岸田るり子のレビュー一覧
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医大に勤める秋沢宗一は、自分が指導していた同僚の結婚式で、来賓テーブルにかつて数か月だが同棲していたことがある”亜木帆一二三”というプレートがあるのを見つける。あんなに珍しい名前がふたつとあるはずがない。しかしそのテーブルに着いた女性は、宗一の記憶の中にある一二三とは似ても似つかなかった。しかし隣に一緒にいるのは一二三の娘である田中江真に違いない。そして近づいていった宗一に気づいた一二三は驚きの表情と共に、かつてのように「しゅうさん・・・」と確かに呼んだのである。
物語としてはうまくできていると思う。気づきそうでなぜ気づかなかったのかという部分では、沼田まほかるの「ユリゴコロ」と同じよう -
Posted by ブクログ
プロローグで描かれるホラー作家と編集者のいわくありげなやり取り。そして出口のない部屋に閉じ込められた、医療研究者、売れっ子作家、開業医の妻。彼らの身の上話とつながりを描いたミステリー。
絶妙に嫌な人間を描くのが巧いなあ、と岸田さんの作品を読んでいると思います。特に秀逸なのが医療研究者の夏木祐子。こういう女の人っていそうだな、と読んでいて思わずイライラしてしまいました(笑)
見ず知らずの人が同じ密室に閉じ込められて、という作品は一時期小説や映画でよく取り上げられていましたが、どれもデス・ゲームの側面が強くて、面白くはあるのですが大枠は一緒で細かいところでしか差がつかなかったような印象が