竹内純子のレビュー一覧
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仕事用に読んだ本。数年前の本だから今と状況は変わっているが、電力の複雑性やバランスの難しさの部分は概ね変わっておらず、改めて頭の整理ができた。
モノ売りからコト売りへ、と言われて久しいが、こと電力業界にこの言葉を当てはめるのは難しい。どのような形式でできた電力であれ、需要家の手に届くころには同じ電気なのだから。電気の出自を気にして電気を選べる人はどのくらいいるのだろうか。もし選んだところで、それがどれだけの価値をうめるのだろうか。
再エネ利用の推進はしていく必要があるものの、バランスの観点を考えると、再エネばかりに投資するわけにはいかない。再エネで全てが賄えればもちろんいいけれど、例えば太陽の出ていない時間帯の電気を賄うためには、他の電力源が必要なのが実情である。一方で、需要が相対的に減るからこそバランスをとってくれる側の電力減は投資対効果が取れなくなる。バランスが徐々に崩れていく。だからこそバランスを取るための投資やお金が回る仕組みをみんなが必死に考えている状況なんだ。
電力源として何がいいかは、別の論として、安定した電力供給がいかに難しいかを整理して学べる本だった。
ここからは、全く関係のない、最近考えたことについて。
昨今電力需要が増えているのは生成AIに起因するデータセンター需要とも言われる。電力需要を落とせば、これ以上エネルギー消費を増やす必要はない。けれど、データセンターのような事業への投資を止めることは、資本主義社会の中で成長の遅れをとることになる。
なんか、お受験論争みたいだ。子どもの教育、お受験が必要なのか無駄なのかについての議論とちょっと似てる。これ以上エネルギーを利用することが本当に幸せなのかはもはやわからない。でも周りがやっているから、自分もやらないと置いていかれる。なんか、似てるな。
いい大学に入ることが幸せだなんて全く思わないけれど、今の世界では、いい大学に入ることが、一番確率が高い気もする。
いい悪いはわからないけど、同じ形をしている気がした。 -
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基本書ながら電力・エネルギー問題を体系的に整理、秀逸!
東京電力の勤務経験から「現場」「現実」を踏まえつつ、主張は極めて中立的で、説得的であり、好感が持てる。
電力会社は変わるか? ポイント3点 1脱原発 2再生エネ 3独占・原価最高料金
原発再稼働 電力各社の社長は本当に進めたいのか? 自分のリスクと認識してる?
発電コスト(30) /KWH
10円 原子力 石炭火力 LNG火力 一般水力
20円 風力陸上 地熱 小水力 太陽光
30円 風力洋上 バイオマス
シュタットヴェルケ 独インフラサービス会社 地域密着型
電気 水道 ガス 交通 1000社以上
ドイツ 再エネ大国 00年6.6%⇒14年26% 急拡大
FIT負担 家庭3万円/年 二重の設備投資 進まない送電網の整備
電気料金の国際比較(130)
小売全面自由化 やるべきは今か?
