カーリン・アルヴテーゲンのレビュー一覧

  • 罪

    Posted by ブクログ

    あらすじ
    ペーターは39歳独身。小さな会社を経営していたが、働き過ぎてパニック症になったり、社員に横領されたりして追い詰められている。ある時人違いでお使いを頼まれ、会社社長に切断された指を届ける。その男性には嫌がらせが続いていた。借金分を報酬として受けとる代わりにペーターは謎の女を探すことにする。しかし、嫌がらせはひどくなり、二人は警察に相談するが、担当の女刑事はあまり協力的ではない。自力で見つけた女は自殺した。これで事件は解決したかと思ったがペーターは再び女を見かけ、居場所を探し当てる。しかし女の目当てはピーターだった。実はピーターは養子で、元の家族の姉が逆恨みし、病気が末期だったこともあって追い詰めてきたのだった。

    1998年発表で少し古い。何でもかんでも一般人が自力で解決しようとするとことか。ラストの実は本当の家族がいましたー。というのも、ちょっと前の感じがした。それでもカーリン作品は色褪せない。39歳にもなって繊細過ぎる主人公の、上手く人と関係を築けないとこや、養姉の優しさ、実の姉の狂気っぷり、社長との友情なんか、読んでてしみじみ楽しんだ。

    0
    2019年01月16日
  • 恥辱

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家カーリン・アルヴテーゲンの4作目。
    過去を抱えた二人の女性の出会いがもたらすものは‥

    モニカは38歳の有能な医師。
    仕事で成功しているが、少女の頃のことで、いまだに深刻な罪悪感に苦しんでいた。
    恋人も出来たのだが、心のうちを明かすことが出来ない。
    ある事故に遭遇したモニカは責任を感じ、贖罪のために、ある行動に出ることに。

    一方、ひきこもっているマイブリットは50代の女性。
    過食で肥満体となり、ヘルパーの手を借りなくては身の回りのことも出来ない障碍者となっている。
    ヘルパーにきつく当たる皮肉屋で、過去のことは忘れるようにして暮らしていたが、これまでと違うタイプの若いヘルパーが登場し、へこたれない彼女に戸惑う。
    さらに幼馴染からの手紙がきっかけで、次第に過去の事実と向き合うようになる。
    幼馴染だった女性は、終身刑で刑務所にいた‥

    まったく違うタイプの女性の運命が、しだいに交錯するようになります。
    実はある共通点があり、それは人に話すことすら出来ない過去を抱えていることだった。
    不運もあるが、この場合、親の責任は相当に大きいですね。親本人は自分を貫いているだけで、わが子に悪かれと思っているわけじゃなかったにしても。
    少し晴れ間の見える方向へ、二人共に向かったのが何よりです。

    作者は1965年スウェーデン生まれ。
    98年デビュー。
    2作目の「喪失」で、北欧の推理小説賞を受賞しています。

    この作品は、謎やスリルはありますが、殺人事件の解決といった展開になるわけではありません。
    そういうミステリが苦手な人にも読んでいただけます。
    重めなので、立て続けに読むってわけにはいかない作家さんですけど~
    深く切り込んでも手際よくさばいていく手つきは確かで、読後感は悪くありませんよ。
    感動と救いがあります。

    0
    2015年12月18日
  • 影

    Posted by ブクログ

    著名であるとか栄光とか名誉とか、そういうものは必ずしも幸せには繋がらない、ということか。みんながアルコールの問題を抱え、それぞれに足掻くような悩みを抱え堕ちていくところはなんとも・・・!それでもやっぱり女は強いよなあ(生贄とされてしまった娘はともかく)、と思わずにもいられない。

    0
    2010年10月29日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    裏切り、裏切られる男と女の物語。心理描写がもう凄い凄い。リアルというか的を射ているというか、ここまで克明に描写している作品をいまだかつて見た事がない。
    6歳の子供が一人いる夫婦の間で、突然夫から「きみといっしょにいてももう楽しくない」と言われたら妻はどうするか。驚き、哀しみ、屈辱、怒り、疑惑、後悔、プライドは傷つきそれでも平静を装おうとし、なんとか反撃して優位に立とうとする…
    そういう心の機微を妻の視点から夫の視点から、これでもかこれでもかと見せてくれます。
    自分の心に波立つ感情をなんとなく認識はしても、どうにもうまく言葉にならなくて悶々としたことは何度もあった。そういう混沌とした心の動きをきちんと説明しながら見せてくれる、そんな小説です。
    サイコ・サスペンスになっていて、ストーリーもかなり面白い。文句なくオススメです!

