たなか鮎子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いまここにある環境を受け入れ、実直に生きよと諭したり、想像もできないような難題への果敢なチャレンジを薦めたり。巷にあふれる「人生論」系の書籍は、このどちらかにまとめられるのではないかと思う。
前者は悟りを開いたように、欲望や憧れを捨て、現実を受け入れることで苦悩のない「自分らしい」生き方が可能になると説くだろう。そして後者は、常に現実を修正すべき不完全なものとして捉え、チャレンジによって現実を更新し続けることこそ「自分らしい」生き方への道と説くだろう。前者は「憧れ」を、後者は「妥協」を仮想敵としているように感じられる。
けれど、僕は疑問を持ってきた。欲望や憧れを捨てる仙人のような生活は到底できない。つねにリスクを負い、先行きのわからぬ海原に漕ぎ出すような勇気もない。どちらも極端なのだ。平凡な僕は、これらを見聞きするたびに自分の平凡さを痛感していた。
本書はそんな疑問への回答を鮮やかに示してくれたように思う。欲望や憧れと、現実への愛着は両立するのである。いま・ここの現実を受け入れ、そしてちょっとだけ良い明日を夢見ること。これこそ、しなやかな純粋さを抱えつつ社会と折り合いをつけてゆく、最大多数の回答なのではないか。一握りの英雄ではない僕らには、折衷案こそリアリティがある。
そして、相手に100%の理解を期待せず、なおかつ自分を表現することを恐れず、自分を他者へ開いていく、という言葉も染み渡る。とても救いになった。
学問的に言えば批判される点もあるのだろうが、少なくとも社会学的な人生論としてみれば、世に溢れる自己啓発本よりよほど僕らの実感に寄り添って書かれていると思った。まさに、「愛」に満ちている暖かい本だ。 -
Posted by ブクログ
心が落ち着く本でした。
繋がりすぎるのも離れすぎるのも寂しくて、付かず離れずがよいのですがなかなか難しい、他者とのつながり。
〈生のあじわい〉を深めるには…という問いから、自分と自分の周りの世界について考えてみる、という本で、読みながらわたしもこれからどう距離感を保って他者と関わって生きていこうか、考えました。
「ほんとうに好きになれること」は今のところ読書や映画鑑賞で、ここみたいに感想登録SNSに感想を書き散らかすことで他者との交流が生まれることもあるので、この生き方は合っているのだろうな、と思います。言葉を選ぶのは楽しいので、ちょっとだけがんばるけど無理はしてないし。
それから、他者との関係において、致命的な傷を負わないだけの「精神的な構え」を作っていくために、傷付くことを恐れすぎずに色々やってみようと思いました。
なんとなく、今の生き方を肯定されたようでちょっと嬉しいです。これからも生きられました。