エドワード・ギボンのレビュー一覧
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非常に浩瀚な書物として名高い本書であるが、要所をおさえた抄訳なので、誰でも挫折することなく完読できると思う。翻訳も上手く、おそらく原書の醸し出しているであろう古典的な雰囲気がよく出ている。飛ばされる箇所はダイジェスト的にコラムで補われるので、全体の流れは掴めるように配慮されている。
ローマ帝国の衰亡史であるので、ローマの建国から辿られるわけではなく、あくまでアウグストゥスから始まる帝政期、東西分裂を経てコンスタンチノープル陥落に至る期間を扱う。それでも千数百年にわたる歴史であり、出来事を追うだけでもかなりの分量になるのは当然かも知れない。 -
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山川の世界史でも5〜6ページしか扱われないアウグストゥス以降、特に五賢帝〜西ローマ帝国滅亡までを中心に描かれた歴史の古典。ヘロドトスにこそ遠く及ばないものの、250年前の英国の歴史書が未だに日本語に訳されて読まれると言うのはものすごい。時間の暴力に耐えられるだけの内容が詰まっている。
最近こそ時代解釈を中心に置いた研究が主流だが、本来歴史というものはこういう教訓を活かすことが目的だったはず。こうしてみると現代にも通じる部分がたくさんある。「およそ市民というものは、現実の危険から離れているときにはきわめて勇敢なものである。」この辺りは誠に耳が痛い。
登場人物の名前が覚えにくいのが玉に瑕だが、内容 -
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以前から興味があったギボンによるローマ帝国衰亡史。
上下巻で約700ページほど。アウグストゥスによる帝政ローマ開始から、東ローマ帝国の滅亡までを綴っている。よって、共和政時代の話は出てこない。
基本的に歴史書として、時代を追って各皇帝の事績や当時の帝国の情勢などが綴られているのだが、著者(ギボン)によるローマ帝国衰退の要因分析なども随所に見られる。読み物として面白く、すぐに読み終えた。
ローマ帝国は、広大な領土を有して400年以上もヨーロッパに君臨した。途中何度も内戦や周辺異民族の襲来に苦しめられながらも、英雄達の登場によって何とか体制を維持してきた。
本書を読めば分かるが、五賢帝など平 -
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以前から興味があったギボンによるローマ帝国衰亡史。
上下巻で約700ページほど。アウグストゥスによる帝政ローマ開始から、東ローマ帝国の滅亡までを綴っている。よって、共和政時代の話は出てこない。
基本的に歴史書として、時代を追って各皇帝の事績や当時の帝国の情勢などが綴られているのだが、著者(ギボン)によるローマ帝国衰退の要因分析なども随所に見られる。読み物として面白く、すぐに読み終えた。
ローマ帝国は、広大な領土を有して400年以上もヨーロッパに君臨した。途中何度も内戦や周辺異民族の襲来に苦しめられながらも、英雄達の登場によって何とか体制を維持してきた。
本書を読めば分かるが、五賢帝など平 -
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本書は、カエサル以降の帝政ローマから始まるが、パックスロマーナと呼ばれたローマの最盛期にはほとんど触れず、斜陽期のローマについて叙述する。滅びの美学、これがこの本のテーマである。 斜陽期に入ったローマ。その中では、カエサルが作り出し、アウグスツスが固めた帝政も、その位に付く人のレベル低下のため混乱を極める。それでも数百年、東ローマについては千年も永らえた理由は、何代かに1人、優秀な皇帝が出現したからだろう。瀕死の状態のローマが、彗星のごとく現れたスター皇帝により回復する。ローマの底時からを感じるとともに、スター皇帝たちの人智を超える能力に驚愕する。とはいえ、彼ら超人的皇帝たちも、時代を経ると
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このディオクレティアヌス体制には、現代の我々も身につまされる、一つの大きな欠点が存在した。それは、体制の維持に多大の出費を要し、そのため必然、増税と圧政につながったということである。
塩野七生氏の本に頻出するギボンのローマ帝国衰退史。是非原本を読んでみたいと思って購入したのだが、ダイジェスト版だった。「原著には~についての議論がなされている」と書いてあった折には、そこが一番知りたかったのに!と悔しく思う始末。ただし、塩野氏の本と重複する部分もあり、わざわざ原本を読み直す必要はないと思った。塩野氏と異なる部分は、やはりギボンがキリスト教徒の視点から書いているということ。初期のキリスト教のどんな