あらすじ
質問、テーマ、問題といった小さなものから、人生の課題、目標、テーマといった大きなものまで「問い」は様々な形があるが、問いという点ではすべて共通している。では、「いい問い」とはなんだろうか。私たちが解くべきほんとうの問いにたどり着くため、「問い」それ自体を問うことからはじめ、磨くための考え方を深めていく。
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Posted by ブクログ
目に見えるものを重視する今を生きる私に取って、(幼い頃の方がよくわかっていたし大切にできていた)目に見えないものを思い出すきっかけになりました。
問いについての書籍ですが、考えるということについての書籍、と捉えた方がしっくりきます。
「クライアントのことをクライアント以上に考え抜きなさい」という上司の言葉が、本居宣長の「考えるとは交わるということ」という言葉に重なりました。対象と自分との区別がつかなくなるくらい考える、ということを私も日々やってみたい。やってみたらどんな地平が開けるんだろう、と思います。
「交わる」というキーワードに、先日開催したワークショップのワンシーンをふと思い出しました。クライアントが「この言葉の定義を教えてください」と一見事務的な質問に対して、同僚がある種機械的に「こう定義しています」と回答を返したのち、思わず「今の定義に関する問いは、◯◯さんの持つどのような背景から生まれたのですか」と問いました。するとクライアントは、「あー…それはですね…(しばし沈黙)実は普段から組織のこういうことが難しいと感じていて…」とぽつぽつと背景にあった物語を話し始めました。この問いを契機に、私を含むその場にいる他の方々とクライアントが交わり、クライアントもまだ気づいていないご自身の探索が始まったことを感じました。
表層的な目に見えるものの質疑応答を重ねてしまうと、互いに自分や相手にアクセスするための糸口を見逃してしまうと感じた出来事でした。今後は加えて、その問いのもつ時代性にも注意を払いながらファシリテーションをしていきたいと本書を読んで感じました。
私は、クライアントワークに携わっています。つまり、日々「課題解決」を生業にしています。しかし、それを著者の宮野さんは「結局、どうしたいのか、何が「いい」のか……。「課題解決」を第一義に置くのは、これらの本質的な問いについて思考停止になっている証左でしょう。いいことをやっている、高尚なことをやっているようでぜんぜん理性を働かせていません。」とバッサリ。ガーン。ここは一番突かれたくない部分であり、それでいて一番胸に刻みたい言葉でした。
「問い」を「あれこれブレストなどやりながら立てる」という積極的なものではなく「持ってしまうもの」という消極的なものとする捉え方は、私の肚にストンと落ちます。
結局、私は私の本分からしか問うことができないこと。ゆえに自分自身であることから逃げていては、「違和感」の発生にも鈍感になり、違和感の対象もぼんやりとし、元来持ってしまっている問いを「思い出せない」こと。問うという営みがいかに真摯に自分を生きることに通じているのか、そのことが本書を通して骨身に沁みました。
汝自身を知る、どこまでできるかわかりませんが、読書を通じた著者との対話や、家族やクライアントとの日々の対話を通じて探っていこうと思います。
Posted by ブクログ
①自分と向き合うには知識、思考、決断力が無ければ限界があり学び続ける必要がある。
②漠然とした不安が生じる原因は、問いが漠然としているからであり、それはつまるところ現状の把握が出来ていないということである。
③「工学的すぎる」:数学的な思考は必ずしも正しさを示すわけではない。
数学は数字やグラフ、表を用いることから客観性を有しているとされているが、客観は主観の集まりであること。今は客観性を有しているとされているが数学にとって代わる何かの出現も可能性としてあり得るわけで「盲信」することの危険性を説く。
Posted by ブクログ
「いい問いとは何か」について哲学的な要素を含みながら丁寧に論じている。
ビジネス書のように、問い方のフレームワークを示しているわけではないことには留意して手に取るべし。
問いとは本質的には何なのか、学術寄りの論理構成になっていてることに加え、図示されていることも非常に参考になった。また、哲学の概念が散りばめられていることから哲学への道の取っ掛かりにもなる人もいるかもしれない。
「問いを問う問い」を軸に、その問いを持ったきっかけは何か?その問いは自分にとって本物か?その問いをしてどうなりたいか?過去現在未来にかけた問いに対する問い。
「いい問いは何か」
「汝自身を知れ」(ソクラテスからの引用)
「で、その自分とは?」
Posted by ブクログ
哲学的で難しい内容。ただ、問いの本質について考えるいいきっかけになった。
なぜ?なぜ?と繰り返し深掘り続けることで本質に辿り着く、と聞いたことがあるがなぜそれが大切なのかが理解できる本
Posted by ブクログ
筆者の方も予め述べていらっしゃいますが、問いの立て方をハウツーで読みたい方にはあまりおすすめできません。問いの性質や本質が知りたい方は読むべきです。
途中難しいなと感じることもありましたが、丁寧な考察で興味深く読むことができました。
以下、読書メモです。
・「いい問い」とは、本質的な問いのこと。
・他者との会話は、異文化との対話であり、自らを認識する手段となる。
・「考える」とは生きること、生きていること。生きることを考えること、考えるを考えることが「考える」こと
Posted by ブクログ
問いを問う、と言うのは良い考え方だ。なぜその問いなのか、その根拠を考える。
問いとは考えることそのものだ。
根本的な問いを考える。その問いがどこから発生したのか考える。これは非常に有益な示唆に飛んでいる。自分がなぜその問いを発しているのか、個別、歴史的な背景を考える。他人ではなく自分がなぜその問いをはしたのか。
問いを思いついたら、どこからその問いが来たのか考える。時代的背景社会的背景。とにかくその問いについて掘り下げていく。なぜこの問いを考えるのか。
問いは結局のところ自分の中にあり、なにかを感じたり、疑問を感じた際にはそれがどこからきたのか、多角的に考える必要がある。
Posted by ブクログ
ETV特集 ねちねちと、問う ―ある学者の果てなき対話―
たまたまNHKで著者の特集番組を見た。「問い」について掘り下げるところも興味あったが、著者の息子さん三人の小学生が全員不登校ということに特に興味がわいた。
最初から最後まで平易な言葉で書き連ねてくれてるにもかかわらず、正直理解ができなかった。ただ、理解できないにもかかわらず最後まで読み進めたいと感じた内容はどんなものだったのだろう?
