岸田るり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
医大に勤める秋沢宗一は、自分が指導していた同僚の結婚式で、来賓テーブルにかつて数か月だが同棲していたことがある”亜木帆一二三”というプレートがあるのを見つける。あんなに珍しい名前がふたつとあるはずがない。しかしそのテーブルに着いた女性は、宗一の記憶の中にある一二三とは似ても似つかなかった。しかし隣に一緒にいるのは一二三の娘である田中江真に違いない。そして近づいていった宗一に気づいた一二三は驚きの表情と共に、かつてのように「しゅうさん・・・」と確かに呼んだのである。
物語としてはうまくできていると思う。気づきそうでなぜ気づかなかったのかという部分では、沼田まほかるの「ユリゴコロ」と同じような感想を抱いた。しかし、リアルにこの入れ替わりが可能かと言われると、まず無理だろう。指示するだけでなりきれるなら、看護学校はいらない。そして、なぜ最後に選ぶのが自殺という選択肢でそのタイミングなのかが心理的に理解できない。そこまでやったのならできる限り寄付して、自分に保険金もかけて・・・ぐらいやりそうなのに。 -
Posted by ブクログ
プロローグで描かれるホラー作家と編集者のいわくありげなやり取り。そして出口のない部屋に閉じ込められた、医療研究者、売れっ子作家、開業医の妻。彼らの身の上話とつながりを描いたミステリー。
絶妙に嫌な人間を描くのが巧いなあ、と岸田さんの作品を読んでいると思います。特に秀逸なのが医療研究者の夏木祐子。こういう女の人っていそうだな、と読んでいて思わずイライラしてしまいました(笑)
見ず知らずの人が同じ密室に閉じ込められて、という作品は一時期小説や映画でよく取り上げられていましたが、どれもデス・ゲームの側面が強くて、面白くはあるのですが大枠は一緒で細かいところでしか差がつかなかったような印象があります。
この作品は状況は似ていても「出口のない部屋」というのは、あくまで作品に深みを与えるため、犯人の闇を描くためのの一つの装置だったのだと思います。そういう意味では同じ作風のフィクションの中でもかなり異色です。現に密室状態でのサスペンスやスリラーの側面は弱く、あくまで三人の人生を結んだものは何か? という謎が主題です。
多少強引ではあるものの、三つのつながりをつなぐ要素が明かされるシーンは読みごたえがありました。部分的にこう来るのかな、と読める箇所はあったのですが、真相はそれをもう一つ上を行くものでやられたなあ、という感じでした。