鳥取絹子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『夜と霧』が意識して客観的に書かれていたのに対し、本書はインタビュー形式ということもありかなり主観的な話を聞くことができます。
アウシュビッツの中でも、ガス室や焼却炉という特殊任務に当たっていたゾンダーコマンドの経験です。基本的にこの作業に当たった収容者は秘密保持のために処分されたため、かなり貴重です。
印象的なのは、解放後に人に話をすると頭がおかしいと思われて信じて貰えなかったという点です。
この経験を語ろうとするまでに40年以上かかったそうです。
あんまりにも酷い出来事は、信じないことでなかったことにしたいのかもしれません。
勇気をもって告白してくれて有り難いです。
大切に読むべき本です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ
十二時間労働の二交代制で強制的にやらされた「汚い仕事」の流れ作業は、脱衣室で犠牲者につきそって、待ち受ける悲惨な運命を感づかれないようにできるだけ早く服を脱ぐ助けをし、SSが犠牲者をガスで殺しているあいだに彼らの衣類を集め、ガス室から遺体を出し、義歯と金歯を抜き、女性の髪を切り、これらの遺体を焼却炉または野外の共同墓穴で焼き、遺骨を砕いて遺灰をヴィスワ川に捨て、ガス室を掃除して壁を石灰で白くし、次の「処理」に備えることだった。
歴史のノート より
『サウルの息子』でゾンダーコマンドの存在を知ったのは数年前。それ以外にはBBCの数時間くらいのドキュメンタリーシリーズを視聴していましたが、書籍でナチス収容所、ホロコースト関連のものをちゃんと読んだのは『夜と霧』くらいだったので拝読。
今まではユダヤ人が大量に虐殺された、という事実だけを捉えて理解していたつもりでしたが、本作はインタビュー形式で淡々と語られる体験記でもあります。ユダヤ人のひとりひとりに、出自が、国籍が、慣れ親しんだ言語があり、そしてまるで排斥されるために象られたような人種があります。日本国内だけで暮らしていて、触れるメディアも国内産のものが多いと意識しにくい部分かもしれません。
アフリカ系アメリカ人の多くは奴隷として連れてこられたが、ヨーロッパのブラックの多くは移民であるように、当然ユダヤ人にも様々な背景があることに今さら気付かされました。
シュロモ・ヴェネツィア氏はギリシャ出身のイタリア系ユダヤ人。インタビューは収容前のギリシャでの生活や家族の話を中心に進み、捕まり、アウシュヴィッツでの一ヶ月、ゾンダーコマンドとしての仕事など、丁寧に語られていきます。
『サウルの息子』でも遺体を杖の柄に首根っこを引っかけて運ぶ描写があったのをぼんやり思い出しました。収容所によって内情や仕事内容に差はあったかと思いますが、アウシュヴィッツは特に主要な鉄道が交差する重要な分岐点にあったらしく、集まる囚人の数も多かったはずです。その残虐かつ過酷な環境が言葉によって伝えることの意味を考えさせられます。
この極度の経験で奪われたものは何ですか?
「人生です。普通の人生が奪われました。うまくいくとは思ったことがなかったし、他の人のように、ダンスに行ったり、無心に楽しむこともなかった……。
すべてが収容所に結びつきます。何をしても、何を見ても、心が必ず同じ場所に戻るのです。あそこで強いられた《仕事》が頭から出て行くことが決してない……。
焼却棟からは永遠に出られないのです」
第6章 強制収容所 マウトハウゼン、メルク、エーベンゼー より
自分だけは大丈夫。関係がない、とは思えません。ナチスのホロコーストに目が行きがちですが、『カティンの森事件』ではソ連によるポーランド人の虐殺、略奪行為はありました。現在でもウイグル人の迫害やBLMなど遠い国の話ではないはずです。『異端の鳥』にあったような、色を塗られた鳥を弾くような行為はそれこそ身近に感じます(作中内ではユダヤ人かジプシーかを尋ねる描写もありました)。
人はこれほどまでに残酷になれることを教えてくれる。背負う業、あるいは間接的に背負うかもしれない業でもあるのかもしれません。
最後に一点だけ、気に入らない点というかいちゃもんをつけるのなら、タイトルが悪いように感じました。原書が手元にないので何とも言えませんが、ゾンダーコマンドを直訳すると特殊任務部隊になります。ナチスの軍所属やSS内部の特殊部隊はだいたいこの名称だったらしいです。ゾンダーコマンド・ヒドラとかゾンダーコマンド・ノルトとか。
編集や訳す際の伝わりやすさ、あるいは大人の事情があったのかもしれませんが、ゾンダーコマンドという単語が触れられるのは訳者のあとがきとカバーの英語表記くらいでした。
本来、書籍の持つ役割のひとつとして、言葉や知識が受け継がれ、伝えられることにあると考えています。50年経って、100年経って、この歴史を語る際に残る言葉が「特殊任務」なのか「ゾンダーコマンド」なのか。自分は後者であるべきなのでは、と思うのです。というか風化せずに残っていてほしい、という一種のわがままみたいな感じ。その言葉の裏にある意味や背景、悲劇的な出来事、おぞましさ、傷ましさのようなものが想起されてこそ、本というメディアの意味が最大限に発揮されたと言っても良いかもしれません。だから「ゾンダーコマンド」という単語は前面に出したほうが良かったのでは、と。
蛇足かもしれませんが、それを差し引いても本書の資料的な価値は他に類を見ないもののように思えました。 -
Posted by ブクログ
正直こういうフランス人シリーズでいい本に出会ったことがないのであまり期待せずに読んだら、これがいい意味で予想に反してすごくいい本だった。
