澁谷知美のレビュー一覧

  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    一部の男性学には懐疑的な立場なので、最初の方はモヤモヤしながら読んでいたのだけど4章からの切れ味抜群のコメントの数々に感動してしまった。男女の関係だけで起こる問題ではなく、年下の人と関わることが多い自分にはきちんと胸に刻んでおかなくてはと思う考え方が多かった。高校生の息子にも読んでもらいたい本。

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    2025年03月07日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    ネタバレ

    自分の考え
    喧嘩するほど仲が良い、という言葉に違和感があった。自分はどちらかといえば親しい人でも戯れ合いに近い喧嘩はしてこなかったから。この格言の「ほど」という言葉に引っ掛かりがあるのだと気がついた。つまり喧嘩する者としない者の比較であり、喧嘩する者の方が上であるという言外の感覚に違和感を感じていたのだとわかった。自分の周りでこの言葉を言う人は大抵やんちゃなカップルが多かった印象で、その人たちの見下した感じがこの言葉には含まれている。

    そういうコミュニケーションを取るかどうかは社会的な関係によって左右される、つまり、常に競争を求められる社会ではイジリやからかいによって笑いと同時にポジショニン

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    2024年04月06日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    とても良い本!
    広告という媒体が包茎への偏見を増長させるに至った日本の歴史について、相当な文献にあたった上で社会批評+ジェンダー論+メディア論などを交差し論じる。
    Xでの広告費稼ぎや過剰とも言える文句の数々に踊らされるぐらいなら、信頼し合える関係を構築し言葉を交えコミュニケーションを積む、その過程こそがジェンダー不平等への地味な一歩となる。
    男性間における視線が、劣等感を抱かせ、その卑屈や内面への閉じこもりがミソジニーに繋がる。

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    2024年01月26日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    包茎の日本人の歴史の話
    ではなく、包茎が男性に及ぼすスティグマに迫る

    これがめちゃくちゃ面白い
    芳醇な文献に触れることは至らなかったが、文章をなぞるだけでも時を忘れてしまうほど

    ちなみにこの本の話を妻にしたところ、それ脱毛の話に似てると言われた
    男性の包茎、女性の脱毛は近いのかもしれない

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    2023年01月15日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    男性の特権について対談形式で分析した良書。清田さんがよくいる男性の思いを披露し、澁谷さんやゲストの男性がツッコミを入れるのが面白い。読書案内に書かれている本も読んでみたい。

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    2022年11月23日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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     SNSで話題になっていて、編集者の澁谷知美さんの「日本の包茎-男たちの200年史(筑摩書房)」や清田隆之さんの「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話しから見えた生きづらさと男らしさのこと(扶桑社)」を読んでいたこともあり、共感することも多いだろうと思い、発売前に注文して読み込んだ。
     編者の澁谷知美さんは、「はじめに」のなかで「ぜひ、会議に参加する気持ちで読んで下さい。賛成するところも反発するところもあるかもしれません。が、誰かが苦しんでいる社会よりも、誰もが自由で平等な社会がいいですよね。」と提起され、本書を読みつつも、自分も会議に参加している気持ちになって、考え、学び、そしてなにより

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    2022年09月07日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    包茎に関する資料研究の最高峰だろう。よくぞこれだけの資料を調べあげたものだと感心する。男性同士のまなざしやしんどさの指摘、包茎の議論から最後のジェンダー論への展開が刺さる。

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    2021年09月26日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    包茎などを処置する「割礼」と呼ばれる儀式やしきたりは、世界中の民族・部族にあり、また男性に限らず女性も心身共に被害を受けている例も紹介されます。日本の包茎にまつわる200年の歴史的変遷を膨大な歴史的資料を元に解明していきます。日本人の半数が病的でない仮性包茎であるにもかかわらず、包茎を病気とし、女性を男性性器で性的に支配する構図、包茎男性に劣等感を持たせ男性をも支配する構図を明らかにします。また、明治期より最近まで商業利用として、雑誌や新聞記事にまことしやかな記事・宣伝を連載し続けたマスコミの責任も取り上げます。男性クリニックを経営する高須克弥氏や芸能人、マスコミ関係者などの無責任な発言も丹念

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    2021年08月29日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    この本の存在自体が凄いと思います。こんなテーマでしかも女性が纏めていることがとても不思議。入念な調査と、男性にはできない冷静な分析が、この本を面白くしている。良し悪しでなく、後にも先にもこの本のようなものは発生し得ない気すらして、畏怖すら感じる。あと、あとがきが面白い。

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    2021年05月17日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    大変に刺激を受けた。それは反省を促す刺激だ。
    対談者それぞれの著書を読みたい。
    男にまずは出来ることは本書のような本を読むことだ。葛藤と反省が生まれるからだ。
    特に良かったのは、武田砂鉄さん、平山亮さん。

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    2025年07月30日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    澁谷知美、清田隆之ご両名と西井開、中村正、平山亮、前川直哉、武田砂鉄それぞれとの対話形式。こういう系統の本を読むの好きだし、ほぼほぼうなずきながら読めるんだけど、一方ではここまで男ってミソクソに言われないといけないのとも思う。
    だいたいこういう本を真に受けて品行方正におさまる人はますます品行方正を深めてしまう反面、非難に値するしょうもない男たちはまったくこんな本省みずのうのうと生きることだろう。そういうのってちょっと悔しいな。書いてあることは正論なんだけど、そういうことが通じないんだよね。世代が違って「いまどきの若者は何を考えてるのかわからない」って言うのと同じような感じか。
    登場する人々がみ

