エリザベス・コルバートのレビュー一覧
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地球上に「生命」が現れてから約40億年もの間に、さまざまな種が生まれては絶滅していった。
現代の私たちは地層や化石などの研究によって過去に5回の大規模な絶滅(ビッグファイブ)があったことを知っている。
(ウィキペディアの地質時代、大量絶滅を参照)
過去の大絶滅では当時に存在した種のうち70〜90%が失われたといわれている。私たちにいちばん馴染みがあるのが白亜紀末の大絶滅で、当時地上で大繁栄していた恐竜類が隕石の落下による影響で一斉に絶滅したことは有名だ。
そして、今現在、6度目の大量絶滅が進行中で、その主な原因が私たち「ヒト」である、という事がこの本のテーマである。
私たちヒト(現生人類) -
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これまでジオエンジニアリングやDACについては懐疑的な見方をしていたが、以前キム・スタンリー・ロビンソンの「未来省」を読んで以来、見方が変わりつつある。
もはやパリ協定などの現在の政治的な気候変動対策取り組みはほとんど機能していないという現実を直視して、なんとか生き延びるための技術的な一手も真剣に考えねばならない日がすでにもう来ているのかもしれない。
ここ数年、年々夏の平均気温の上がって「苦しい夏」と感じることが増えてきたが、まだこれでも平年+1度台。本書の中では研究者によっては我々の生きているうちに+4度もあり得るという指摘があり、+4度という世界はその数字以上に我々を苦しめるのだろうと背筋 -
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大絶滅にかかわる学説史的なものを背景に、著者が世界各地を訪ねて取材した学者たちの活動をアンサンブル的に(もとは雑誌連載)散りばめてある。カエルのツボカビ、化石発掘、恐竜絶滅、海洋酸性化、熱帯多雨林、サンゴ礁、人新世、ネアンデルタール人などなど盛りだくさん。ヒトの手により現在進行中のまさにグローバルな事態を、地質学的な時間軸の中にすっきり位置づけてくれた。
個々のエピソードは何かしら聞いたことのある話がほとんどだだったが、個人的には以下の点などが新鮮であった:
・イースター島の環境破壊の原因は、直接的にはヒトよりもむしろネズミであった可能性が指摘されている(そのネズミはヒトが連れてきたにせよ -
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ペルム紀末の大絶滅が古生代を終わらせ,白堊紀末の大絶滅が中生代を終わらせたように,現在進行中の種の激減は「人新世末の大絶滅」となって新生代を終わらせてしまうのだろうか?
先史時代から大型哺乳類を狩って絶滅させてきた人類は,近代化以降,化石燃料の使用による地球温暖化・海洋の酸性化,輸送による外来種の拡散,開発による棲息地の分断によって動植物の絶滅をさらに加速させてきてしまった。その速度は前例を見ないもので,この事態はやがては人類自身の絶滅にまでつながるのかも知れない。豊富な具体例とともに警鐘を鳴らす一冊。
初めて聞いたときは「人新世」なんて大袈裟な,なんて思っていたりもしたけれど,認識が甘かった -
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自然をコントロールしようとする人間の科学的な行動が思いもよらないコントロールのできない事態を引き起こし、また、それをコントロールしようとすることに苦慮する。
例えば、生態系であったり、治水であったり、また、地球温暖化だったり。
この本では、そういった事例をジャーナリズム的に取り上げて、人間の自然をコントロールしようとする取り組みはなかなか上手くはいかないぞということを紹介している。
「人新世」という言葉も一般に聞かれるようになってきた。
人間の営みが地質学的にも地球に影響を与えていることを表す言葉として使われている。
化石燃料の使用により、地球の気温上昇だけでなく、人間は地層にもその営みを刻 -
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絶滅の概念は、18世紀初頭、キュビエにより、アメリカマストドンをめぐってもたらされた。
クルッツェンは、人新世の語を用いた、これまでの変化として、以下を指摘している。
・人間は地表の3分の1から半分に手を加えた。
・世界中の主要な河川の大半はダムが建設されたり、切り回されたりした。
・肥料工場が、すべての陸上生態系によって自然に固定される量を上回る量の窒素を生産している。
・海洋の沿岸水域における一次生産の3分の1以上が漁業によって消費される。
・人間が世界中の容易に入手可能な淡水の半分以上を使う。
人間の運搬による種の均一化がもたらす効果は、大陸がひとつに結合された場合を想定した思考実験