まさに私が子育てをしていく上でずっと疑問に感じていたことを解決してくれた
子育て施設や公園でずっと子供につきっきりでいる必要があるのか子供だけで遊ばせておいて喧嘩をしても子供同士で仲直りさせればいいのではないかとずっと思っていた
これは価値観の違いでこれが正しいというものではないけど少なくとも私はこのフランス人の子育てのやり方がすごく合っている
ジーナ式のように無理やりコントロールを しようとするのはちょっと行き過ぎだと思うけどこのように子供の意思を尊重してあげる親もうまく手を抜くというところではすごくいい本 -
Posted by ブクログ
フランスの子どもは夜泣きしない/パメラ・ドラッカーマン(登録がなかったので、代わりにこちらに投稿)
妊娠しても、女であることを忘れない。
夜泣きをしても、少し待って様子みる。すぐに抱いたり、ミルクあげない。自分の時間を大事にするためにも。
外で駄々をこねたとき、子どもは理解して止めてくれる確信を持って、ノーという。
待つこと、忍耐力を教えることが大事。
小さい頃から新鮮な素材、コース料理で食育。
子どもに合わせすぎない。振り回されない。
子どもは小さな大人として扱う。
子どもがうまれても夫婦の時間は譲らない。
日本や他の欧米とは違った子育ての考え方が興味深く、面白かった。 -
Posted by ブクログ
知識人こそ男尊女卑社会をつくってきたのではないか?という視点に驚いた。内容は興味深いけれど、事実を述べるに留まっている点は私が求めている内容とは少し違ったかも。あと他の方も言及されているけれど、訳文が読みづらい。私にはあまり合わないようでいちいち立ちどまらないと理解に至らないところがいくつかあり、少し辛かった。「フェミニスト」という言葉が最初は(女性たちを擁護する)男性を指して使われていたこと(ただし決して良い意味ではなく)を知れたのと、"なかったこと"にされてきた女性たちの歴史が書かれているところはとてもよかったのでなんとなく消化不良です。
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Posted by ブクログ
読み方が難しい本。他の人の感想がこんなに気になる本は初めてかもしれません。内容はこれまでの歴史の中で、大きく活躍した女性について例を挙げ続けるといったもの。
引っかかることはたくさんあるのですが、通して著者と相違を感じたのは、歴史上の出来事に対して、それを主導したのが男性か女性かを気にしたことが私は一度もないというところです(歴史について不勉強なだけかもしれませんが)。
それはフィーチャーされてる男性側の発想だ!!と言われたらどうしようもないので、その批判は甘んじて受け入れますが、とはいえ、もしこの本が流行る現代社会であるとしたら、進む方向は合ってるのか?と少し疑問です。
あまり真剣になりすぎずにライトに読んだ方が楽しめる本のような気がしました。
本の中で出てくるうんちくには抜群に面白いものもあって、その点はとてもよかったです。
おもしろい本ではあります!! -
Posted by ブクログ
宇宙は不思議で満ちている。ビッグバンモデルができてから、定常宇宙は否定され、膨張する宇宙が定説になっている。これは過去に遡ると、宇宙には始まりがあったと帰結される。これまでの唯物論による探究では限界あることを示し、この宇宙が微調整された各種定数で成り立っている驚くべき偶然の不可思議さに触れる。この不自然さを払拭する解として、創造神の存在があることを主張している。科学だけでなく、聖書、哲学、宗教に立ち入り、神の存在への手がかりを示唆する。神が存在しないことを証明するには、宇宙の始まり他の未解決な問題を神の介在なしで解き明かす必要があり、無理な難題である。一方、神が存在することを証明することは人智を超えた世界に思える。著者は、断片的な情報を丹念に積み重ねて、神の存在に迫ろうとしているが、牽強付会に感じてしまう。それでも、宇宙は何らかの要因で始まり、この地球という天体に、化学反応だけで人類という生物が誕生し、進化してきた。本書で紹介されているが、1917年にポルトガルの小さな村ファティマで起きた太陽の異常な動き(数万人規模が目撃者)と、それに先立ち聖母が出現してこれを予告していた事件、この謎はいまだに明かされていない。
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Posted by ブクログ
資本主義の悲劇的な側面を強調している。良い悪い、賛成反対を評価しづらい内容だった。
資本主義の市場競争の仕組みが技術の進歩をもととなり、ヒトは歴史上もっとも裕福な暮らしをおくっている。その反面、環境は破壊され、富は一握りの人間や多国籍企業の集中している。良くも悪くも貧富を生み出すのが資本主義。筆者は貧富や南北格差に否定的だ。
資本主義はもはやヒトの手を離れてだれにも制御できない存在となっている。もはや企業がそれにしばられてもいる。永遠の成長発展を義務付けられたこのシステムはどこで破綻するのか。しかし、著者は資本主義への対抗策を持っておらず、社会主義や資本主義に変わる経済システムもまた提唱されていないのが現状。
お金を使った取引が太古より行われていたことを思うと、資本主義の誕生は必然だったとも思う。特に印象的だったのは、ヨーロッパの王宮などの建造物は搾取により成り立っているという視点。煌びやか、派手さだけで物事を見つめてはいけない。勝者の主張が正論になるが、敗れた者にも歴史や悲惨な過去があるということ。