宮野公樹のレビュー一覧
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科学のフロンティアは、フラクタルのごとく微細な沿面を増やしながら、研究者の一人一人は際限なく蛸壺を掘るか、世界の塗り絵の本当に微細な一マスをこつこつ塗ることでかろうじて生きて行く羽目に。隣の研究者とはすでに興味が重なる分野もなく、ひたすら自分しか読まない軽い論文を積んでいくような研究生活では、科学は死んでしまう。
研究は「適切なクエスチョン」を設定することが何より大事。それは「何のためにそれをテーマに研究し、論文にするのか」を、とことん考え抜くこと、視野を高くもって分野違いの人と話をすること。アウトプット至上主義に絡め取られることなく、効率性、高生産性を鵜呑みに信奉せず、インプットと熟成に時間 -
Posted by ブクログ
本書で重要なことは、第1部のスライド作成前の構想の練り方が具体的に書いてあることである。PCを立ち上げず、まずは「プレゼン全体の構造化」をはかることが先決とある。大学院で指導を受けていても、このような細かい研究上の常識は、いちいち教員からコメントを得ることができないし、そうしたことより専門分野の指導を受けたいと思う学生が大半だと思う。
本書は、研究以前の基本的な研究発表に必要なことが詳細に紹介されている。未読の方は一度本書をチェックされることをお勧めする。学会で配られるスライドの配付資料を、なんとなく自己流に自分の研究成果を当てはめてもよいが、他方で本書のような型があることも頭の片隅に置いて -
Posted by ブクログ
問うことについて論理的に考察を深めた一冊。
本書は「「いい問い」とは何か」、「「いい問い」にする方法」、「「いい問い」の見つけ方」の3部構成。「いい問い」とは、物事を根源まで踏まえて考え、考え進めた結果、自分の存在、在り様(本分)まで達することのできるもの。「いい問い」にする方法は、現時点でのアイデアを「これは本質的か?」と自問自答して深掘りし、自分の存在、在り様(本分)に至るまで昇華させること。「いい問い」の見つけ方は、心情的であれ論理的であれ感じた違和感を、自分の考え、思いとの差に思い至り、それが自分の存在、在り様(本分)そのものであるとの認識に至ること。
多忙な社会生活を送る上で、日々降 -
Posted by ブクログ
よい問いを持つためにはどうしたらいいか。
本書の課題はこれに尽きる。
「よい問い」とは、本質に迫る問い。
本質に迫る問いとは、根源までさかのぼって考えつくした問いということのようだ。
言い換えると、その問いはなぜ存在するのか、なぜ自分はそれを問うのかを徹底的に考えるということ。
ちなみに、本書では対象と自己は、区別はあるものの、両者は分かちがたく結びついているものと扱われている。
筆者も言っているように、ハウトゥを伝える本ではない。
が、多少の手掛かりは与えられている。
n「問い」は、全体/個別、可視/不可視という二つの軸に、時間軸を導入した三次元的な図式でプロットできるという。
p128