    0
    2009年10月29日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    ハッキリ言って、
    「こりゃ凄い作家が現れたもんだ!」と思いました。

    もちろん、お化けも怪物も、なにも出てきません。
    あるのは、誰もが心当たりあるだろう
    日常の…家庭の風景…でも、とにかく怖い…
    ハラハラするのともドキドキするのともちょっと違う…
    ここまで人の心理に分け入っていく…
    裏返せば、自分の心理に入り込んでくる…
    こんな作品は久しぶりです。

    作者はこれを書き上げるにあたって、
    2ヵ月間休養を取らなければならなかったという…
    作者自身が、執筆中にそれほどまでに
    登場人物たちとの精神的関係を深めてしまった…
    だから距離を置く必要が生まれてしまった…
    きっとそういうことなのでしょう。

    これを読んでいくうちに感じるのは、
    身近な人たちへの自分の理解の仕方は、
    事実なのだろうか…?という、独特の感覚です。

    ミステリー好きはもちろん…
    おもしろい本を読みたい人すべてにこれはお奨めですよ。
    ただし…自分の心も覗くことになるかもしれない…
    ということを、ちょっと覚悟しておいてください。

    0
    2009年10月07日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読み終わってしみじみ。

    いろんなことを諦めて、ただ小さな家が欲しいと細々と親からの送金を貯めてホームレス生活を続ける女性、シビラ。

    ホテルでいいカモを見つけ、ディナーと部屋代を出してもらってゆっくりお風呂につかっていると、警察が部屋に。慌てて逃げ出すと男性が殺害されたという。証拠が出てきてその後に続く連続殺人犯として指名手配されてしまい…

    淡々と進む物語の裏で、彼女がいわゆる毒親に育てられたことも明かされる。追い詰められた彼女を救ったナイトは15歳!ずっとシビラの目線だけで進むので読みやすい。

    最後、生き別れの息子のことを知りたいと思ったシビラは情報屋からその情報の書かれた封筒をもらう。そして…

    サスペンスとしてのでき、動機や犯人、パトリックの活躍、最後のシビラの選択…整った美しい絵画のようにバランスのよい物語だったなあ、と思う。すっきりした読後感だった。

    0
    2024年08月12日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『裏切り(原題:Svek、英題:Betrayal)』を読みました。

    「ヨアキム・サンデル」、「エメリー・シェップ」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 北欧ミステリ作品は、面白くて読み始めたら止まらないですね、、、

    「カーリン・アルヴテーゲン」作品は、3月に読んだ『喪失』以来なので約半年振りですね。

    -----story-------------
    壊れかけた夫婦が憎悪に染まるサイコノベル

    「きみといても楽しくない」。
    なぜ夫の心は自分から離れてしまったのか。
    「エーヴァ」は「ヘンリック」の気持ちをとりもどそうと必死だった―。
    「ヨーナス」という若者がいた。
    植物人間となってしまった恋人「アンナ」を献身的に介護している。
    だが、その看病ぶりは常軌を逸しているようだ―。
    「ヘンリック」に不倫の疑いを抱いた「エーヴァ」は、憎悪の炎を燃やす。
    二組のカップルの葛藤が、ある晩思いがけない出会いを生み、そこから恐ろしい破局が始まる…。
    ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が、男女の心の奥底を緻密に描いて新境地を開くサイコサスペンス。
    -----------------------

    2003年(平成15年)に刊行された、「カーリン・アルヴテーゲン」の3作目にあたる作品です… 衝撃的で、むっちゃ恐ろしい結末でしたねぇ、、、

    どこの家庭でも起きる可能性のある物語… 壊れかけた夫婦関係を修復しようとする中で、夫の不倫に気付いたことから、妻は一夜だけの大胆な行動を取るのですが、それがきっかけとなり、家族が崩壊していくというサイコサスペンス。

