豊下楢彦のレビュー一覧

  • 「核抑止論」の虚構

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    たとえ読めたとしても内容を理解できると思わないですが、参院選で中高年男性から支持を集め当選した核武装を叫ぶ参政党の女性議員に読ませたい本でした。
    狂気が生み出した核抑止論 。精神病理的な論理に基づく脅威。過去の専門家の理論や国際関係の詳細な分析により、核抑止は狂人のお花畑の頭にしかないと。
    冷戦を終結させ核なき世界へ進み始めた米ソを再び戦場に引き戻たおぼっちゃま大統領。その後に続く今の世界の指導者たちは狂気を剥き出しにして恥ずることもありません。
    被爆国日本は、幼稚な安倍晋三が核なき世界を目指したオバマ大統領の方針になんと抗議をしました。その後でトランプの子分となり将来に渡りアメリカの軍産複合

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    2025年08月07日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    戦後の昭和天皇にまつわるモヤモヤが一気に晴れる。明確な根拠を持った的確な論証。東京裁判、講和、日米安保、靖国など、現在に至る禍根の根源が明らかにされる。
    特に昭和天皇にとり国体とは三種の神器の護持であったとは、驚きを通り越し、呆れてしまう。必読。

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    2021年08月10日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    ネタバレ

    昭和天皇とマッカーサーの会談を、マッカーサー回想録の通りだと思い込んでいたが大間違い、ファンタジーであった。
    昭和天皇が立憲君主の枠をはみ出したのが 2・26 とポツダム宣言受諾だけというのも実情から外れているだけでなく、現行憲法施行後もそれは続いていた、むしろ積極的に行われていたというのが、筆者の主張である。筆者が言うように、戦後二重外交が行われていたというのが、実態を表しているように思える。

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    2015年02月01日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    ネタバレ

    <要約>
     安保体制とは、昭和天皇が望んだことであり、憲法第九条と米軍の日本駐留によって、共産主義勢力による天皇制打倒に備えることをその目的としていた。

    <抜粋>
    p.v
    昭和天皇が新憲法によって「象徴天皇」になって以降も、安全保障問題といった「高度に政治的な問題」にかかわっていた

    pp.ix-x
    世界が冷戦対決の時代を迎える前後から昭和天皇は、内外の共産主義が天皇制の打倒をめざして直接・間接に日本を侵略してくるのではないか、という危機感に苛まれていたのである。
    こうした差し迫る脅威に直面した昭和天皇にあっては、非武装を規定した憲法九条によっても、機能を失った国際連合によっても日本を守るこ

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    2014年05月25日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    映画「終戦のエンペラー」で、マッカーサーと会見した昭和天皇が「責任はすべて私にある」旨伝えて、マッカーサーが感激したというストーリーが出てくるが、その種本は「マッカーサー回想録」、藤田尚徳の「侍従長の回想」あたりだろう。しかし、当時の通訳の奥村勝蔵のまとめた手記では、そのような事実は出てこず、著者は疑問を呈している。
     11回あるマッカーサーとの会見では、むしろ共産主義の脅威や、米軍駐留の希望、そして天皇制の維持といった要素が天皇の心を占めていたのが分かる。松井明メモなど最近分かった史料を読み解きながら、史実に迫る努力には納得させられる部分も多い。多少、自画自賛的な記述が多いのが気になるが、そ

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    2014年04月26日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    これ名著だ。

    昭和天皇が国体・皇室を守るためや共産主義に
    どれだけ恐怖していたかなどの帝王として
    生まれたが故の超高度な(かつ超私的??)
    政治判断が理解できる。

    ここまでアメリカにかけていたとは。

    誤解なく言うとさすが常に政治を組下の
    権力者に総覧させていた家柄だけあるなー。

    このすべてが国民に安寧をもたらすためであると
    信じてる。

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    2014年03月30日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    著者が膨大な日米双方の史料を精緻に分析することにより明らかになった昭和天皇の実像は、これまで国民が抱き続けてきた、立憲君主制をひたすらに守ろうとした平和主義者とはまったくと言って良い程にかけ離れたものであった。この著作はもっと日本国民に知らしむべきものである。特に沖縄県民の人々はこれを読んでどのような感想をもたれるであろうか。著者の『安保条約の成立-吉田外交と天皇外交』と白井聡著『永続敗戦論』も併せて読むと、戦後から最近までの主な外交問題がはっきりしてくる。

