岸田るり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初・岸田るり子。
良かったです、すごく・・・面白かった!!
構成がとても良いし、ストーリーもキャラクターも良い。
上質なミステリーだと思いました。
後半、「え、このスピードでこの残ページ数で、謎解き全部出来るのか・・・?」と不安になってしまったんですが、そこからの風呂敷の畳み方が上手!
この分量ですっきりまとまった。
「出口のない部屋」のシンプルな不思議さと、キャラクターの内面描写のリアリティが、絶妙な加減でひとつになっているのがすごい。
止まらなくて一気に読んでしまったし、そんなに長くないのにたくさんの経験をするような感覚があって、そして最後まで読んだあとまた最初に戻って読みたくなる。
ちょっと残酷な描写があって、そこはそんなに必要でもない気がしたけれど、キャラクターの歪みを上手く見せていたと思えば良し。
もっと他の作品も読んでみようと思いました。
思いがけず良い出会いをした! -
Posted by ブクログ
久しぶりの岸田るり子さん。
本屋さんで見つけて、わーいるり子さんだと手に取ると、ナニコレ漫画なのという表紙。最近こういう漫画みたいな表紙が増えてきたけれど、わたしは購買意欲がとんでもなく減退する。やめていただきたい。
散々悩み、るり子さんじゃなければ書棚に戻したけれど購入。
色覚障害のある賢い美少年菊巳が事件に巻き込まれる。
失踪した妻子の行方を探す男性から依頼を受ける探偵麻理美と健一。
こういう設定で始まる物語。早い段階で麻理美たちの探す妻子とは、菊巳と母親ということはわかる。
異なる場所で異なる人物によって繰り広げられる物語が、最後に繋がるというのはよくある形であるが、どう繋がるのかが推理のしどころ驚きどころのひとつとなることからすると、本作にはそれは全くない。
また、結論から言うと意外な犯人も衝撃のラストもない。この作品にあるものは、沢山あるパズルのピースのような手掛かりを、ひとつひとつ嵌めていくと出来上がる絵のようなもの。
推理やミステリーといった点から見ると比較的地味な作品だとは思う。
フランスで暮らしたことのある作者だけに、フランス語についても物語で関わったりするところは岸田るり子さんらしいと言える。
ランボーの詩が出てくるが、フランス語がわかるともっと違って感じられるのかもしれない。
ステンドグラスのトリックがあるが、そこが少しよくわからない。ステンドグラスをそんなにマジマジと見たことがなかった。
今度教会に行ったとき、へばりついて見てみようと思う。
伏線の回収もきちんとされており、あちこちに出した品物をひとつ残らずしまってくれるようにすっきり片付いて終わる。
色覚障害があり母親との関係もうまくいかず登校拒否になっている菊巳の気持ちの描写なども上手く書かれてていた。
ただ、そもそも母親がもっと菊巳と向き合い話し合っていたら良かったのにと思う。そう出来ない理由が特にないように感じた。
母親が菊巳と向き合い良好な関係を築けていたら物語自体が成立しなくなるので、そこは大目に見るところかもしれない。
麻理美と健一のコンビは気に入ったので、また別の作品にも登場することを期待する。
ところどころ笑いもあり面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
宗一の前に現れた一二三は一体何者なのか?
そこが気になって、一気読みでした。
ただ、どうも宗一の言動に乗り切れず・・・
一二三が現れてから後、それまで付き合っていた女性に対して
冷たすぎるでしょ!
そして一二三に惑わされすぎ。13年前なのに引きずりすぎ。
ストーカーすぎ(笑)
まぁ宗一が一二三の事を調べない事には話が進まないのですが。
それにしてもちょっと色々気になってしまいました(^_^;)
ストーリーは色々気になる謎があって、ぐいぐい読ませるのですが最後がちょっと「う~ん・・・」って感じでした。
結局そうなるの?って感じでしたね~。
ネタバレになるのであまり書けませんが、最後の向井さんの行動が納得できない!!じゃあこの後どうなるの??って思ってしまって。宗一は宗一で「お前はそれでいいのか?」って聞きたいですし。
なんか否定的な事ばかり書いてますが、一気読みしたんですよ!