    異常な愛情を持った変質者の存在は、映画の『サイコ』や『コレクター』を彷彿させましたね… でも、身近にあっても不思議じゃない展開だけに、怖さがリアルに感じられましたね、、、

    あと、ぐいぐいと作品に引き込まれるのは、男女の心を緻密に描いた心理描写が秀逸だからでしょうね… どの登場人物にも裏切りの経験があり、信じる者の裏切りにより、愛情が憎悪に変化していく様がリアルで真に迫ってきましたね。


    「エーヴァ」は「ヘンリック」は一緒に暮らし始めてから15年のカップルで、双方が働いており、家庭と仕事を両立させている典型的な中堅層の夫婦であり、二人の間には保育所に通う「アクセル」という6歳の息子がいた… 「エーヴァ」は、偶然に「ヘンリック」に不倫相手がいることを知るが「ヘンリック」は否定、、、

    「エーヴァ」は、信頼していた「ヘンリック」の言葉が嘘であることを知り、許すことができず裏切りと感じる… そして、「エーヴァ」は絶望のあまり報復を企てる。

    一方、ある病院で「ヨーナス」という若者が恋人らしき女性に付き添っていた… 事故で植物人間の状態に陥った「アンナ」に彼は献身的に尽くしているが、実は彼の精神状態は極限に近付いていた、、、

    父親の不倫が原因で家庭が崩壊し、友人もなく、「アンナ」だけしかいない彼は、内なる強制力に支配され不安定な精神状態を抱えていた… 「ヨーナス」は街で偶然「エーヴァ」と出会い、関係を持ってしまったことから、全く接点のない二人の人生が交差し、物語は急展開する。

    裏切りを受けた「エーヴァ」、裏切った「ヘンリック」というパターンで始まった悲劇は、「ヨーナス」の恣意的な介入に操られ、それに、誤解や一方的な思い込みも加わり、立場が逆転していく… コミュニケーションが不足し、感情的になり自己中心的な発想しかできなくなった「エーヴァ」と「ヘンリック」は、それに気付かず、徐々に泥沼に陥っていく、、、

    そして、「エーヴァ」は、「アンナ」と同じように、「ヨーナス」の歪んだ愛情を受け入れざるを得ない状況に追い込まれていく。

    夫婦の間の何気ない会話から、お互いが疑心暗鬼になっていく場面の描写はホントに秀逸… その後の「エーヴァ」の行動には、やや極端な印象を受けましたが、理解はできますねぇ、、、

    刑事や警察官、探偵は登場しないミステリなのに集中力が途切れない面白さがあるだけでなく、殺人事件が起きない(「ヨーナス」の行為はほぼ殺人に近いですが… )のに、こんなに恐怖感を感じることのできるサスペンスを描けるなんて凄いなぁ… 「カーリン・アルヴテーゲン」の他の作品も読んでみたいな。




    以下、主な登場人物です。

    「エーヴァ・ヴィレンストルム=ベリィ」
     マネージメントコンサルタント

    「ヘンリック・ヴィレンストルム=ベリィ」
     エーヴァの夫、ジャーナリスト

    「アクセル」
     エーヴァとヘンリックの息子

    「ヤーコブ」
     アクセルの保育所の友だち

    「アニカ・エークベリィ」
     ヤーコブの母親

    「シーモン」
     アクセルの保育所の友だち

    「オーサ・サンドストルム」
     シーモンの母親

    「シャスティン・エヴェルトソン」
     保育所の所長

    「リンダ・ペアソン」
     保育所の保育士

    「ヨーナス・ハンソン」
     もと郵便配達人

    「アンナ」
     画家

    「ビュルン・サールステッド医師」
     アンナの主治医

    「イヴォンヌ・パルムグレン医師」
     精神科医

    0
    2022年11月15日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『喪失(原題:Saknad、英題:Missing)』を読みました。

    「カミラ・レックバリ」、「ヴィヴェカ・ステン」、「ラーシュ・ケプレル」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 北欧ミステリ作品は、読み始めたら止まらない中毒性の魅力がありますね。

    -----story-------------
    息もつかせぬサスペンス!
    北欧犯罪小説大賞受賞作!!