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    2013年08月03日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    【以下は本書の主張】
    ・『マッカーサー回想記』には事実誤認があり、史実としてみる昨今の向きには警戒が必要。たとえば、マッカーサーは天皇が筆頭に記された戦犯リストを英ソが提出したと述べているが、そんなものはない。
    ・天皇の側近たちは、悪くなったら皆東条が悪いので、すべての責任を東条にしょっかぶせるのが良いと思ったよう。
    ・天皇の免訴に向けて最も重要な役割を果たしたのが松平康昌
    ・昭和天皇は、自分は戦争に反対であったが国民や軍閥の意志には逆らえないという弁解と、自らが全責任を負うという相反することを述べているが、マッカーサーは極東委員会やメディアに対しては前者を強調して天皇の戦争責任を回避させよう

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    2012年09月26日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    日本国憲法では「天皇は国民統合の象徴であり、いかなる政治的権能も持たない。」と謳われているが、この条文を根底から覆しかねない内容が書かれている。
    天皇はマッカーサーと会うにあたって、様々な占領行政について話をした。マッカーサーは当時全権を掌握していたかのように考えがちだが、まだアメリカ本国で設置されそうになっていた極東委員会より先を急ぐ形で日本の民主化を進めようとしていたなど、かなり流動的であった。マッカーサーは日本の占領統治をする中で、日本の反共の防波堤として作るためには、天皇が必要だったと考えていた(極東委員会ではアメリカ以外の国も出席し、憲法草案では天皇制が破棄されかねかった。)など、か

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    2012年04月19日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    集団的自衛権は本当に安全保障に寄与するのか、憲法との関わりはどうなのか、そしてそもそも安全保障とは何なのか、ということ。安倍首相や自民党が提示しているものの何処に問題があるのか、考える一助となった。それは本当にそうだろうか、と立ち止まらされる部分も若干あったのだけれど、それも含めて有益であった。
    ただ、豊下氏と古関氏の共著であるためと、私が今までこういった方面に無知であったため、少しばかりの物足りなさがあった。各氏単独の著作を読まなければという、動機付けになったけれど。

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    2015年08月31日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    本書では、中国脅威論や韓国との領土問題をもって危機を煽る人々は、アメリカの存在を忘れていることを指摘している。
    韓国は日本と同じくアメリカの同盟国であり、またアメリカと中国についても単純な対立関係ではない。

    日韓関係が悪化することは中国・韓国の関係が強化されることでもあり、本当に中国が脅威なのであれば、日本にとって優先すべきは韓国との良好な関係構築が必要に思える。

    また大きな矛盾として、北朝鮮脅威論と原発再稼働を挙げている。北朝鮮は原発にミサイル攻撃を行えば核武装の必要すらないが、それでも原発再稼働を進めるということは、自民党政府は「北朝鮮が実際には武力行使を行わないことを想定している」と

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    2015年07月30日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    安倍政権による集団的自衛権の行使のための憲法解釈の変更や安全保障法案群の問題点を抜本的なところから批判する書。過去の政府のスタンスや各種資料などを丁寧に積み上げて、明確に論理的に語っている。
    集団的自衛権行使が従来の政府見解などから照らして、現行憲法上不可能であるという立場の主張を理解するために役立つ一冊。

    反対ありきという執筆動機ゆえなのか、北朝鮮ミサイルの標的としての原発の話や元寇以来他国から侵略を受けていないなどと一部感情的な強引なくだりはあるが、単なる勇み足で全体の論理を乱すようなものではない。

    安全保障の概念についても、環境問題や感染症の問題などやや蛇足的な問題を持ち出し、焦点が

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    2015年06月28日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    この本を読んで、安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」とは、日本がどういう状態になることを目指しているのか、ますます分からなくなった。私が抱いていた昭和天皇像ががらっと変わってしまったことによって、戦後史の捉え方も変わってしまった。憲法や安保の問題、靖国問題についても。
    資料をどう読むかによっても変わってくるところはあるのだろうから、疑問を持ちながら読まなければとは思うけれども、近代史・現代史をもっと学ばなければ、子どもたちにも学ぶことの重要性を伝えなければ、と思う。

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    2015年05月16日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    読んでいてだんだん不安になってきました。このまま今回の衆院選で自民党が圧勝して、安倍総理の思うが儘の政策が着々と進んでいくと、この日本はとんでもなく酷い国になってしまうのではないでしょうか。民主主義国家の終焉を迎えそうな、そんな気持ちになりました。悲観的すぎるのでしょうか、著者の豊下氏と古関氏が私の不安を煽っているのでしょうか。有権者のみなさんには、この本を読まれてから選挙に行っていただきたいと思いました。

