ちょっとBLを思わせる表紙につられて手に取りましたが、中身は正真正銘の外国作品。登場人物の長い名前を覚えるのに時間がかかり、ストーリーもなんだかあまり展開せず、もたもたとした思いで読んでいました。
堕落した資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、子息の優秀な外面づくりをさせられていたエリオットは
...続きを読む、ある日、子息が死亡したことによって役目が終了し、お屋敷を追い出されます。もとは使用人の子であったエリオットを本物の兄だと思って、慕っていた目の見えない妹は、真実を知ってもエリオットについていく道を選びます。そんな二人の前に、シグモンドと名乗る美しい男性があらわれて・・・。このシグモンドの美しさにはとても忌まわしい秘密がありました。
堅い雰囲気で始まりだし、なかなか話の中へ入り込めませんでしたが、中盤あたりからやっと面白くなってきました。
「濃すぎる血」。これがキーワードですが、1920年代のヨーロッパ、貴族社会には、こんな隠された忌まわしい慣習があったのでしょうか。生まれて来る子供はその罪をかぶり、五体満足の子は少ないようです。
事件はあっても「謎解き」も「捜査」もないのがこの作品です。第2回アガサ・クリスティー賞受賞作ですが、ミステリーというよりも切ないファンタジーのような気がしました。