好みのラストではなかったですが、真相を知った上で再読すると
また違った面白さを味わえます。
思わず軽く読み返しましたもの。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとある部屋に迷い込んで出られなくなった3人が、こんな事態に陥った理由を探るためそれぞれが抱えた問題を思い起こしていくホラーテイストのミステリ作品。
大学講師、若手小説家、開業医の妻。
3人がどうして閉じ込められたのか、どうやって抜け出すのかというテーマではないのが新しい。
まったく接点のないと思われた3人が終盤、ある一点で繋がっていくのが鮮やかである。
殺人トリックの点はうまくいきすぎな感もあったものの、全体としての破綻なく綺麗に物事が流れていてうまいなと思う。
トリックとレトリックに誤魔化しがないしきちんと伏線を引いているのでちゃんと読めば引っかかったところが解消され、謎解きの押し付け感がなくてよい。
何より物語に出てくる人物の誰もがリアルで人間ドラマとして面白い。
派手さはないけどうまいな~という秀作です。 -
Posted by ブクログ
おー。
期待せずに読んだせいなのか、満足の一冊!
すっかり主人公の男性の気持ちになって読み、
登場人物・江真に同情し、読み終わって、
一二三の気持ちにしっかりと同調できて感動できた。
よく出来ていると思う。
一人称で述べられている事実と三人称で語られる状況は、
読み直しても破綻していないし、江真に対する向井さんの態度も、
宗一に対する一二三の驚きや「本当に覚えていないの」という台詞も、
すべてがフェアだ。
ただ、最後の部分が若干納得行かない。
自身に保険金をかけ、それで5億になるのかな?とも思ったが、
自殺で保険金は下りないのでは。。
と、すればこの死の意味は?
なんとか自分を納得させた理由は、母親を正しく尊敬できる少女に、
江真を育てたかったから?
あるいは十年以上ひたすらに思っていた人に会ってしまったら、
もう、解放してあげたかったとでも思ったのだろうか?
その部分はちょっと、えーって感じだったけれど、
あまりにも読み直しての上手さに感心したので★4つ、つけておきます。
書評なんか見るとかなり評価は低いけれど、
あたしはこの構成力、かなり好き。
他の作品も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
なかなかの仕掛けだった。
恋愛を何度繰り返しても本気になれない宗一。
それには若かりし日に3ヶ月だけ同棲をした恋人一二三の存在があった。
同僚の結婚式に出席した宗一は、13年前に突如として宗一の前から姿を消した一二三と再会することになる。
しかし彼女は13年の年月を感じぬほどに、いや…まったくの別人のように若々しく美しかった。
同姓同名?
そんな疑問は隣に寄り添う少女によって瞬時に払拭される。緑色の目の少女。それは間違いなく一二三の娘。緑色の瞳、そんな偶然があるはずもない。
整形?いや別人?では娘は?
興味深い始まりである。
有り得なさそうで、ありそうな…。
そうそう上手く行くことではないけれど、動機は身勝手としか言いようがないけれど、上手くことが進むからこそ面白い!ミステリーとして最後まで楽しめました。
人はいろんな事情で天使にも鬼にもなる。
誰かにとって天使であってもその同じ人が誰かにとっては鬼となることは間違いなくある。
知らぬが仏。
13年間忘れられずにいた恋人の真実を知ったときの宗一の混乱と虚無感を思うと切ない。
親心は痛いほど分かるけれど、それでも我が子が背負った運命を親であっても変えることはできない。それよりも、親子としてもっと当たり前の愛情をもって生きて欲しかった。
自分が我が子を愛するように、誰にだってその人を愛する人たちがいるという想像力を失ってはならない。
今年の8冊目