    ストックホルムの32歳の女性ホームレスが、ある日突然、連続猟奇殺人犯として警察に追われることになる。
    食べ物と寝場所を求め格闘しながら、極限状態に身も心もすり減らし、たった一人で真相に迫っていく……。
    地方都市の富豪の一人娘がなぜホームレスになったのか? 
    深い心の傷を負い、絶望と背中合わせに生きる主人公が、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得する過程は大きな感動を呼ぶ。
    2000年北欧犯罪小説大賞受賞作。
    -----------------------

    18歳で裕福な家を捨てて、ストックホルムでホームレス同様の暮らしを続けてきた32歳の女性「シビラ」は、ある晩中年男性「ユンゲル・グルンドベリ」に食事とホテルの客室を奢らせることに成功するが、翌朝になって愕然とする… 「ユンゲル・グルンドベリ」が凄惨な惨殺体として発見されたのだ、、、

    殺害方法は猟奇的で、「シビラ」は有力な容疑者として警察に追われることに… 慌ててホテルを飛び出した「シビラ」は逃亡生活を続けるが、さらに同様の殺人事件が連続し、全ての殺人事件が彼女の犯行と見做されてしまう。

    「シビラ」は食べ物も寝場所もない極限状態の中で、身も心もすり減らしながらたった一人で真相に挑んでいく、、、

    中盤までは、逃避生活を続けつつ真相に近付こうとする姿と、地方都市の富豪の一人娘がホームレスの生活を選択せざるを得なくなったエピソードが交互に紹介され、「シビラ」が15歳の孤独な少年「パトリック」と出会い、心を通わせる中で、ひとつの物語として繋がっていきます… そして、「パトリック」の助けやパソコンを利用した調査を活用することにより、二人は一歩ずつ真相に近付いて行きます。

    そして、被害者が服用していた薬から、被害者たちは同一人物から臓器移植を受けたことが判明し、容疑者は絞られて一気にクライマックスに向かいます、、、

    「シビラ」は容疑者と接触しようとしますが、容疑者と思われた人物とは異なる人物が真犯人だったり、その動機には臓器提供者との同性愛があったり、人里を離れた真犯人の自宅に閉じ込められて、死の危険に晒されたり… と、終盤は怒涛の展開で楽しめました。

    出産後に離れ離れとなった息子のことを調べようとして、最後は諦める「シビラ」の行動にも共感できました… 深い心の傷を負った「シビラ」ですが、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得したということなんでしょうね、、、

    自分だったら、調査内容を見ちゃったんじゃないかなぁ… と思いますが、それじゃ、読者の共感を得れないでしょうね。

    ちなみに著者「カーリン・アルヴテーゲン」の大叔母は『長靴下のピッピ』の作者「アストレッド・リンドグレン」なんだそうです、、、

    へぇ~っ て、感じですね… 驚きました。




    以下、主な登場人物です。

    「シビラ(ヴィレミーナ・ベアトリス)・フォーセンストルム」
     ストックホルムでホームレス暮らしをしている女性

    「ヘンリー・フォーセンストルム」
     シビラの父親

    「ベアトリス・フォーセンストルム」
     シビラの母親

    「ユンゲル・グルンドベリ」
     貿易業者、殺人事件の被害者

    「レーナ・グルンドベリ」
     ユンゲルの妻

    「ミカエル・ペアソン(ミッケ)」
     シビラの元恋人

    「ヘイノ」
     ホームレスの男

    「トーマス」
     シビラの友人

    「パトリック」
     15歳の少年

    「スーレン・ストルムベリ」
     殺人事件の被害者

    「グンヴォール・ストルムベリ」
     スーレンの妻

    「ルーネ・ヘドルンド」
     交通事故死した人物

    「シェスティン・ヘドルンド」
     ルーネの未亡人

    「イングマル・エリックソン」
     病院の守衛

    0
    2022年10月22日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    夫が浮気をした。最近会話もない。妻も夜中に家を飛び出し成り行きで浮気をした。不倫小説かなんだありふれたテーマかと読み始めたら、あちこちで小さい山が鳴動して落石に会うくらい驚いた最後だった。


