現実の余りにも辛い悲惨で惨たらしい事実の証言です。
この世の中なにが正義で人道なのか、たとえ長い年月をかけてどんなに他人に何をしていこうとも、とにかく生き残ったほうだけが正義で人道になっていってしまうのか。
この地球上の誰も助けてはくれないのか。絶滅させられることが正義で人道になっていってしまうの
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中国は、王毅氏をはじめとして、ウイグル問題の話になると、欧米が今までに行ってきた、「アメリカ大陸先住民虐殺、黒人奴隷・虐殺、ユダヤ虐殺、オーストラリア先住民虐殺」の話を持ち出して、自分達はそれらとは違うという論法をしてきます。
すると途端に、欧米は現在進行形で行っている中国に対して、人権問題とかで強い姿勢になれなくなります。
生還者のグルバハール・ハイティワジさんは、一九六六年十二月二四日にウイグルのグルジャに生まれられました。
今はフランスで、故郷のお母様、妹、友人たちもまた、自分と同じように取り調べを受け、閉じ込められ、拷問され、人間の尊厳を失っていき、少しずつ、生きる意欲をなくしていくのかと思っていたときに
「ウイグル人としての私の務め」として、危険性を覚悟で本名を本書に記すことを希望されました。
それは、つまりグルバハールさんと関係のある、ウイグルの母、妹、友人たちも、今までよりもさらに危険性が高まってしまう。
エピローグの、二〇二一年一月時点では、グルバハールさんは、盗聴されているアップル社ののデバイスの画面を通じて、母や妹様たちとの、当たりさわりのない会話をされています。
それは、甥が松葉杖を使って歩くようになったとか、別の親戚の健康状態が思わしくないとかの話で、隠されたメッセージを読み取り、事情を察するしかない。
助からなかったすべての人に
裁判官役の警察官三人から再教育収容所に七年入所するという判決をきき、彼女は殺されるかもしれないと思いつめたあげく彼女は収容所での死を覚悟する。
「フランス政府も、フランスに亡命した家族も、自分を助けに来ることはできないだろう。中国の罠にはまった自分はもう永遠に助からない」と彼女は思った。
再教育収容所では、あらゆる収容者が心身ともに破壊され、人間の尊厳を根こそぎ奪われる。家族も地獄のような生活。取り調べを受けるにつれて心の健康が損なわれ、再教育が進むにつれて無関心になり、記憶力が弱くなる。
さらには、自分のことさえどうでもよくなってくる。別の収容者の押し殺したすすり泣きが、部屋のドアの閉じる音でぴたりと聞こえなくなる。
「再教育」が進むにつれて、人間らしい感情はだんだんと消えていってしまう。
そして何をされたとしても、精神的に死んでいるために、何も感じなくなっていく。
やりかたは、冷酷に殺すのではなく、ゆっくりと絶滅させるために仕組まれたシステム。
それぞれにどんな個性があろうと、ひっそりと忍び寄ってくるのだ。わずかな干渉から始めて、大掛かりな攻撃へと規模を拡大する。そのようにして再教育の方向へと進んでいく。
無実という判決から収容所から解放され、故郷に老いた母親と妹を残して、フランスへ帰国したが、財物ウイグル人達からは、なぜグルバハールさんだけが収容所から途中で出てこられたのか?と、自分が犠牲者としてではなく、隣人の行動を探るスパイ、仲間の間に潜り込んだ裏切り者とみなされる。
エピローグで
ウイグル問題は衝撃的な事実だが、中国は国際社会にどう見らるかを気にしているのであるから、怒りの感情にとらわれそうになっても、冷静に関心を向け続けることが有効な手立てにつながるはずた。
現在の少数民族政策を維持していたのでは対面が保てない、と思わせることが第一歩だろう。
と記されています。
中国に、今までの欧米のやってきたことの話を持ち出して、ウイグル人ジェノサイドの言い逃れをさせることをやめさせていかなければいけません。