岡野雄一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の岡野雄一さんは、漫画家、雑誌編集者、シンガーソングライター。ペコロス(西洋玉ねぎ)はペンネームで、自身の禿頭の自虐ネーミング。
描いていた漫画をまとめた自費出版本が話題となり、2012年に本書が西日本新聞社より出版され、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しています。
ペコロスと認知症の母との日常を主とし、時々亡き父も登場します。二十歳で長崎を離れ、20年間東京で過ごした後また長崎へ‥。「ふるさとは遠きにありて思ふもの」ではないでしょうが、本コミックエッセイを読んでいると、かつて両親と過ごした故郷での〝陽だまり〟を掬い上げようとしている気がしてきます。
母はつい先ほどの事も忘れ、昔と -
Posted by ブクログ
老いるって本人も周りもつらいけど、老いてこそ生きてきた人生が現れるというか、
この母、息子の関係が暖かく、愛情って大事だなぁ、、としみじみ感じた。
母に愛されて育った記憶があればこそ、老いた母に愛情を持って接していけるのかと。
もちろん愛情の形は人それぞれ。
この夫婦間は他人には分からない愛情でむすばれているようだし(≧∇≦)
酒癖が悪いだけで、いい旦那さんだったのか、、父親をたてる母の育て方は見習うべき点だった。
母の妄想?シーンは息子の想像でしかないのかもしれないけど、きっとそうなんだろうな、と思いたい。
実際は介護の現場はもっと嫌なことやつらいこともあるはず。きれいごとだけではないとして -
Posted by ブクログ
時間軸を飛び越えて、自由に行きたい時間で生きていたみつえさん。亡くなったあとは、彼岸此岸を往き来して、ペコロス氏の前に現れます。
先に亡くなった夫(ペコロス父)とむつまじく「気配」になって子どもたちを訪れるみつえさん。その姿は既巻で見慣れていたので驚きませんが、みつえさんが(生前は酒乱で家族を苦しめた)父と子の和解を橋渡ししていたという一面には驚きました。
痴呆症の見せる夢を「ボケ」で片づけていたら、みつえさんにしかできない贈り物を受け取り損ねてしまったでしょう。母が見るうつつの夢に入り込んだことで、息子がもらった豊かさ。
この豊かさを描き切ったことが、ペコロスシリーズの珠玉たるゆえんです。