    恋して衝動的に結婚した夫婦は甘える間に甘えておかないと、青春ホルモン(?)と子孫繁栄本能が消えかかると、そこからは思いやりの暮らしになる。それに気がつかない妻のエーヴァ、急に冷たくなったのはなぜかと悩む。自立しすぎた妻は夫の欠点に目をつぶって生活をリードしてきたのだ。

    夫は息子の保育園で不倫相手を見つけていた。相手は離婚経験のある、手を差し伸べたくなるようなリンダで、彼は同棲する準備をして、口実を作って二人で船旅をすることにしていた。
    エーヴァはそれに気がついて嫉妬に狂う。憎いリンダは保育園から追い出す。夫とはもう一緒に暮らせない。

    夫は話しかけても「知らない」とにべもなく、挙句には「君といっしょにいてももう楽しくない」という。
    さぁどうやってこの問題を解決するか。
    悩み疲れてバーで酒を飲み、近くにいる若者に一杯奢った。酔った勢いで若者(ヨーナス)の部屋で一夜を明かしてしまった。リンダという偽名を使ったが、ヨーナスは美人と寝て舞い上がった。

    ヨーナスの恋人は二年半植物状態で病院のベッドに横たわったまま、もう先が長くないと言われていた。彼は病院側の看護も迷惑なほどつきっきりで、たまに泊まり込んで彼女のベッドで寝た。精神科医はそういった行為を異常だと感じていた。

    ヨーナスはエーヴァの家の周りを徘徊した、美しい家に住む美しいエーヴァ。常に夜は窓の外からエーヴァを見ている。夫の名はヘンリックだ。

    ヘンリックの浮気を探り出したヨーナスはエーヴァを救う任務を遂行しなくてはと思う。
    ヨーナスはヘンリックにエーヴァと愛し合っていると告白をする。ここに来ては夫婦の危機はもう救いようがないが、エーヴァはヨーナスにその後会うこともなく記憶もおぼろで。
    彼の行動を知らないままリンダを陥れ保育園から出て行かそうと計画する。

    ヨーナスの話を信じたヘンリックはエーヴァとの生活の快適さを手放す恐怖に震える。
    ここにきてエーヴァまでヘンリックとの生活に未練を感じる。
    ヘンリックも自分も哀れで悲しい。
    彼を不倫に走らせたのは自分ではないだろうか。

    ヨーナスの彼女は死んだが彼にはすでに過去の女になっていた。

    船旅に出たには出たが、ヨーナスの話を聞いても、煮え切らないヘンリックを見限ってリンダは逃げようとする。
    エーヴァの執拗な嫌がらせに手首を切って瀕死の状態になる。


    よくある不倫から始まった登場人物の「裏切り」についてヨ-ナスとエーヴァの最後の会話が面白い。
    ヨーナスは
    「自分が愛することになっている相手に愛情を感じなくなったらなにも言わずにいつもどおりの生活を続けて、すべてうまくいっているふりをするのがいちばんいいと言っているんだね」
    「それもまた、ある種の裏切りじゃないのか?愛していると思っている相手に対し、実は義務感と思いやりからそこに踏みとどまっているだけなら」
    「それじゃ全生涯をいっしょに生きた夫婦はみんな幸せなのか?その人たちは単に運がよかったということか?」

    こうして変質的な形で愛し愛された夫婦はもう戻れない人生に堕ちてしまう。

    あれさえなかったら、と何度も振り返る。そして息子のそばでしみじみと独白する最後の章は胸が詰まる。

    と並みでない心理ミステリと解説されるのは、こういう描写で登場人物の特異性や陥った状況を心理や会話から浮き彫りにしていく手並みの鮮やかさにあるのか。

    0
    2021年03月08日
  • 裏切り

    購入済み

    ぐいぐい引き込まれました

    ぐいぐい引き込まれ一気に読んでしまいました。誰に感情移入するかで読後の感想も変わってくるかも。映画を観ているような面白さでした。

    0
    2020年01月17日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    30代のキャリアウーマンの女性が主人公。
    著者も真面目な女性なのか、夫に裏切られた妻の心理が丁寧に書かれていて引き込まれる。
    途中話しがくどいというか、無駄?に長く感じられたのが残念。