適切な投資は進むか 総括原価制度で保証されているが、シュリンクする
EX 初期投資の大きな、原子力事業は誰もやらなくなる ⇒供給力不足「停電」
総括原価主義 ファイナンスコストを抑制 -
Posted by ブクログ
内容としては少々物足りないものの、エネルギーにまつわる産業の現状及び将来図を描いた良書である。特に、kWh・kW・ΔkW価値(DER化に伴い、kWとΔkWh価値向上)や託送料金に関するデススパイラル問題、電気自動車の市場参入等は分かりやすくまとめられており、なるほどと感じた。需要家目線では普段気にすることはほとんどないが、日本における電力制度設計は複雑であり、これらの課題に対応すべく柔軟に変更していく必要があるのだろう。
ただし、太陽光や風力発電等の再生可能エネルギーや蓄電池の指数関数的価格破壊が起こりうる、そうなった場合には冒頭のストーリーのように電気代という概念がなくなる、といった記載があったが、現状からは到底想像もつかないため夢物語であると感じてしまった。そのような未来が到来する日がくるとよいが、、、 -
Posted by ブクログ
【内容紹介】
エネルギー逼迫を受けた緊急出版!!複雑に絡み合った原発問題はいかにして解きほぐせるのか?気鋭の論客がエネルギーを切り口に、日本を前向きに軌道修正する道を探る意欲作。
原子力政策の不透明性や電力自由化、急速な脱炭素化政策など、国の根幹をなすべきエネルギー問題は「失策」の歴史にまみれている。平易な語り口で知られる著者が、電力政策の歴史、原発や再エネが抱える様々な課題をわかりやすく解説し、具体的な解決策を提示する。
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電力自由化により電力会社を選べるようになったことや、昨今の原油価格高騰による電気代値上げにより、エネルギーというものについて一人ひとりが考える機会が増えたように思います。日本の電力会社は優秀なので停電が少なく、電気は「あって当たり前」という感覚が根深い中、本当はそうではないことを認識する良い機会です。震災以降の日本は、今まで通りの生活を維持するために大量の財を海外に渡している事実をもっと周知し、その上で感情論ではなく地に足をつけたエネルギー政策を議論しないといけないと思います。
この本は資源のない日本のエネルギー事情と弱点、そして電力自由化・原発停止・急速な再エネ導入が今何をもたらしているかを、平易でわかりやすく記しています。
この本を読んで私が思ったことは大きく2つ。1つは、耳障りのよい言葉に惑わされて感情論に走ってはいけないということ。原発のリスクは無視できないですし、国産エネルギーでありCO2を出さない再エネで100%やっていけるならそれが理想ですが、その段階に行き着くまでの「繋ぎ」の期間において、今あるもの(石炭火力・原発)を有効活用することを迅速に進めないといけない。もう1つは、外交の重要性です。資源がない国である日本が今まで成り立ってきたのは、一重に「役に立つ国」であったからだと思います。「役に立つ」というのは、カネの面や技術提供の面などいろいろあると思いますが、自分も含め現代を生きる日本人にはその意識が薄いと思います。このまま人口減少が進めば、カネも技術も衰えていき、その先に待っているのは深刻なエネルギー危機ではないでしょうか。エネルギーが石油にシフトした瞬間から、日本は常に首根っこを掴まれている状態だということを理解し、政治家や企業の海外進出・資金拠出に対し肯定的な目を持つことが大切だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太陽光発電は、日本は中国米国に次いで3位、国土面積当たりではダントツの世界一。
電力自由化で、火力は急速に減少、再エネは増加。火力は再エネが発電しているときは休憩させられる=稼働率が悪くなる=メンテナンス費用が出ない=維持できない=休廃止が増える。
発電設備の確保、燃料の確保、送配電ネットワークの強靭性確保、が必要。設備投資が不可欠=総括原価方式の料金設定だった。自由化で不可能になった。
温暖化対策で、化石燃料への開発投資が減った=安定供給への危機。
ドイツの天然ガスへの依存は、ウクライナ侵攻で失敗が露呈した。
