岡野雄一のレビュー一覧
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著者(ペコロスさん)が、認知症と脳梗塞で施設に入っている母に会いに行き、そこでのやり取りを面白おかしく描いたコミックエッセイ。
若い頃は夫(ペコロスさんの父)の酒癖に悩まされたにも関わらず、認知症になってからはその夫がよく訪ねてきて一緒に出かけていたと言ったり、子供の頃や若い頃に亡くなった友人や子どもが現れ(見えているようで)、一緒に話したりする様子が微笑ましくもあり切なくもある。
亡くなった人との良い思い出だけが見えるのであれば、認知症になるのも悪くないかもしれない。
認知症だった自分の母と接していたとき、余裕がなく、ともするとその反応にイライラしがちだったが、著者の母親に対する温かい眼 -
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みつえさん亡き後の話を中心としたペコロス最新刊。
生と死、時間と空間を自由に行き来する内容は今まで通り。
初めてこのシリーズを読んだ時に比べて、多少は感動が薄れたりもした。
ただ初めてこのシリーズを読んだ時に比べて、僕自身を取り巻く環境も大きく変わった。
父は認知症を発病し、歳老いた母がなんとか介護を続けている。
父との折り合いが悪くなった僕は(父は僕を見ると訳も判らず殴りかかってくる)父に会わないようにしながら、母を支えている。
日増しに年老いていく母を見つめる僕と、本書におけるみつえさんを見つめる雄一さんがなんとなく重なる瞬間もあったりする。
いつの日か、本書 -
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もうペコロスシリーズは出ないのかな、と思っていたので見つけてすぐ手に取りました。
今回はいつもより(?)シモの話が多かった気がします。でもそれがまた良くも哀しくも時代を映し出しているというか、心に迫るというか、人の生きるということは性を抜きにしては語れないのなという風にも思わされます。
今回の漫画を読んで、何だかわからなかった両親のやり取りが「あれはそういうことだったのか!」とわかったこともありました。
自分の両親も鬼籍に入り結構経ちましたが、二人も大変な人生を生き抜いたのだな、とサトルさんとミツエさんの人生に重ね合わせて読みました。
どんなに苦しい場面でも哀しい場面でもペコロスさんの表現 -
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まさに玉手箱。この状況をユーモアでくるみながら描いたペコロスさんはすごいなぁ。
周りの人たちもすごくいい。特にゆりさんには和ませられてしまいます。実際には関わる方々大変でしょうけれど、ペコロスさんの描き方に愛を感じますね。
それにしてもハゲ雨って…(笑)衝撃の絵面でした。
時には涙を拭いながら描かれたのではないでしょうか。読んでいる方もわかっていながら滂陀の涙です。
さゆりさんの「もっと触っておけばよかった」にはもう、号泣です。
私の両親がそれぞれ亡くなって初めて対面した時のことを思い出しました。
ケン坊とちえちゃんの話も悲しい。
みつえさんはあちらに帰られましたが、出来ることなら玉手箱の -
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当然の事ではあるが
「親がボケちゃって…。」
なんて話に幸せ要素なんかいっこもない。
この世にはまだ特効薬も無く、
ただ静かに(どうか症状が進まぬように…)
と、祈るだけの恐ろしい認知症。
そんな家族の心労を救ってくれる施設も本も世の中にはたくさんあるが、
その中で出会えたら、
(きっと何かが変わる)と、思えるのがこの本だ。
著者ペコロスさんの母、みつえさんは
認知症を患い、施設でお世話にはなっていたが、
息子さんの温かい目を通して描かれた彼女は
ボケ老人でも、
孤独な老人でもなく、
ただの
<この世にいてくれるだけで、嬉しい大好きな人。>
以外の何者でも無かった。
残念ながら
この本の -
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読んでいると涙が心に染み入ってくるように感じた。
過去と現在、現実とファンタジーが交差している。
みつえさんの認知症の進行、体力の衰えと、胃ろうの話……
現実はしんどいはずが、マイルドなって読んでいると切なさがこみ上げてくる。悲壮感から涙をさそうものではない。
前作『ペコロスの母に会いに行く』から生まれたであろう交流も垣間見れる。
ゆっくりと死に近づきながらまるで赤子に戻るような、みつえさんの姿の描写。それは次の世代への移行なのか、来世なのか――
死についての描写は、ホームからの連絡と面会、その後が淡々と描かれる。生も死も、老いも若きも共にある。
みつえさんのご冥福を心よりお祈り申し上げま