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    2025年06月12日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    平山さんの章が圧巻。
    「男性性」と名前がつけられることで、あたかも男性は変わらないかのように語られることの問題。男性性と言うことである種仕方ないのかもと思っていた社会の構造を根底からひっくり返された。
    男性優位な社会の問題は、男性が好きに振る舞うことのできる権力を持っていることが問題であり、その権力を使わないように振る舞いましょうと言う話。
    権力がある側が常識を決め、物事を決めるわけだけど、一方的に決めるのではなく、積極的に周囲と対話していかなければならないと感じる。

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    2024年08月31日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    この本を読もうと思いそうな男の人が周りに見当たらない。笑
    自分は女だから、そうなのか〜とよく分からない部分もあったけど、兎に角突き詰めまくっていてよかった。何よりこの本を読んで良かったのは、ケアとかサポートが資本主義の中だと軽んじられてしまう(=生産的でないとされる)ことへの反論の箇所を読めたこと。同じ考え方で、私よりクリアにそのことを書き表してくれている人の表現を見てスッキリ。激しく同意です。

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    2023年08月17日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    自分は男性だが、男性とのコミュニケーションのときにホモソーシャル的なやり取りにうんざりすることが多いと感じていた。だが、同時に自分のなかに時折マチズモめいたものが頭をもたげる瞬間も感じるときもある。

    以前読んだグレイソン・ペリーの『男らしさの終焉』を読んだときは自分ごとに感じつつも著者がイギリス人で、これは自分も同意するなと思う部分もあれば、これは日本では感じないかも、という部分があって、日本人男性向けの”(有害な)男らしさ” についての本があったらなー、なんて思っていた。
    本著はまさにその日本人の男性向けに男性視点から書かれた著作(聞き手は女性である)で、自分もよく見たり聞いたり、体験する

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    2023年05月17日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    ・自分の感情や体験を言語化することに慣れていない男性が多い
    ・そもそも男性同士の友人間コミュニケーションでも自分に関することの話は少ない。いじる/いじられる、片方が優位に立つコミュニケーションが多い
    ・加害は日常と地続き。暴力というほどではないが抑圧され支配されていた日常の経験から地続きにある。自分が抑圧される側だったときは嫌だと感じているはずなのに再生産してしまう
    ・ケアは(資本主義からみて)生産的ではない、というのは間違い。人間という資本のケアであり究極的に生産的と言い切ってくれるのは気持ちよかった。その通りと感じた。
    ・非モテ=未達感。本来は女と付き合って一人前、仕事して一人前、という理

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    2023年05月03日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    この本を読む前にたまたま、セジウィックの「男同志の絆イギリス文学と~」という本を上野千鶴子さんがTVで取り上げているのをたまたま見ていた。その番組で作られた社会のシステムのようなものを取り上げていて、なるほど、と思って見ていたのだが、全部読まなくてもセジウィックが書いた男社会の仕組みのようなものを、知っておくのは良いことだと思った。
     その上で、この本を読むと、問題の根深さは相当に深刻である。というのも、これでは、人と人との結びつきのきっかけのなかにそもそも問題があって、それを意識できるかできないかが影響するからだ。社会そのものの作りは、空気のように透明で、そうと思わなければ意識できない。意識

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    2023年02月16日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    男性がおかれている社会構造の中での優位性、生きづらさがディープな議論で紐解かれていき、日頃あちこちで目にする何気ない女性蔑視へのモヤモヤが少し晴れる。女性に偏りがちだった「ケア」を男性同士の間にも広めていくこと、おかしいと思うことをおかしいと男女ともに発信できるようになること。この2つの方向性が、ジェンダーギャップを埋めていくヒントになりそうと思った。

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    2022年11月13日
  • どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと

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    男性性や男性社会について全6種の対談から文字通り会議して考える一冊。中高男子校、大学は理工学部でサークルも男社会、職業はITエンジニアとホモソーシャルどっぷりで生きてきた自分には納得できる部分も「ん?それは違うのでは?」と思う部分も。男性の加害者性と被害者性を考えるきっかけには間違いなくなる。唯一無二の正解がある問いではないと思うので、じっくり考えながら再び読みたい。

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    2022年10月10日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    さえぼー先生がオススメしてた本書、とても面白い力作だった。
    膨大な史料を参照しながら認識や言説の変遷をたどっていくのは、ちくま新書『害虫の誕生 虫から見た日本史』に通じるものがある。
    それにしても、雑誌の記事やら広告やら、よくぞここまで集めたな…と感心してしまう。

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    2022年04月18日
  • 日本の包茎 ――男の体の200年史

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    医学書は別にして、日本の「包茎」についてはここまで詳細に研究した本が今まであっただろうか。本書カバーには「本邦初の書」とあるので、おそらくなかったのであろう。

    医学書はもとより、一般書や新聞、雑誌の記事や広告まで、包茎にまつわる内容を近代から現代まで丹念に調べ、いかに日本において包茎が恥とされ、それを基にしたビジネスが作られていったかを克明に描き出している力作。

    しかも著者は女性である点もユニークだが、本書を読んだ後では、男性にしっかり植え付けらえた包茎コンプレックスを鑑みると、男はわざわざコンプレックスの対象である包茎を研究対象として近づこうとはしなかったのかも、と考えられ、とすれば、本

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    2022年02月19日