バロネス・オルツィのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者は、安楽椅子探偵の先駆けとも言われる『隅の老人』を書いた、ハンガリー生まれの英国女性作家。1905年発刊の本作は、宝塚の上演作品になったり、訳者は『赤毛のアン』で有名な村岡花子さんということで、てっきり女性向けラブロマンス小説かと躊躇していました。しかし、フォロワーさんお気に入りの本とのことで読んでみましたが、いい意味で期待を裏切る内容でした(natsuさんに感謝)。
時は、貴族たちが次々と断頭台に送られるフランス革命下。彼らを救い出してイギリスに逃亡させる”べにはこべ”なる秘密結社が活躍していました。ある時、イギリスのパーシイ卿に嫁いだフランスの花形女優だったマーガリートは、親同然に慕 -
Posted by ブクログ
ロマンあふれる素晴らしい作品。
まず第一章が素晴らしい。ルパン三世と銭形警部でアニメ化してもおかしくないような世界観。テンション爆あがりです。
第二章以降、盛り上がりは落ち着きますが、ショーヴランが出てきてまたぐっと盛り返します。ここからはハラハラドキドキの連続で、ページが止まりませんでした。
現在の目線でいけば、マルグリートの活躍場面がもっと欲しかったかなぁ、という思いもあります。ですがこれはこれでなんというか、古めかしいがゆえに逆に今となれば新しい感じも受けます。
ディケンズの「二都物語」に影響を受けた作品だそうですが、その読み口は全然違います。「二都物語」の方は、フランス革命の恐ろしさを -
Posted by ブクログ
【あらすじ】
フランス革命下のパリ。ギロチン送りになる貴族を助けるために奔走する、イギリスからやってきた謎の秘密結社〈べにはこべ〉。
イギリス貴族に嫁いだ絶世の美女マーガリートは、愛する兄を人質に取られ〈べにはこべ〉の正体を探るよう脅される。
彼女が〈べにはこべ〉を追う中で、結婚後に愛を失った夫パーシィが浮かび上がってくる。
【感想】
一言で言うなら「高級ハーレクインロマンス」。
名家で長身イケメンの夫パーシィが冷たく見えて、実はマーガリートに深い愛情を持っている! とか女性が好きな要素が詰まっている。
そして、文章の豊かさが素晴らしい。
上流階級の持って回った言い方や豊富な語彙が作品に彩り -
Posted by ブクログ
子供の頃、春陽堂少年少女文庫が好きだった、と言いながら、読んだことのなかった『紅はこべ』。先月出かけた東京国際ブックフェアで、村岡花子訳の『べにはこべ』を見つけたのでもちろん購入。
感想。子供の頃感じた読書のワクワク感が再び味わえて大満足。
思えば子供の頃に読んだ本って、言葉遣いがちょっと古風なものも多かった。最近の本は字も大きくて読みやすいけど、なんとも薄っぺらい印象のものも多いんだよね(もちろん一番重要なのは内容だと理解していますが)。
で、『べにはこべ』の内容。前半は多少冗長だけれども、中盤、マーガリートが夫の正体に気づきフランスへ追いかけて行ったあたりから、いきなり話が面白くなる -
Posted by ブクログ
ネタバレ小学生の時、学級文庫にあった〈少年少女××文庫〉で読み、初めて物語の展開にドキドキして読み進めた思い出の本。紅はこべのかっこ良さに憧れていた。当然それは抄訳・意訳であったろうが、今回新訳で大人の本として読んでみると、記憶にあるハラハラワクワク感が全くなくて、あれっ?紅はこべってこんな話だったのか、、、とがっかり。
主人公は紅はこべではなく、その奥さんじゃん!
作者の、あのバーネット夫人はハンガリーの由緒ある男爵家に生まれたというから、そりゃ紅はこべ夫人であるブレイクニー准男爵夫人の描写が実に細かく丁寧にされているのも納得できたのでした。 -
Posted by ブクログ
<べにはこべ>は誰なのか、私の正義とは。
宝塚を観てきたので読んでみたシリーズ。主人公がマーガリートですね。人間関係も結構違います。アルマンは8歳上の兄、両親を亡くしてからマーガリートの親代わりとして二人生きてきた。アルマンはアンジェルド・サンシールを愛したが、身分の為にサンシール侯爵にひどい目にあわされた。マーガリートはそれを忘れず、サンシール侯爵とその家族を告発してギロチンに送り込んだ。それを侯爵のいとこであるトルネイ伯爵夫人は恨んでいる。娘のスザンヌはマーガリートの学友であり、彼女を懐かしんでいるのだが。マーガリートとパーシィ卿の仲は冷え切り、昔馴染みのショウブランは倦んでいる彼女に接