▼あらすじ
ある夜、悲鳴を聞きつけた滝本薫はまっくらやみの中、突然何者かに抱きつかれてしまう。
驚いて身動きできずにいたが、鼻をくすぐるこの香りは…佐久間課長!!?
さらに「今夜、僕と寝てほしい」なんて言い出した!!!
エリート上司のおねだりを断りきれない滝本は振り回されまくり!!!
おまけにめん
...続きを読むどくさそうなヤンデレイケメンの岩瀬悠太朗も現れて…。
男達の傷と秘密が重なる、ビターな恋がここに。
***
当方、眼鏡属性が無いので眼鏡キャラが出て来る作品は普段、滅多に買わないのですが、表紙とあらすじを見てどうしても気になったので購入しました。
初読みの作家さんだったので、ドキドキしながら読んだ結果…買って大正解!!
まず、表紙からも何となくセンスの良さが伝わる通り、口絵も話と話の間に挟まれる一枚絵(扉絵?)もスタイリッシュでとっても素敵…!!
思わず魅入ってしまうくらいどれも素敵なデザインです。
繊細なタッチで描かれるイラストも今風な感じがして、個人的には凄く好みな部類の絵柄でした。これだけでも評価高いです。
また、嬉しい事に絵柄だけじゃなくてストーリーの方も申し分なく、丸々一冊表題作だったのですが、最後まで凄く楽しむ事が出来ました。
いつも堂々としていて何があっても冷静。社員にも優しく、周りからも信頼されている完璧なイケメン上司である佐久間が実は暗闇が大の苦手で、一人だと眠る事はおろかシャワーすら浴びられないという超絶ヘタレ設定にキュンとしてしまいました(笑)
しかも言動が子供っぽかったり、ちょっと抜けてたりして可愛いという…。
可愛いだけじゃ締まりが無いんだけど、格好良い時もあるからギャップがね!!
もう、そのギャップが凄まじくてたまらんのです!!(笑)
ただ、佐久間の女々し過ぎる性格が駄目って人も中にはいるかも…??
私は佐久間のあざとい言動だったり行動だったりにいちいち萌えていたので凄く楽しめたのですが。
この作品は佐久間の事を好きになれるかどうかで評価が変わると思います。
私が特に印象に残ったのは佐久間のトラウマが分かるシーンと、その後のシーンです。
佐久間の暗闇恐怖症の原因は、自分が完璧であるが故に、子供も完璧でなければならないという佐久間の父親による過度な教育によるものだったのですが、それを知った後で滝本は自分だけが佐久間に振り回されている事に苛立ちを覚え、彼から離れようとします。「もうこれ以上あなたといたくない」と声を荒げる滝本に、それまで冷静な顔をしていた佐久間が自分の胸をぎゅっと掴んで「…ぼく、何かした?」「何か…失敗した?」と、何かに怯える子供のような不安でいっぱいの顔をして訊ねるんですが…。
このシーンは佐久間のトラウマの原因を知っているだけあって辛かったです…。胸が痛んだ…。
その場から逃げ出す滝本にはイライラしたのですが、岩瀬の協力もあり、紆余曲折を経て最後はちゃんと両想いになってくれたので良かった…!!
あと、最後まで本番が無いのには吃驚しましたが、酔ってくだけた雰囲気になった滝本が攻める側でいた佐久間をいじめるシーンはめちゃくちゃ萌える展開でしたので、これはこれで良いか…!!となりました。勿論、がっつりエロも見たかったけど(笑)
岩瀬の件もあるし、続編があるなら是非読みたいなーと思う内容でした。満足満足。
ていうかカバー裏の漫画、一瞬「誰?」と思ったのですが佐久間の父親だという事に少し遅れて気が付いて「ああ…(絶望)」ってなりました。
酷い虐待を受けていたと思われる傷だらけの顔に心が痛む…。
父親も父親でトラウマを抱えて生きて来たのね…だから心が歪んでしまったのか…。
そして作者さんのあとがきで、このお話に滝本が選択肢を間違えると迎えるBADENDが2つあると知って吃驚!!そんな事知りたくなかった…ってのが正直な感想ですが、とりあえず滝本が選択肢を間違えないでくれて良かったです…(笑)