自分でよく分からないのだが、いつか再挑戦したいと考えている。
Posted by ブクログ
ちょっと難しかったです。良い(善い)問いとはなにか、を論理的に説明している本。
哲学的に、その問いは枝葉ではなく幹か?(本質か)を考えようねってこと。
Posted by ブクログ
問うことについて論理的に考察を深めた一冊。
本書は「「いい問い」とは何か」、「「いい問い」にする方法」、「「いい問い」の見つけ方」の3部構成。「いい問い」とは、物事を根源まで踏まえて考え、考え進めた結果、自分の存在、在り様(本分)まで達することのできるもの。「いい問い」にする方法は、現時点でのアイデアを「これは本質的か?」と自問自答して深掘りし、自分の存在、在り様(本分)に至るまで昇華させること。「いい問い」の見つけ方は、心情的であれ論理的であれ感じた違和感を、自分の考え、思いとの差に思い至り、それが自分の存在、在り様(本分)そのものであるとの認識に至ること。
多忙な社会生活を送る上で、日々降りかかるありとあらゆる事象に対して、須く上記の様な姿勢で臨むことは可能であろうか。少なくとも、私にはできない。ほとんどの事象に対しては表層的に、あるいは筆者のいうハウツー的な手法で已む無くさばきつつも、本来的な問いとはこのようなものである、ということを頭の中で意識しておく努力は必要か・・。いや、日々降りかかるありとあらゆる事象も、「いい問い」を追求するとすべて同根であることに思い至ることができるのだろうか・・。
Posted by ブクログ
話題本だと思い購入しました。本質とは何か?面白い本だとは思いましたが、図示は逆にわかりにくいとも思いました。何かのきっかけにはなる本かもしれない。
Posted by ブクログ
よい問いを持つためにはどうしたらいいか。
本書の課題はこれに尽きる。
「よい問い」とは、本質に迫る問い。
本質に迫る問いとは、根源までさかのぼって考えつくした問いということのようだ。
言い換えると、その問いはなぜ存在するのか、なぜ自分はそれを問うのかを徹底的に考えるということ。
ちなみに、本書では対象と自己は、区別はあるものの、両者は分かちがたく結びついているものと扱われている。
筆者も言っているように、ハウトゥを伝える本ではない。
が、多少の手掛かりは与えられている。
n「問い」は、全体/個別、可視/不可視という二つの軸に、時間軸を導入した三次元的な図式でプロットできるという。
p128~129の図9だ。
問いを磨くためにぶつける問い(問いをぶつけるという意味では戸田山和久さんの『論文を書く教室』のビリヤード法を想起させる)を導く。
過去(歴史性)の軸
・なぜその問いが気になったのか
・その問いを持ったきっかけは
・なぜ(社会に)そのような問いがあるのか
・その問いの時代性、歴史性は何か
現在(社会性)の軸
・その問いは自分にとって本物か
・それは本当の問いか
・類似の問いはないか
・全人類も持ちうる問いか
未来(創造性)の軸
・どうありたいか
・どうなりたいか
・何をしていることになるか
・この世に責任が持てるか
そもそも著者は「問い」は作れるものではなく、そのようにあるもの、そこに巻き込まれてしまうものともいう。
そして、それの解き方については本書の管轄外となる。
私がこの本に興味を持ったのは、自分が中高生の頃から、いわゆる問題意識がなかったことにある。
本書でも、問題の所在に気づくために、「違和感」に敏感になることを説かれている。
で、違和感を持つにはある程度知識も必要かと思い、それなりに知識を得てきた。
ある分野では、ある程度成功したかもしれない。
が、いまだに問題意識は希薄で、「問い」を立てることは苦手なままだ。
本書の考えに沿えば、自分がそのようなあり方をしていること自体を問うていくことはできるのかもしれないが…。
Posted by ブクログ
他の人も書いているけど、哲学的に問いを考えてみた系の内容でした。内容は充実しているものの、問いの「立て方」なのかはよく分からず。ただ、作者もノウハウが知りたいなら他の本を当たれとしつこく警告しているので、良心的です。
時間がある時におすすめ。
Posted by ブクログ
著者も何度も書いているようにハウツーものではなかった。
ロック風に言うと「答えは自分の中にある」ということなのだろうけれども、なんで自分の中にあるのか、ということを哲学や心理学の言葉を引用してやさしく解説してくれている。
人生とは見た目と中身のギャップを埋めていく作業に他ならない、というのが私の持論だったけれども、この本でそれが裏付けられたような気がして、あらためて腹にずしりと納まった。
ただ、糸井重里は私は好きではないので、最後に書かないでほしかった。残念。
若い人向け。
Posted by ブクログ
文章は平易だけど、内容が哲学的で抽象的な議論を扱っているため、わかったようなわからなかったような、なんだかふわふわした読後感です。文中で筆者が何度も言うように、本書は良い問いの立て方を説明するハウツー本の類ではなく、問いを問う問い、本質的な問いとはどのようなものかを深く考察したものです。十分に理解できていませんが、問いを立てる際にはその問いを問い続けてみたいと思います。