    0
    2020年01月15日
  • 罪

    Posted by ブクログ

    読みやすかったです。
    謎解きをすすめていくなかで、主人公が自身を持ち、友情を築き・・という過程がよかったです。
    訳文も言い回しが簡潔ながらも幼稚なわけでもなく読み進めやすいものでした。

    0
    2017年06月03日
  • バタフライ・エフェクト

    Posted by ブクログ

     小さなことがまわりまわって思わないところで影響がでる、っていうバタフライエフェクト。
     家をでた母親と、娘、そして全く別の既婚男性の三人、それぞれの<バタフライエフェクト>の話。
     
     メインは母親で、彼女のトラウマが結局彼女の今を作っていて…。
     でもなぁ。彼女もまだ子供だったんだよ。妹よりも自分自身を守って当たり前だったのだと、って<行動を起こさなかった>ことだから、だれにも相談できないよね。
     で、おいおいな男と結婚してしまうのだが。
     そして、人生の終わりにすべてをリセットしようとする。
     その行動力が、もっと早くにでていたらねって思う。
     
     なんつーか、人を縛るものの一番大きなものは、自分自身なんだよね。

     娘も、随分な態度だねって思うけど、あの両親の子供じゃ仕方ないか。
     とはいえ、母の態度が変わることで彼女も変わる。

     既婚男性が…。
     なんか、バタフライエフェクトの顕著な例として、描かれたのかなと思うけど、気の毒すぎる。
     カウンセリングの必要性というか、自分をきちんと見つめるというか、受け入れるってことは大事だなと。

     ん。
     これは、自己を向き合う話だったのかな。
     そうかもしれない。
     うん。きっとそうだ。

    0
    2016年12月04日
  • 恥辱

    Posted by ブクログ

    秘密にしておきたい過去を持つふたりの女。
    優秀で母親の愛情を一身に受けた兄を持つ完璧主義の女医モニカと、ヘルパーの手を借りなければ生きていくことのできない異常な肥満体の女マイブリット。
    ふたりの人生が交錯したときに何が起きるのか。

    この作品に出てくるふたりの女性は、過去の出来事によって心に傷を持っている。過去に対して極端とも言える向き合いかたをしたために、自ら生きにくくしてしまう。
    こういう傾向はわたしにもあるため、主人公の特にモニカの気持ちが少しわかる。

    もっと気持ちを楽に、自分を責めて自分に罰を与えてばかりでなく自分を赦すことをした方がいい。頭ではわかっても、それをすることが出来ない。

    この作品はサスペンスなのか文学なのか。
    わたしはサスペンスかと思って購入して読んだのだが、サスペンスという感じでは無かった。かと言って、つまらないということもなく読みながら思うことも多くあり愉しめた。
    何かに分類する必要もない、面白い一冊だった。

    ラストは救いをうかがわせ、すっかり肩入れして読んでいたわたしにとっても救われる思いだった。
    いつかわたしも自分を赦せるような気がした。

    0
    2016年11月01日
  • 恥辱

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    カーリン・アルヴテーゲンは、1965年スウェーデン生まれ。
    二作目の『喪失』で、北欧推理小説賞を受賞。サイコサスペンスの女王ともいえる存在の作家らしいです。

    邦訳は四冊あり、本書は邦訳で一番新しい書物です。

    私は本書以前の三冊、『罪』『喪失』『裏切り』は読んでおらず、はじめてのカーリン・アルヴテーゲンです。

    主人公といえるのは、ふたりの女性。

    ひとりは、38歳の女医。仕事で成功し何不自由ない生活を送っているように思えるが、兄の死がいつまでも心から離れずトラウマになっている。
    もうひとりは、異常に太りすぎ部屋から出ることもできない犬と暮らす50代の女性。彼女を手助けしようとしてくれる人たちを辛辣な言葉で傷つける。

