見延典子のレビュー一覧
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我が家を建ててから、ようやく3年になる。
あの頃を思い出してみると、大きな失敗はなかったとは思うが、もう少し考えてから判断すればよかったかな・・
と思えることも幾つかある。
やはり「家を建てること」は普通は「一生に一度の大きな買い物」であるので、取り返しがつかないからだ。
この「家を建てるなら」という小説は、住宅にまつわる様々な問題をそれぞれ短編で仕上げている。
たとえば、「お隣との境界線」「シックハウス症候群」「ふきぬけ」「和室の位置」・・等々。
特にオレが「おー、そんなことあったな」と思い出したのが、「窓」というタイトルの短編。
これは、ある夫婦が新居の設計を有名な建 -
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山陽の名声はしだいに高まっていきます。九州への旅を終えた彼は、妻の梨影とのあいだに辰蔵と復蔵の二人の子をさずかり、さらに母の梅颸を京都への旅に招いてこれまでできなかった孝行を果たします。
その一方で美しい女弟子の江馬細香の存在が山陽の心をかき立て、彼のなかにひそんでいた「石」を抑えるのに苦しみ、新たな家を建てたり、骨董をめぐって同人たちと摩擦を繰り広げるような事件を引き起こします。梨影もまた、そうした夫の心の揺れ動きに不安を募らせます。さらに広島の頼家を継ぐことになった聿庵は、使用人のたみを愛するようになり、彼女とのあいだに子どもが生まれます。梅颸は事のなりゆきに心を痛め、聿庵自身も頼家の跡 -
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『日本外史』の著者である頼山陽を主人公にした歴史小説です。
上巻は、詩文で身を立てることを夢見る山陽が脱藩をくわだてて京都に上るもたちまち国元へ連れ戻されるという事件からはじまります。その後も夢をあきらめようとしない山陽は、みずからのうちにあって彼を突き動かす得体のしれない「石」を見つめながら、養子となるはずだった菅茶山のもとを飛び出して京都へ向かいます。
主人公である山陽の人物造形は、封建制度に反旗を翻して自由に生きようとする近代人であり、スリリングな展開が楽しめるエンターテインメント小説に仕上がっています。江戸時代の人間が「権利」ということばを使うはずがないといちいち目をむくような読者