三島浩司のレビュー一覧
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古風なタイトルだが、舞台は現代。
京都を中心に突然土が人の上に被さり生き埋めになるという怪異な現象が起こる。この土盛りは墳墓と呼ばれ、生き埋めになった人は玄主と呼ばれる。玄主は自力で墳墓から抜け出すこともあれば、救出されることもある。他方、同様に土盛りが生じ、そこから不定形の生物のようなもの、シノバズも現れるようになった。シノバズは人間の動機を殺す。動機を殺されると、まずシノバズを認識することができなくなり、さらに重篤になるとまるで意欲を失ってしまう。人間の動機を殺す作用は墳墓からも玄主からも発せられる。
なぜシノバズが現れるようになったかというと、最初の玄主、一号玄主である皆土清美が -
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『ダイナミックフィギュア』もそうだったが、この作品も設定は極めて理路整然としている。が、三行では説明できない。本の帯には「戦国時代+メカ+タイムスリップ」と書いてあるが……
主人公の大学生・花輪めぐるほか見ず知らずの4人の男女が戦国時代にタイムスリップする。日常生活において、何らかの扉を開けるとそこに自分のドッペルゲンガーがいて、その瞬間、戦国時代にスリップしているのだ。不在中はドッペルゲンガーが適当に生活しているらしい。あちらには着の身着のまま到着するが、ケータイとかは持って行けない。危険が迫ると、メカ鎧のようなヌキヒが自然と現れて守ってくれるし、また武器も出してくれる。そうして、歴史 -
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上巻は「ロボット活劇」の印象が強かったが下巻からは「ファーストコンタクトSF」の色が濃いように思える。 『他者と個人』とくに『個人・個(孤独)』を前面に押し出した作りは時代の空気とマッチしていてリアルに感じる。 登場人物の多さの割にキャラクターの描き分けが出来ていなかったり、同じような描写と行ったり来たりを繰り返す展開には「うーむ」な感じであるな。 が、そんなこたぁどーでもヨロシイ些末な疵なのである。 二足歩行巨大ロボットを成立させた緻密で分厚い設定とディテール、その緻密に組み上げられ構成された文章から不意を付くように漏れ出し噴出する「熱いキャラクターの台詞」にシビレるのである。 終盤の展開や
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ハードSF設定の世界観にガジェットとディテール(屁理屈ともいう)を大量投入して闘うスーパーロボットを成立させているところがエラい。 二系統の操縦法を持つロボット(ダイナミックフィギュア)という設定も鉄人28号+マジンガーZな感じで楽しい。 行動原理の分からない敵=キッカイの生態も面白いなぁ。 ちょっと癖のあるネーミングセンスに若干戸惑うが、これは読んでいる内に慣れてしまうかな、と。 大量に登場人物が出て来るが、あまりキャラが立っていないので読んでいて誰が誰だか分からなくなったが、とりあえず気にしない。 血湧き肉踊る熱血バカロボット活劇な上巻だったが、下巻でどういう方向にシフトしていくのか楽しみ
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ネタバレどれも近未来SFとは思えない、昭和の頃の下町人情物みたいな雰囲気が特異な一本。こーゆーのがジャンルの持つ巾なんだろう。
背表紙の惹句から判断すると、ターミネーターの後日譚みたいなものを連想してしまいそうだが、ロボットの反乱はあくまでも後景で、コアになるSF的ガジェットは〝分水嶺〟と呼ばれるもの。これの周囲では確率が歪み、例えばコインを千回投げたら表の目が502回出る。こんな僅かなひずみでも長いでも見れば、というので、これが闇取引の対象となって、それをまつわるあれこれが物語を動かすエンジンになる。
〝分水嶺〟の原理についての説明は一切なされないが、登場人物の言葉として、誰かが運命に抗ったとき、 -
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ネタバレリアルロボットSFの系譜をきちんと継いでる重厚SF、という印象を上巻でしっかりもてたので、物語の収束に非常に期待したんだが…残念なことに下巻の、特に後半部分における駆け足感が非常に残念。
ふろしきを広げ過ぎたって言うのとは違う、むしろ上巻と下巻前半のふろしきを広げるところは大いに楽しめたんだけど、その広いふろしきを持て余してしまったんじゃないかという印象。四辺を持とうにも手が広がらなかった的な感じというか…
続編を書かない(よね、あのエンディングで続編は期待しないし出たら失望する)タイプの小説なら、少々冗漫になっても伏線にはきっちり片をつけつつ、エンディングをキチっと〆ないと。いちばんの核