【感想・ネタバレ】資本主義って悪者なの? ジグレール教授が孫娘に語るグローバル経済の未来のレビュー

あらすじ

孫娘の素朴な疑問にやさしく答え、資本主義の問題と未来を一緒に考える。

「格差が人を殺すってどういうこと?」
「マルクスっていったい何をした人なの?」
「負債がふくらみ続けているのはどうしてなの?」
「どうして不要なものを買ってしまうのかな?」

「だとしたら、資本主義は悪者なの?」

――まあ、資本主義が生みだした弱肉強食の理念は、根本的に打破されるべきだが、科学やテクノロジーで得た素晴らしい成果は保持されるだけでなく、向上させなければならないと思っている。人の仕事や才能、発明は我われすべての人類に共通する利益に使われるべきで、一部の人間の満足や贅沢、権力のためだけにあってはならないのだよ。
さてと、私たちの夢でもある新しい世界を実現できる条件などについてはあとで話すとして。その前にまずは、資本主義がどこから来たのかを話させておくれ。

(第1章 「資本主義って何?」より)

もっと気軽に資本主義やグローバル経済について話し合おう!

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Posted by ブクログ

こんな賢い孫はいるのかとツッコんでしまったが、日本にいたら分からないことだらけ。世界は自分の知らないところで牙を剥いている。資本主義社会の恐ろしさをもっと知った方がいい。勉強になった。この社会を誰のせいにもしてない。そこもすごく良かった。

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2022年01月17日

Posted by ブクログ

『資本主義って悪者なの? ジグレール教授が孫娘に語るグローバル経済の未来』ジャン・ジグレール、鳥取絹子訳、2019年、CCCメディアハウス

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今年は脱資本主義の勉強がしたくて、まず新自由主義や資本主義の問題点について知りたいと思っていたところ、ちょうどこちらの本を発見。

著者はスイスの政治家、社会学者で、8年間国連の「食糧に対する権利」の特別報告者を努めた経験もあり。

孫娘との対話形式で描かれているため、最大限わかりやすく説明されている点も初心者にはありがたかった。また、流れとしても資本主義の説明からその誕生、歴史、流れ、問題点、今後何が起きるか?と丁寧に段階を踏みながら議論が発展していくので、現代だけでなく資本主義の全体像を捉えることができる。

自分がきちんと理解し切れていなかったことを学べて、その恐ろしさにショックを受けた部分もあった。でもおかげで、人種差別や環境問題、フェミニズムなどの運動が反資本主義を掲げて協力していくことの背景やその大切さについてわかったように思う。

「革命」と聞くとずっと昔の歴史上の話だと思ってしまっていたけど、自分が生きている時代だってそんなにユートピアじゃない、苦しんでる人々はたくさんいるし少しずつでも今の世の中に対する変化や動きは生まれている、という自覚意識を持てた。

次はこの知識を踏まえて『99%のためのフェミニズム宣言』を読みます。

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2021年09月20日

Posted by ブクログ

資本主義の悲劇的な側面を強調している。良い悪い、賛成反対を評価しづらい内容だった。

資本主義の市場競争の仕組みが技術の進歩をもととなり、ヒトは歴史上もっとも裕福な暮らしをおくっている。その反面、環境は破壊され、富は一握りの人間や多国籍企業の集中している。良くも悪くも貧富を生み出すのが資本主義。筆者は貧富や南北格差に否定的だ。

資本主義はもはやヒトの手を離れてだれにも制御できない存在となっている。もはや企業がそれにしばられてもいる。永遠の成長発展を義務付けられたこのシステムはどこで破綻するのか。しかし、著者は資本主義への対抗策を持っておらず、社会主義や資本主義に変わる経済システムもまた提唱されていないのが現状。

お金を使った取引が太古より行われていたことを思うと、資本主義の誕生は必然だったとも思う。特に印象的だったのは、ヨーロッパの王宮などの建造物は搾取により成り立っているという視点。煌びやか、派手さだけで物事を見つめてはいけない。勝者の主張が正論になるが、敗れた者にも歴史や悲惨な過去があるということ。

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2021年03月19日

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