町田明広のレビュー一覧
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司馬遼太郎「竜馬がゆく」の影響が余りに大きい中、坂本龍馬の実像を探る歴史学者の一冊。
政治家が、尊敬する人物なんかで定番の坂本龍馬。多くは司馬遼太郎のキャラの影響だろう。では歴史学として、坂本龍馬の実像はどうだったのか、龍馬ファンの歴史学者が近年の解釈からその実像を示す。
亀山社中や薩長同盟の存在を疑問視したり、小松帯刀と近藤長次郎の役割を高く評価したり、龍馬暗殺の犯人も明確に示すなど、司馬遼太郎ファンには驚きの内容。
ただし歴史学者の著作なので、文体は単調。歴史学は歴史学、小説は小説と割り切った方が良い。
過去の学問である歴史が時代を経て解釈が進んでいくというのがなんとも面白い。全国 -
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西郷・大久保の雄飛、慶喜の将軍就任、長州の変転……
幕末史の筋書きを決定づけた男
時は、幕末がいまだ「政治の季節」であった文久期。幕府の権威が根底から揺らぎ、過激志士らの暴発に朝廷がおびえる中、その動向をもっとも注目された男こそ、島津久光であった。久光の指揮の下、小松帯刀、大久保一蔵、中山中左衛門、堀次郎ら、実力ある藩士たちが、京都の中央政局を舞台にして、幕末の行方を決定づける政争をくりひろげてゆく。史料を丹念に読みこみ、幕末政治史にあらたな光をあてる意欲作!(2009年刊)
第1章 久光体制の確立と上京政略
第2章 錯綜するイデオロギー
第3章 率兵上京と中央政局
第4章 寺 -
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<目次>
第1章 井伊直弼~植民地化から救った英雄か?
第2章 吉田松陰~長州藩の帰趨を左右した対外思想
第3章 マシュー・ペリー~日本開国というレガシーを求めて
第4章 徳川慶喜~真の姿が見えにくい「強情公」
第5章 平岡円四郎~慶喜の政治活動を支えた周旋家
第6章 島津久光~政治の舞台を京都に移した剛腕政治家
第7章 渋沢栄一~農民から幕臣、そしてパリへ
第8章 松平容保~京都守護職の苦悩と元治期の政局
第9章 佐久間象山~暗殺の真相と元治元年夏の流言
第10章 坂本龍馬~活躍の裏には”薩摩藩士”としての身分があった!?
第11章 五代友厚~幕府を出し抜いたパリ万博へ -
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著者の言いたいことは、幕末の政争を“尊王攘夷"vs.”公武合体“と捉えるのでは見誤ることになる、主たる対立軸は、「攘夷」に関する時期や方法についての違いであり、言い換えれば「未来攘夷」か「即時攘夷」かの対立である、とする。
本書前半では、そもそもなぜ攘夷なのか、経世家や為政者の対外認識、理論的、思想的背景としての「日本型華夷帝国」思想が論じられ、また18世紀後半からのロシアの脅威が直接の引き金となって、国防・海防意識が醸成されていった経緯などが説明される。
後半では、主として文久年間に焦点を当て、攘夷がどのように、どの程度実行されたのか、どのような影響を政局にもたらしたのか