アダム・カヘンのレビュー一覧
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黒人政権移行の難題を抱えた南アフリカのマンデラ大統領や暴力に揺れるコロンビアのサントス大統領が、のちにノーベル平和賞を受賞するに至る国家作りを支える基礎を支えた著者アダム・カヘンの本。
超難題の解決に助力してきた中で、一貫して対話の重要性を語ってきた著者が
「対話が最善の選択肢ではない」
とさらに踏み込んだ内容になっている。
「ストレッチコラボレーション」と題する、ただのコラボレーションではなく、お互いが柔軟に形を変えながら行うコラボレーション。
どうやってこのストレッチを生み出すかが重要で、要点は3段階あり本文中から引用。
“第一のストレッチ 、対立とつながりの受容では 、力と愛とい -
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南アフリカの民主化にむけて大きな力となった伝説のワークショップを担当したファシリテーターの新著。
しばしば、対立概念でとらえられる力と愛であるが、それは補完的なものである。愛のない力、力のない愛では、いずれも社会変革は失敗する。これらは、二者択一の概念ではなく、ディレンマ、つまり両立させるべきであるが、なかなか両立が難しい問題である。で、解決策としては、歩くように、愛→力→愛→力といったぐあいに、交互に進んで行くことが大切というメッセージである。
言われてみれば、当たり前のことだけど、なかなかこれをストレートに言った人は、すくなくともファシリテーションとかやっている人では、少ないと思う -
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原書のタイトルが『Power and Love』といって、冒頭のキング牧師の引用が、この本のすべてを語ります。
愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である。
ーキング牧師
よくこの対決を日常の至る所で目にします。感情論に訴えて具体的な解決策が見いだせなかったり、やったら強引に物事を進めようとして、関係者の気持ちを無視してみたり、さもすると、ナイーブな感情論というくくりの『愛』と、ギラギラした出世欲丸出しの自我としての『力』の対決の構図になりがちですが、本書はまったく新しいコンセプトを提示します。
愛と力は二者択一する選択肢なのではなく、そのバランスを保つことが重要だと。
そう考えたの -
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ネタバレ世界のために、世界の人たちといっしょに働くとはどういうことなのかを学びたくて、読んでいる。
カヘンは、南アフリカを始め世界50ヵ国以上で教育、環境、紛争、食糧問題など社会問題の変革を支援する仕事をしてきたプロジェクトデザイナー。この本は華々しい成功物語ではなく、彼がプロジェクトを進める中で発生した葛藤や苦悩について率直に語っている。
◆学んだところ
○プロジェクトを成功させるためには、なにが必要なのか?
愛(統一の衝動)と力(自己実現の衝動)を統合する力を身に着けること。
このテーマによって、本書は貫かれている。
○愛とはなにか? 力とはなにか?
カヘンは、神学者パウル・ティリッヒの定義 -
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アダム・カヘンの最初の本の新訳版。
前の翻訳は2008年に出たということで、私は出てすぐ読んで、その後再読していないので、15年振りということになる。
旧訳と比較してないので、どこがどう変わったかはわからないが、全体として読みやすくなった印象をもった。
もちろん、その後のアダムの本やU理論などなどを読んだり、ワークショップに参加したり、いろいろしたので、「そうそう」みたいな感じで読みやすく感じたのかもしれない。
いくつか自分の理解が十分でなかったところで、改めて理解が進んだ概念もいくつかあった。(「ディベート」に関する部分とか)
本は、理論的というより、さまざまなエピソードを紹介しな -
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アダム・カヘンの本、5冊目?
どこかで読んだと思うエピソードとか、議論もあるのだけど、過去の著作も含んだカヘンのファシリテーション論の総集編、集大成みたいな感じかな?
以前の著作で「愛」と「力」の両方必要なのだけど、それを同時にやるというより、歩くときに右、左と進むように、やっていくという話しがあった。
それはなるほどと思ったのだけど、やや抽象的な感じだったのが、ここでは切り口を整理して、ある程度、具体的な形で説明してくれている。
そして、この本では、さらに「正義」という要素がでてきて、「愛」「力」「正義」の3点セットで整理してある。
「愛」と「力」で進むのはいいのだけど、その目的と -
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いや、これはなかなか重要な内容の本でした。「敵とのコラボレーション」という題名が過激ですが、要は「多様な人たち、多様な価値観を持った人たちとのコラボレーション」というテーマです。
従来型コラボレーションの前提は、「チームとして1つとなる」「1つの最適な目指すべき計画を策定する」「1人の最高位のリーダーの指揮に従ってメンバーは行動する」。それに対し、この本が提唱する、多様な価値観、それぞれの利害を持ったメンバーたちと協働するための方法論、「ストレッチ・コラボレーション」では、、、(以下ネタバレとなるので略)
いや、このアプローチ、もちろん今までも無意識のうちにかなりの部分実践してきましたが、今後 -
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「社会変革のシナリオ・プランニング――対立を乗り越え、ともに難題を解決する」のレビューを書きました!
アダム・カヘンさんの3冊目の本です。
1冊目で対話の大事さをかたり、2冊目はマーティン・ルーサー・キングを踏まえて、「愛と力」を語った。3冊目は、ついにお待たせという感じのアダムの必殺技シナリオ・プランニングの本。アダムのファシリテートした南アフリカでのシナリオ・プランニングのプロジェクトは、アパルトヘイト後に国が平和的に体制を移行することに貢献したといわれる。
この本は、そうしたアダムの経験を通じて生み出された「トランスフォマティブ・シナリオ・プランニング」が理論、テクニック、そして実例を通 -
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南アフリカのアパルトヘイト撤廃プロジェクトなど、政府や企業が複雑な社会問題解決に取り組む際のファシリテーターとして国際的に活躍する著者が、自らの経験の集大成として「変容型シナリオプランニング」のノウハウをまとめた一冊。
変容型シナリオプランニングとは、単なる予測やビジョンの作成ではなく、現状のシステム構造や文脈を含めた深い洞察により、“最も重要性の高い不確実なこと”を明らかにした上で、自分自身が未来に影響を及ぼすのだという意図をもって、明確で現実味がありながら、現状の思考に一石を投じるようなストーリーを構築し、その具現化を図るまでの一連のプロセスである。
その際に重要なのは、心理的に「安全 -
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原題は「Power and Love」
力とは「自己実現の衝動」、愛とは「統一の衝動」のこと。
著者は、南アフリカの民族闘争やグアテマラの内戦など、
根深い問題の解決を図るプロジェクトのファシリテーターとして活躍。
これらのプロジェクトで、愛のない力や、力のない愛による挫折を
たびたび経験し、力と愛の両方を使いこなすことが必要だと痛感。
力と愛のバランスという観点から、再び自分の経験をふりかえる。
仕事における些細な変化でも、ついつい強制力に頼ったり、
逆に協調を重視して全然進まなかったり、そういうことは多い。
力と愛のどちらが優位になっているかを意識する、というのは
変化がなかなかうま