    この全く違う女性ふたりの女性のことが交互に綴られる。

    異なる人生を歩むふたりのことを知るにつけ、彼女たちの共通のキーワードが浮かび上がってくる仕掛けになっている。
    でも、彼女たちの人生は容易には交差しない。

    彼女たちの人生に登場する脇役もすごい。
    家族を殺し、終身刑を受け刑務所で過ごしている肥満女性の幼友達。
    彼女のことなどすっかり忘れていた日常に届いた一通の手紙。その手紙を受け取った時から肥満女性の人生に変化が訪れる。
    皮肉を並べ、悪口をいい、傷つけてヘルパーを追い出すことに生きがいを見出していた肥満女性だが、
    彼女の前に現れたヘルパーの女の子今までにないタイプの子。
    そのヘルパーの女の子の母親と女医は知り合いで、また女医の人生を変えてゆく出来事が起こる。

    人生の成功とは何か。捉われていることは果たして捉われるべきことだったのか。
    毎日の積み重ねの小さな出来事は未来に関連性があるといういわれてみれば当たり前のことが、過去と未来の自らの剣の先をつき合わせなければ気付かないこともある。

    過食で人の手を借りなければ生活できない中年女性、頑張り続け社会的地位や経済的成功を手に入れ、それでも不安と孤独のなかで頑張り続ける女医。
    現代に生きているふたりの女性は、とても身近に感じられる。焙りだされる心の闇に、私たちも現生活を振り返り、何かかんじなければならないのかもしれない。

    0
    2012年03月17日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    シビラは、道端にいるわけではないが、ホームレス同様の暮らし。
    18歳で家を飛び出して以来、ずっと身元を隠し、ストックホルムの無料で入れる所や似たり寄ったりの知り合いの住処を点々としていた。
    時には古着のブランド物を着て、ホテルのバーで裕福な男を引っかけ、財布を落としたと騒いだりして夕食をおごらせていた。
    街全体に影響力を持つ会社を経営しているフォーセンストルム家の社長令嬢だったのだが。
    高慢で横暴な母親と無関心な父親に、ひどい生活を強いられていたのだ。

    ある時、食事をおごらせただけで別れた男性が同じホテルの別室で惨殺される。
    翌朝、警察の声にとっさに逃げたシビラは、犯人にされてしまう。
    しかも、次々に同じ手口の殺人が起こり…
    入院歴のあるシビラは異常者の連続殺人犯として指名手配されてしまったのだ。
    髪を染めて点々としつつ、絶望と無力感にさいなまれる。
    学校の屋根裏に隠れていたとき、忍び入ってきた少年パトリックと気が合い、ついに正体を打ち明ける。
    利発だが孤独なパトリックは、真犯人を捜そうと協力を申し出る。

    被害者の共通点をネットで探し、ハッカーにも依頼。
    シビラは虐げられたままではいないと決意。
    関係者の元を単身、訪れるが…?!

    著者は1965年生まれ。
    脚本家から作家に。2作目の本書がベストセラー。
    北欧ミステリの女王だそうです。

    0
    2012年11月05日
  • 恥辱

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『恥辱(原題:Skam、英題:Shame)』を読みました。

    『罪』に続き、「カーリン・アルヴテーゲン」作品です… 北欧ミステリ作品が続いています。

    -----story-------------
    過去に囚われている二人の女性の贖罪の物語。

    私ではなく、彼こそ生き残るにふさわしい人間だったのだ――。
    母親の自慢でもあった、何もかも完璧な兄の死をトラウマとしている女医、38歳。
    自分でからだを動かすことすらままならない異常な肥満で部屋に閉じこもった50代女性。
    過去に囚われ、誰も信じることができず、究極の孤独を抱えた二人が人生の歯車を狂わせた先に出会った時……。
    ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が描くサイコサスペンスの傑作!
    -----------------------

    2005年(平成17年)に刊行された「カーリン・アルヴテーゲン」の4作目にあたる作品です、、、

    ミステリ的な要素は少なかったですが… 人間の内面の描き方の巧さが「カーリン・アルヴテーゲン」らしさを感じさせる作品でした。


    二人には、どんな相手にも告白できないほど良心に恥じる過去があった――。

    「モニカ・ルンドヴァル」は、医師として働く38歳の女性で、23年前に愛する兄「ラッセ」を喪い、その痛みを未だに引きずって生きている… 兄とともに事故に遭い生き残ったことへの自責の念をぬぐえず、生を謳歌することなく淡々と日々を送っている、、、