天然ガスの長期契約の禁止で、ロシアの開発資金が減った。急速にカーボンニュートラルに変換することはできない。開発のリスクを売り手に負わせて、必要な分だけ市場で購入しようとした欧州の失敗。
カナダとアメリカが、ロシア産原油の全面的禁止ができたのは、そもそも依存していないから。
ドイツがLNGの長期契約を結べないのは、温暖化目標と整合しないから。
LNGは、船で運ぶのでどこからも輸入できるが長期保存には超低温を保つ電気が必要。日本では2週間分が備蓄、石油は200日分が備蓄されている。
電力自由化は、原子力事故を起こした電力会社への懲罰的な意味合いがあったのではないか。
日本の電気は今も7割以上が火力、燃料費の割合が非常に大きい。燃料費の抑制と調達の確実性が重要=長期契約が手段。
日本の電気料金がヨーロッパ並みに上がらないのは長期契約による燃料調達が高いため。今は長期契約は減少している。電気料金を下げるためには、競争よりも統合による購買力の上昇が必要だった。自由化→競争→料金が下がる、にはならない。
公益事業は世界的に単独企業や公的企業によるものが多い。オイルショック以降、電力需要の停滞と、小型ガスタービンの効率化で、規模の経済性が働くとは限らないと考えられるようになった。
発電と配送電と小売のうち、発電と小売が自由化された。
電力自由化が難しい理由=大容量で貯められない。供給と需要がバランスする必要がある。究極の生鮮品。
維持費が稼げないと設備が廃棄されいずれ供給力が不足する=ミッシングマネー。「電力とハンバーガーを同列に語ってはいけない」
アメリカでは37州は自由化されていない。カリフォルニアは自由化されたあと止めた。クルーグマンは医療、教育、電気は自由化してはいけないもの、と述べた。
カーボンプライシング=炭素税、排出枠取引、再エネ発電賦課金など。省エネ補助金もその一つになりうる。炭素税を課すなら一度整理が必要。
目標の決め方はバックキャストとフォーキャスト。温暖化政策の目標はバックキャスト=あるべき姿を先に描いて到達するシナリオを考える。エネルギーインフラの転換は時間がかかる。設備廃棄との兼ね合いを考えなければならない。
発電コストは再エネが順調に発電しているときは一番安いが、日本では高止まり。建設費が高い。自然条件が悪い。
再エネ政策の失敗
FIT価格が高く国民負担が高い。FIT=査定なき総括原価主義。地域との共生が図られていない。太陽光パネルの廃棄も問題。製造や工事などの産業化に失敗して、中国にとって代わられた。
FITからFIPへ。再エネ事業が不安定になる。
再エネをうまく使う方法=蓄電池、送電網、水素。時間のシフト、場所のシフト、両方のシフトができる。
現状では9割が揚水発電という蓄電池で貯めている。発電コストは蓄電池の1.4倍。
発電所は地元にも雇用など利益が落ちるが送電網は便益はない。発電所よりも送電設備のほうが地元の理解を得にくい。
水素で貯めるのは効率が悪い。地産地消を目指すべき。
洋上風力はヨーロッパでは有利。強い偏西風、北海の遠浅海岸、漁場としては豊かでないため漁業への補償が少なくて済む。
日本は遠浅の海岸が狭い。浮体式はまだ実用化されていない技術。
原子力はアメリカでは一定以上の損害は国が補填する仕組みになっている。日本はあいまいなまま始まった。
ウランが偏在していない、燃料の備蓄性が高い、温室効果ガスを排出しない。
既存の発電所を使えば、燃料コストの安さから発電コストは安い。
新規の場合は、投資を回収する年数や金額による。
デメリットは事故のリスク、地層処分が決まっていない(トイレのないマンション問題)。当初海洋投棄をする予定だったが、核兵器のゴミを海洋投棄して批判を浴びてロンドン条約で禁止されたため、当てが外れた。核兵器への転用リスク。
原子力発電は発電を制御しずらい。
事業リスクを自由化以前であれば、吸収可能だった。
世界の脱原発の潮流は本物か。
韓国、ベルギー、スイス、台湾は脱原発を表明。アジアアフリカは導入に踏み切る方向。
リスクを全く許容しないのは技術を利用する限り不可能。必要十分条件を示そうとすると安全神話に逆戻りする可能性がある。効率性の原則を取り入れられず、コストパフォーマンスを考えない規制が行われる可能性がある。
原子力の事故は、運転期間経過とともに低下傾向にある。設備は予防保全が行われ、トラブルが出る前に取り換えられている、サイボーグと同じように一定年数経過するとすべて入れ替わっている。
