以前から興味があったギボンによるローマ帝国衰亡史。
上下巻で約700ページほど。アウグストゥスによる帝政ローマ開始から、東ローマ帝国の滅亡までを綴っている。よって、共和政時代の話は出てこない。
基本的に歴史書として、時代を追って各皇帝の事績や当時の帝国の情勢などが綴られているのだが、著者(ギボン)
...続きを読むによるローマ帝国衰退の要因分析なども随所に見られる。読み物として面白く、すぐに読み終えた。
ローマ帝国は、広大な領土を有して400年以上もヨーロッパに君臨した。途中何度も内戦や周辺異民族の襲来に苦しめられながらも、英雄達の登場によって何とか体制を維持してきた。
本書を読めば分かるが、五賢帝など平穏時を除き、ローマ帝国皇帝の中に、平穏に寿命を全うできた者はほとんどいない。戦場で命を落とす、部下や仲間に裏切られて命を落とすなど、悲惨な最期を迎えた皇帝が多いのだ。
皇帝は権力の象徴だが、同時に間違いなく死に近い地位だったのではないだろうか。そんな激動の時代の中、無力な皇帝達の一方で、自らの命を賭して行動した勇敢な皇帝達がいたことには、敬服せざるを得ない。
また、歴代皇帝の事績を通して、有事の際にどのように行動するべきか、強大な敵とどう対決するか、異分子にはどのように対応するかなど、行動の指針を学べるのではないだろうか。
歴史本に抵抗感が無いなら、文句なしに推薦できる本。