豊下楢彦のレビュー一覧
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たとえ読めたとしても内容を理解できると思わないですが、参院選で中高年男性から支持を集め当選した核武装を叫ぶ参政党の女性議員に読ませたい本でした。
狂気が生み出した核抑止論 。精神病理的な論理に基づく脅威。過去の専門家の理論や国際関係の詳細な分析により、核抑止は狂人のお花畑の頭にしかないと。
冷戦を終結させ核なき世界へ進み始めた米ソを再び戦場に引き戻たおぼっちゃま大統領。その後に続く今の世界の指導者たちは狂気を剥き出しにして恥ずることもありません。
被爆国日本は、幼稚な安倍晋三が核なき世界を目指したオバマ大統領の方針になんと抗議をしました。その後でトランプの子分となり将来に渡りアメリカの軍産複合 -
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ネタバレ<要約>
安保体制とは、昭和天皇が望んだことであり、憲法第九条と米軍の日本駐留によって、共産主義勢力による天皇制打倒に備えることをその目的としていた。
<抜粋>
p.v
昭和天皇が新憲法によって「象徴天皇」になって以降も、安全保障問題といった「高度に政治的な問題」にかかわっていた
pp.ix-x
世界が冷戦対決の時代を迎える前後から昭和天皇は、内外の共産主義が天皇制の打倒をめざして直接・間接に日本を侵略してくるのではないか、という危機感に苛まれていたのである。
こうした差し迫る脅威に直面した昭和天皇にあっては、非武装を規定した憲法九条によっても、機能を失った国際連合によっても日本を守るこ -
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映画「終戦のエンペラー」で、マッカーサーと会見した昭和天皇が「責任はすべて私にある」旨伝えて、マッカーサーが感激したというストーリーが出てくるが、その種本は「マッカーサー回想録」、藤田尚徳の「侍従長の回想」あたりだろう。しかし、当時の通訳の奥村勝蔵のまとめた手記では、そのような事実は出てこず、著者は疑問を呈している。
11回あるマッカーサーとの会見では、むしろ共産主義の脅威や、米軍駐留の希望、そして天皇制の維持といった要素が天皇の心を占めていたのが分かる。松井明メモなど最近分かった史料を読み解きながら、史実に迫る努力には納得させられる部分も多い。多少、自画自賛的な記述が多いのが気になるが、そ -
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【以下は本書の主張】
・『マッカーサー回想記』には事実誤認があり、史実としてみる昨今の向きには警戒が必要。たとえば、マッカーサーは天皇が筆頭に記された戦犯リストを英ソが提出したと述べているが、そんなものはない。
・天皇の側近たちは、悪くなったら皆東条が悪いので、すべての責任を東条にしょっかぶせるのが良いと思ったよう。
・天皇の免訴に向けて最も重要な役割を果たしたのが松平康昌
・昭和天皇は、自分は戦争に反対であったが国民や軍閥の意志には逆らえないという弁解と、自らが全責任を負うという相反することを述べているが、マッカーサーは極東委員会やメディアに対しては前者を強調して天皇の戦争責任を回避させよう -
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日本国憲法では「天皇は国民統合の象徴であり、いかなる政治的権能も持たない。」と謳われているが、この条文を根底から覆しかねない内容が書かれている。
天皇はマッカーサーと会うにあたって、様々な占領行政について話をした。マッカーサーは当時全権を掌握していたかのように考えがちだが、まだアメリカ本国で設置されそうになっていた極東委員会より先を急ぐ形で日本の民主化を進めようとしていたなど、かなり流動的であった。マッカーサーは日本の占領統治をする中で、日本の反共の防波堤として作るためには、天皇が必要だったと考えていた(極東委員会ではアメリカ以外の国も出席し、憲法草案では天皇制が破棄されかねかった。)など、か -
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本書では、中国脅威論や韓国との領土問題をもって危機を煽る人々は、アメリカの存在を忘れていることを指摘している。
韓国は日本と同じくアメリカの同盟国であり、またアメリカと中国についても単純な対立関係ではない。
日韓関係が悪化することは中国・韓国の関係が強化されることでもあり、本当に中国が脅威なのであれば、日本にとって優先すべきは韓国との良好な関係構築が必要に思える。
また大きな矛盾として、北朝鮮脅威論と原発再稼働を挙げている。北朝鮮は原発にミサイル攻撃を行えば核武装の必要すらないが、それでも原発再稼働を進めるということは、自民党政府は「北朝鮮が実際には武力行使を行わないことを想定している」と -
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安倍政権による集団的自衛権の行使のための憲法解釈の変更や安全保障法案群の問題点を抜本的なところから批判する書。過去の政府のスタンスや各種資料などを丁寧に積み上げて、明確に論理的に語っている。
集団的自衛権行使が従来の政府見解などから照らして、現行憲法上不可能であるという立場の主張を理解するために役立つ一冊。
反対ありきという執筆動機ゆえなのか、北朝鮮ミサイルの標的としての原発の話や元寇以来他国から侵略を受けていないなどと一部感情的な強引なくだりはあるが、単なる勇み足で全体の論理を乱すようなものではない。
安全保障の概念についても、環境問題や感染症の問題などやや蛇足的な問題を持ち出し、焦点が -
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現・関西大学法学部教授(国際政治論・外交史)の豊下楢彦による戦後の「天皇外交」論
【構成】
第1章 「昭和天皇・マッカーサー会見」の歴史的位置
1 第1回会見の検証
2 「空白」の戦後史
第2章 昭和天皇と「東条非難」
第3章 「松井文書」の会見記録を読み解く
第4章 戦後体制の形成と昭和天皇
本書は、昭和天皇崩御から間もない1990年に著者が『世界』に投稿した論文「「天皇・マッカーサー会見」の歴史的位置」を出発点とし、1995年に岩波新書から出した『安保条約の成立』で提示した「天皇外交」についての仮説を、新史料をもとに「結論」として確定させようというものである。
前半の2章は -
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核抑止論が不完全であることはよく分かったし、核廃絶に向けて動いた歴史(ゴルビーのとこ)を思い出させてくれたてんも、「核ありき」の思考を相対化できるのでよかった。
しかし、抑止論が不完全だからと言って、現状の核抑止を外しちゃっていいかどうかの議論はなかったというか、外す方がよいということを自明として書き進めてた気がします(そりゃ、外せたらそれに越したことはないと私も思います)。
抑止論が虚構であることと、抑止論が不要であることはイコールではないと思う。
嘘も方弁で何かしらの役に立っていそうというモヤモヤがあるからこそ、「いえ、何の役にもたっていません、だから不要です」というあたりまで議論して欲し -
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豊下楢彦さんと古関彰一さんの共著なんだけどどうも古関さんが感情に流され過ぎた論を展開しているようでまずそこどうなのと思ってしまう。豊下さんの想定してる集団的自衛権行使の事例が起きる理由がないことや、北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性を言いながら原発再稼働を主張するのは矛盾だとかって指摘も、想定の範囲外がありえないこととか、未来にもしそれが起きたことを考えるなら妥当ではないと思う。
でもこの本に書かれてることで納得できることは多い。イラク戦争の総括がなされていない、戦略性が欠如し自身の歴史観に基づいた言動でいたずらに韓国を刺激したこと、尖閣国有化の経緯、自民党憲法改正草案のどうなのって点、国家がメ