまたまか。
ミステリを対象にした賞だが、この作品については、ミステリの要素は少なく、むしろ幻想的かつ耽美的な物語となっている。
現在と過去の話が入れ子のようになっていて、時間の流れもまたこの物語の重要な要素ではないかと思われる。
最初は得体の知れない無機質な人物のように思われたシグモンドという人物が、だんだん人間性をあらわにしていく様にとても惹きつけられた。
論理学や高度な言葉遊びなど、計算されつくした構成だが、読みにく -
Posted by ブクログ
ネタバレ充実した密度のある翻訳調の文章に、単なるミステリではなく衒学、哲学、耽美、冒険etcの豊かな物語で、受賞するのも納得できる。
自分は第二部がとても好き。
数奇な出来事によって、シグモンドとミュリエルの宙に浮いたような関係性。ずけずけと描いたらすぐ崩れてしまいそうなこの叙情的な画を、描ききったところがとても良かった。二人の結末と彼女の求める真実が明らかにされたところで胸にいろいろと思いがよぎる。
第三部最初のページみたいなのに弱いのです。
文体がけっこう特殊で、そのあたりが読みにくいと感じる人はけっこう出てしまいそう。
例えば、
「斜に構えた顔の左半分が街灯に煙っていて、男のくせに妖艶なる凄 -
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これはライトノベルなのかな? 登場人物は美少年、美少女だし、異能は使うし、名前の漢字はこむずかしい。話を構成するパーツはすべてライトノベルの作法だし、出版元のレーベルもライトノベルだ。
けれど、ライトノベルって「実は異世界の勇者」とか、古くは「橋の下で拾われた王子(王女)様」とか、読み手の少年少女が自分がこうであったらいいな、という憧れを具現化した形なのではないかな。(知らないけど)
この本は面白い。
けれど、この本に出てくる登場人物になりたくもなければ憧れもしない。できれば人生においてかかわりになりたくない。そういう魅力のある本だ。
……つーか、このライトノベル読める人って、一 -
Posted by ブクログ
ネタバレカテゴリはミステリかな?
カンパニュラの銀翼、好きな世界で、文章も読みやすく面白かった。
場面、時代(というとネタバレになるかな)や視点が変わって話が展開するんだけど、何が謎なのか、何の関わりなのか中盤以降まで見えない。
シグとベネディックの秘密にはちょっとびっくりしました。アガサクリスティー賞受賞ということで読み始めたからかな?想定外の謎と解法でした。
シグモンドのイメージは当初、美しくて、特別に青い血の持ち主なだけに、もっと厭世的で無気力な、人嫌いかな?と思っていたのに、生まれの特異さや環境の割には普通の不器用な青年で、その感情が出ていく様が素敵だった。
ミュリエルとの関わりあいは切