運転期間が倍になれば発電コストは半分になり圧倒的な競争力を持つ。
自由化によって供給責任がなくなれば、リスクを背負って原子力発電を推進する必要はなくなる。
そもそもエネルギー需要が将来増えるのか減るのか、気候変動のゴールは変わりやすい。投資回収が見通せなければ民間は投資できない。
ヨーロッパではエネルギーを市場にゆだねることの難しさに直面している。民間にとって難しいのは先が見通せないこと。大規模な投資はできなくなる。
既存の原子力発電所の活用だけでは、技術は衰退する。小型モジュラー炉や高温ガス炉などの開発が進まない。その間にロシア中国に追い抜かれる。 -
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ネタバレ電力ビジネスの今と未来について書いた本。素人にも分かりやすい言葉で書かれている上に、内容がコンパクトにまとまっているので時間をかけずに読むことができた。
原発事故でも感じたが、電気は私たちにとって当たり前にある一方で、電力ビジネスは想像以上に複雑である。電気を使うことイコール本書で言うところのKWh価値を買うと一般的には思われているが、KW価値、ΔKW価値というユニバーサルサービス的なものがあっての電力市場だということはほとんどの人は知らないのではないだろうか。そうでなければこんな無邪気にSDGsとか言っていられないだろう。
現状KW価値、ΔKW価値をKWhに対する料金で賄っているということだが、再エネ普及でKWh価値がほぼ0になった場合は、電気代というのはどうなるのだろうか。すぐに思いつくのはNHKのようにユニバーサルサービス料金を一律で徴収し、KWh価値からはほぼ徴収しないまたは接続機器の個数やら電力量で課金していくような形だろう。
KWh価値であれば、余剰電力をビットコインマイニングなどの電気をそのまま換金するようなビジネスでペイできるかもしれないが、KW価値やΔKW価値はやはり公共とする、または電池に活躍いただくくらいしか素人には思いつかない。まあ、このような悩みは再エネが順調に普及するシナリオでの悩みなので、そのレベルにまで再エネを普及させられるかの方がハードルが高いだろう(むしろその長い道のりのなかで、KW価値、ΔKW価値問題解決の糸口が見つかりそうだが) -
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ネタバレ【内容】
エネルギー業界が直面している、あるいは今後直面するであろう変化について「5つのD」というキーワードでまとめられており、それぞれのDに対する問題点やそれに対する筆者の考え(現状の分析や解決策等)が記載されている。
5つのD
1. Depopulation(人口減少)
2. Decarbonization(脱炭素化)
3. Decentralization(分散化)
4. Deregulation (自由化)
5. Digitalization (デジタル化)
【感想】
「5つのD」というキャッチーなフレーズでエネルギー問題が簡潔に述べられており、今後、日本はどのように変化していくのか、また何をどうすべきなのか、ということを考えさせられる内容だった。
特に日本が抱える大きな問題の1つである人口減少の影響により現状の電力インフラを維持することが困難になる(かもしれない)問題は、今後の更新工事を計画する際、設備の規模感を検討する重要なポイントになると感じた。 -
Posted by ブクログ
エネルギー問題の専門家達が書いた、2050年時点でのエネルギー産業の未来予測とそこに至るベストシナリオ、ホラーシナリオ。最も印象に残ったのは、良い方のシナリオでいけば、2050年までにはエネルギー(特に電力)は、太陽光等の新エネにより、無尽蔵の供給を得るようになる、というところ。これはブロードバンド時代直前に「これからはジャブジャブ・インターネットになる!」と村井先生を中心として提唱していたあの頃のインターネット業界と重なるものを感じたこと。
ジャブジャブ電力が到来すれば、いまのあらゆる産業や社会は大変革を遂げると思う。機会が莫大に生じる。ベストシナリオだけを信じて今からいろいろ仕掛けたいなと前向きな気持ちになりました。
ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。