    母親は、誇りとしていた息子の墓参りを今も病的なほど頻繁に行い、常に「モニカ」を墓所までの運転役として付き添わせる… 母娘の関係は良好とは言い難く、父親は「モニカ」が生まれる前に家族を捨てて家を出ており、家族関係は崩壊していた。

    「モニカ」は、「トーマス」という男性と出会うことで、そこに救いを見出すのだが、兄の事故を想起させる事件が起こり、「モニカ」の精神は、またもや不安定な状態に陥っていまう… 自らの負の心理を断ち切ろうと、「モニカ」は身分を偽り、ある女性に接触する。

    「モニカ」の物語と交互に描かれるのは、自分でからだを動すことができず、ヘルパーの手を借りずには生きていくことができない異常な肥満で部屋に閉じこもった皮肉屋で50歳代の女性「マイブリット・ペッテション」の物語… 家族はおらず、一匹の犬と暮らす「マイブリット」は、椅子から立ち上がることさえ困難なほどに肥大した体躯ゆえに、ヘルパーの介護なしでは日常生活が送れない、、、

    だが、そのひねくれた性格はヘルパーとの関係をいつも悪化させ、これまでに担当者は何人も交代してきた… そんな「マイブリット」のもとに、若いヘルパーで正義感の強い「エリノール」がやってきて、「マイブリット」の生活に影響を与え始める、そして、時を同じくして「マイブリット」のもとに、旧友で夫と子どもを殺した罪で投獄されている「ヴァンニャ・ティレーン」から手紙が届き、「マイブリット」はシャットダウンしていた過去を呼び起こしてしまう。

    深刻なトラウマのせいで、他人を信じることができないという孤独を抱えた二人が偶然から出会い、お互いの人生に干渉することになる… 二人に共通しているのは、人に言えないほどの良心に恥じる過去があるということ、、、

    その罪悪感が引き金となった二人の行動は、いつの間にか交差し、ぶつかり合い、そして融合していく… という過程が愉しめる作品でした。

    「モニカ」と「マイブリット」の行動は、共感し難いものの、理解せざるを得ない感じですよね、、、

    自らの内なる感情が、どのような行動として表現されるのか… 興味深く、読むことができました。




    以下、主な登場人物です。

    「モニカ・ルンドヴァル」
     医師

    「ラーシュ(ラッセ)」
     モニカの兄

    「トーマス」
     モニカの恋人

    「マイブリット・ペッテション」
     犬と暮らす肥満女性

    「ユーラン」
     マイブリットの元夫

    「ヴァンニャ・ティレーン」
     マイブリットの幼友だち

    「ウーリャン」
     ヴァンニャの夫

    「エリノール」
     ホームヘルパー

    「オーセ」
     セミナー参加者

    「ブリエ」
     オーセの夫

    「マティアス」
     セミナー参加者

    「パニラ」
     マティアスの夫

    「ダニエラ」
     パニラとマティアスの子

    0
    2023年01月05日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    18歳でホームレスになった女性に、連続殺人犯の容疑がかけられる。自力で犯人を追い始めるが、前半は恵まれない家族との関係や存在を隠して生きる虚無的な生活が描かれる。後半、テンポ良く事件の謎が解き明かされる。読後感は良い。

    0
    2022年09月16日
  • 裏切り

    Posted by ブクログ

    俳優の不倫報道でTVが沸騰している時にたまたまこの本を読む。つい重ねてしまった。
    ヘンリックは最初から好きな人ができたといえばよかったのに。人格を否定されるのと、浮気を知らされるのとどちらが辛いだろう。
    妄想ストーカーの割り込みさえなかったら、エーヴァが暴走しなかったら、いずれ元サヤもあり得たかも。人生はもしもだらけ。

    0
    2020年01月27日
  • 喪失

    Posted by ブクログ

    アルヴテーゲン2作目、推理小説というかドラマ小説?地名が多く出てくるので日本語で読むとちょっとくどく感じます。夏の別荘への思い入れとかはなるほどスウェ人らしい描写。ホームレスという背景も社会問題をうまく取り上げてるな~。スタッズミッションで薬もらえるのは知らなかった。Från Stockholmare till Stockholmareというのにはそういう補助も含まれてるんですね。

    0
    2013年11月13日