志村五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数学において、二つの分類がある。それは、「はじまりの数学」と「おわりの数学」である。志村五郎さんは完全に「はじまりの数学」が好きであるようである。有限単純群の分類やパンルヴェ方程式の分類やエキゾチック球面の分類などは、それから先が続かない、応用されない、という意味であまりよろしくないようなのである。私のように鑑賞するだけなら、どちらも美しく感じるのだが、現場の数学屋として頑張っている人間から見る風景は、また違ったように見えるのであろう。
蛇足だが、哲学でも、「はじまりの哲学」と「おわりの哲学」がある。前者は永井均・青山拓央路線であり、後者はヘーゲル・ハイデガー路線である。 -
購入済み
マイナス評価は鵜呑みにせずに
純粋な数学の説明については役に立ちました。志村先生はかなり狭量な方のようで、自分自身の数学的業績をあげるのに有効な価値観をもっておられる感じがします。ですので、志村先生が本書などで、数学書や他者について非難されていても、それは志村先生の意見であって、一般的には正しいかどうかは分かりません。志村先生が何か非難されていてもスルーするか、第三者的に眺めるのが賢明なようです。
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Posted by ブクログ
"〈数学者〉の回想"だからではなく、維新から戦前の"東京"に関する回顧があるから、読むことにしたもの。
著者が幼い頃住んだ旧牛込区若松町周辺は土地勘もあるので、著者の回想に出てくる場所は何となく懐かしい。
著者は1930年(昭和5年)生まれ。戦前の中流家庭に生まれ育った訳だが、学校の授業や先生の教育方法、学友との交際などが具体的に描かれる。また空襲で多数の焼死体を見るなど死と隣り合わせの時代であったが、そんな中で映画館で映画を見た記憶などが語られる。
戦後、一高、東大で、本格的に数学を学べると期待した著者であったが、その期待は裏切られる。その