天野頌子のレビュー一覧
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“「三井は随分、祥明のことを信用してるんだね」
「えっ」
三井は少し照れたように、頬をほんのりピンクにそめる。
「だって年末、あたしが困ってた時も店長さんが助けてくれたでしょ?だから、きっと今回も何とかしてくれるよ」
少なくとも祥明に対する好感度はかなり高そうだ。
うちの高校の女子の大半は店長か倉橋怜にあこがれているんだから、そんなの普通だよ、という江本の言葉を思い出す。
そうおす、これが普通なんだよな。気にしたって仕方がない。
「そうだね。ありがとう」
瞬太はもやもやする気持ちをふりはらってうなずいた。”[P.130]
5巻目。
纏めにかかってる感じがなくもない。
三井ちゃんの想い人の件は -
Posted by ブクログ
“「三井が気づいていたかどうかはともかく、とりあえず第一段階をクリアしたってことが重要なんじゃないか。次はいよいよ、好きです、付き合ってください、の方の告白だな。がんばれよ!」
江本はパンパンと瞬太の肩をたたいた。
これまでも瞬太は何度か三井と二人きりになったことはあったのだが、ドキドキすると耳や目がむずむずしてキツネに変化しそうになってしまい、恋の告白どころではなかったのである。
「え、でも、化けギツネだって告白したばっかりだし……」
「今のおまえの勢いなら大丈夫だよ」
江本はニカッと笑って右手の親指をたてた。
「そうかな?」
「そうそう」
「もたもたしてたら、三井を他の男にとられちゃうぜ」 -
Posted by ブクログ
“「じいちゃん、これどのくらい読んだの?」
「ほとんど読んだよ」
「まじか、すごいな」
漫画以外の本をまったく読まない瞬太は、感嘆と驚愕のまじった声をあげた。
「もしかして祥明も?」
「ヨシアキも子供の頃から、よくここにこもって本を読んでいたけど、せいぜい半分か三分の一だね」
「子供の頃から?」
「普通の男の子がやるような、サッカーやキャッチボールはあんまり好きじゃなくてね。雨の日はもちろん、晴れた日にも一人で本を読んでいたよ」
だから陰陽屋なんて妙な商売をはじめる大人になったのか、と、瞬太は納得する。
「そういえば、最近、ヨシアキの様子はどうかな?」
「あいかわらずだよ。面倒くさがりだし、子