板橋拓己のレビュー一覧
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アデナウアー
現代ドイツを創った政治家
著:板橋 拓己
中公新書 2266
四か国によって分断占領された、ドイツ第三帝国は、まさに冷戦の出発点となった
戦後のドイツの方向性を決めたのは、アデナウアーであり、西側とともに生き抜くことを選択する
日本でいう吉田茂が、西ドイツのアデナウアーである
亡くなったときに、国葬となったことでも、戦後のドイツをささえたことでも、二人は似ていると思いました
また、西ドイツは、戦後の奇蹟の経済復興、西側への軍事、および、経済圏への参画など、驚くほど、日本と似通っています。
アデナウアーはその道筋を作り、戦後の復興にドイツを導いた首相だったのです
気になったの -
Posted by ブクログ
アデナウアーについて名前しか知らない程度で本書を手に取りました。購入のきっかけは第二次世界大戦後のドイツの政治経済を勉強したかったこと。そのためには、まさにこの時期に西ドイツを率いたアデナウアーの本が一番いいのではないかと思い購入しましたが、期待は裏切りませんでした。
全般的に初心者にも読みやすく、アデナウアーの話だけでなく、敗戦後のドイツそのものの激動について興味深く読みました。
しかし本書を読む限りにおいてはアデナウアーという人はかなり独善的に感じました。ドイツに自由民主主義を定着させるという目標のために、議会民主主義は全然顧みなかったという、ある意味矛盾を抱えていて、しかし言い換えれば -
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ネタバレ私の中では「西ドイツの戦後の首相の1人」であるという認識しかなかった。
詳細は読むことをおすすめするが、彼の徹底した「反ソ主義」「間接民主主義」は眼を見張るものがある。「本当に」「何一つ」ソ連の言うことを信用しないのだ(若干民族主義の嫌いもある気はするが)。
ドイツの「臣民」の感覚を利用し、彼は西ドイツに民主政を根付かせることに成功した。
彼のドイツ再統一論は、逆説的ではあるが「東ドイツの存在を認めない」ことにある。彼の中には、ドイツ帝国の後継者たる西ドイツが「メーメル川までのドイツ」を回復することにが脳内にあったのだろう。しかし東ドイツが編入され、東ドイツを編入した西ドイツは、ポーランド政 -
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民主主義は、一次大戦とロシア革命を機に新しい思想と実験が始まり、ファシズムと二次大戦を経て、ソ連型社会主義と西欧型社会民主主義、それにキリスト教民主主義が三つ巴となって展開していく様を丁寧に記している。完全には理解できなかったが、勉強になった。
「決定権力を、資格ある専門家にではなく、無資格の労働者に与えても意味がない」p35
「自由民主主義の安定を脅かす最大の脅威: リスク、不確実性、無知の3つの悪(ケインズ)」p37
「戦争が国民をより均質化し、国民内部の階級差を減少させた」p43
「社会主義は、その指導者がいかに人道的で善意に満ちていても、必然的に、計画を担う中央の権威を樹立することにな -
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・戦間期(第一次世界大戦と第二次世界大戦の間)を扱っている巻。
・第一次世界大戦で戦場にならなかったアメリカが主導権握り、大量生産大量消費社会→世界恐慌
・ロシア革命指導者レーニン死後、スターリンへ。
スターリンはソ連だけでも社会主義国家を建設するという一国社会主義論↔世界革命論
・世界恐慌でアメリカはニューディール政策(公共事業、政府が価格調整、補助金)、イギリス・フランスは植民地内でやりとりする経済ブロック、ソ連は社会主義で乗り切る。
経済基盤が強いアメリカ・ソ連、豊富な植民地を持つイギリス・フランス…このような持てる国に対し、経済ブロックのメリットを受けられなかった持たざる国(日本、ドイ -
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政治思想史を専門とするドイツ人学者による20世紀のヨーロッパ政治思想史。第一次大戦、ロシア革命当時からの主としてドイツとロシアに着目し、ヨーロッパの政治思想の変遷を明らかにしている。基礎的な知識のない私にとって理解するのが難しかった。
「20世紀は何よりも「イデオロギーの時代」と捉えられることが多い」p3
「イデオロギーは「政治的宗教」と呼んだり、チャーチルのように「神なき宗教」と呼ぶ者もいる」p4
「どのようにしてイデオロギーがこれほどまでに魅力的たりえたか、を改めて意識することが我々には必要である」p4
「19世紀末にパスポート管理を行っていたのはオスマン帝国とロシアだけである」p21
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