あらすじ
黒十字サナトリウムは患者様の性別、年齢、人種、また資産や社会的地位など一切を問いません。けれども一つだけ共通点がございます。此処にいる方は、どなたも御自分を吸血鬼のたぐい、異形の存在だと思い込んでいらっしゃるのでした…。その家はいつしか『吸血鬼屋敷』と呼ばれるようになった。そんな彼らが集う、黒十字サナトリウム。復活祭の日、何かが起こる―。第9回日本SF新人賞を受賞した、流麗かつ壮大な幻想譚。※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
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Posted by ブクログ
8+1の短編からなる連作。読みづらい、分かりづらい話もあったが、この美しく妖しい世界観に惹き込まれた。日本SF新人賞(新人賞!?)受賞作品。
双子のミシィカ&レイナが登場してから断然面白くなる。一番気に入ったのは最後の話かな。ああ、カイ…。(この、ネーミングに雪の女王を連想した人は多いはず)こんなにいい子が可哀想すぎる。
Posted by ブクログ
面白かったー!二段組で読みごたえあった。長いけれど、たいくつしない。
ミシィカとレイナは、「こいきなやつら」の双子ちゃんを彷彿とさせるイメージ(あくまでも個人的に…)
お耽美な世界観(表紙絵の影響もある)の中に、いろいろ勉強したんだろうなぁという蘊蓄が詰め込まれていて面白い。
言葉遣いがしっかりしていて、お耽美にふさわしいレトロな構文もあったりするけど古くさくはないのもいい。
Posted by ブクログ
短編集なのかなと読み進めますが、最後に繋がり、
なんて華麗で素敵な物語なのだろうとうっとりしました。
耽美な文章は心地よく、あまりの酩酊感に本を閉じ、眠りました。
アホな私は吸血鬼ではなく睡魔に襲われ、何度も読むのを諦めかけました。
せめて行間をもう少しあけてくれませんかねと、何度も呟きました。
しかし、それも途中までです。
後半からは幻想の世界に夢中になりました。
本当に愉快で美しい世界です。
吸血鬼とは夢の生き物だと私は思います。
その感覚に当て嵌まる、幻想的な吸血鬼譚はとても好きな物語でした。
Posted by ブクログ
時系列を超えて、吸血鬼である双子の兄妹を中心に描かれる幻想譚。全編にわたる抑制の効いた表現が却って戦慄的であり、冷たい蒼色が通奏されている。
内容も充分に整合性がとれ、読み心地が良く文章も美しい。医学的描写も光っている。個人的に印象が残ったのは「通りの瓦斯燈に青い灯が入ったとき」という章。妹レイナが職人に、吸血鬼も姿が映る鏡を作らせる話。作者の知的かつ怜悧な筆運びが冴え渡っている。
Posted by ブクログ
好きな要素がたっぷりつまっているはずなのに、衒学的な小説も好きなはずなのに、なんだか重苦しくて読み進めるのがしんどかった。
しばらくこの作家さんはいいかなという感じもするけど、黒猫ギムナジウムのほうは波長があうと思うので、そちらだけは読んでみたい。
Posted by ブクログ
吸血鬼のお話です。
最初は1文が長い箇所が結構多かったので
読みづらいかな?と思ったのですが慣れました。
単に「吸血鬼が出てきて、血を吸います」という話じゃないのが良い。
部落差別、易出血症、キリストの復活等が絡んでくるのが興味深いところでした。
「なぜ吸血鬼は存在するのか」
そこの語りが面白かった。
星は本当は4つでも良いのですが
最初はドキドキ感やなるほど感を持てたのですが
終わりに近づくにつれて、失速している気がしたので
星は3つとしました。
Posted by ブクログ
久しぶりに2段組の本を読んだ。字が小さい!読み応えあるよ!である。
感想はともかくとして、この中に出てくるナースドリーがあまりにもニーナに見えてしょうがなかった。よいナースでした。
批判的な意味合いはないけど、しかしこれがSFなのかと驚くww SFも裾野広いなぁ。