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    2014年12月12日
  • 昭和天皇・マッカーサー会見

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    現・関西大学法学部教授(国際政治論・外交史)の豊下楢彦による戦後の「天皇外交」論

    【構成】
    第1章 「昭和天皇・マッカーサー会見」の歴史的位置
     1 第1回会見の検証
     2 「空白」の戦後史
    第2章 昭和天皇と「東条非難」
    第3章 「松井文書」の会見記録を読み解く
    第4章 戦後体制の形成と昭和天皇

     本書は、昭和天皇崩御から間もない1990年に著者が『世界』に投稿した論文「「天皇・マッカーサー会見」の歴史的位置」を出発点とし、1995年に岩波新書から出した『安保条約の成立』で提示した「天皇外交」についての仮説を、新史料をもとに「結論」として確定させようというものである。

     前半の2章は

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    2011年06月20日
  • 「核抑止論」の虚構

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    核抑止論が不完全であることはよく分かったし、核廃絶に向けて動いた歴史(ゴルビーのとこ)を思い出させてくれたてんも、「核ありき」の思考を相対化できるのでよかった。
    しかし、抑止論が不完全だからと言って、現状の核抑止を外しちゃっていいかどうかの議論はなかったというか、外す方がよいということを自明として書き進めてた気がします(そりゃ、外せたらそれに越したことはないと私も思います)。
    抑止論が虚構であることと、抑止論が不要であることはイコールではないと思う。
    嘘も方弁で何かしらの役に立っていそうというモヤモヤがあるからこそ、「いえ、何の役にもたっていません、だから不要です」というあたりまで議論して欲し

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    2025年10月26日
  • 「核抑止論」の虚構

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    核兵器をめぐる歴史がまとまっている点は好感触。
    しかし、著者を含め、核抑止論を否定する人々は、その道筋を示せておらず、無責任と言わざるを得ない。
    核兵器保有国が、核抑止を前提に、相互主義で削減する以外に核軍縮を実現する方策があるのか?
    核抑止を無視して、核兵器保有国が次々と核兵器を廃絶したとして、廃絶を拒否した狂気の独裁者の手にのみ核兵器が残された場合、世界の命運は、その独裁者に委ねられることになる。その危険を考えずに核抑止論を否定することはできない。

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    2025年12月07日
  • 集団的自衛権と安全保障

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     安倍内閣による集団的自衛権行使容認政策に対する全面批判。安倍内閣の主張の非現実性を、具体的な事実に基づく政治的・法的双方のアプローチによって解剖した第1部「『集団的自衛権』症候群」が緻密で優れている。時代遅れの「国家総力戦」を前提にした思考に対する批判は、安倍内閣・自民党・右翼勢力のみならず、通俗的な「護憲」「平和主義」サイドにも通じる点で重要な指摘だと思われる。

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    2015年06月18日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    豊下楢彦さんと古関彰一さんの共著なんだけどどうも古関さんが感情に流され過ぎた論を展開しているようでまずそこどうなのと思ってしまう。豊下さんの想定してる集団的自衛権行使の事例が起きる理由がないことや、北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性を言いながら原発再稼働を主張するのは矛盾だとかって指摘も、想定の範囲外がありえないこととか、未来にもしそれが起きたことを考えるなら妥当ではないと思う。
    でもこの本に書かれてることで納得できることは多い。イラク戦争の総括がなされていない、戦略性が欠如し自身の歴史観に基づいた言動でいたずらに韓国を刺激したこと、尖閣国有化の経緯、自民党憲法改正草案のどうなのって点、国家がメ

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    2014年08月24日
  • 集団的自衛権と安全保障

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    正論・・・なんでしょうね。
    ただ、我々庶民が、果たして安倍さんのプレゼンを感情移入して聴いていたかどうか。
    安保法制懇の報告書にしても、自民党の憲法改正案にしても、著者たちに大いに賛同し、うなずける。
    がしかし・・・、庶民はもっと覚めているし、冷静であるし、そもそもバカバカしくも思っている。
    報告書のあり得ない侵略と同様、集団的自衛権まで憲法解釈が広められても、実際に日本が戦争に巻き込まれるのだといさめる反対者に対しても、庶民は同様に冷めていることを知るべきだろう。
    そっちでやっといてくれ・・・という感じかも。

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    2014年08月16日