吉田晋治のレビュー一覧
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激変する環境と複雑で深刻な問題に満ちた不透明な世界で、企業に期待される役割は極めて大きくなっている。一昔前までなら政治家が果たすべきと考えられてきた社会全体に対する重要な役割のいくつかは、今では企業の役割と考えられ始めている。
企業がこうした期待に応えて機能していくためには、社内のレジリエンス(適応力·回復力·対応力)を高めるために、社内の対人関係を活発化しつつ知識やノウハウの融合や創発を促しこれを蓄積し活用する仕組みを作るとともに、社員の精神的活力の向上に努めなければならない。
そして、サプライチェーン全般のコントロールを意識し、貧困や環境問題に悪影響を与える活動にならないようにコミットしつ -
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「レジリエンス」という言葉を詳しく知りたいと思い、手に取った一冊。名著「ワークシフト」で知られる経営学者が、個人・組織、地域社会、さらには世界全体のレジリエンス(回復力、耐久力、復元力など)を高めるために、企業やそのリーダーが成すべきことをまとめた提言書。
著者は企業のレジリエンスを3段階に分類している。1つは企業内部であり、多様性のあるネットワークと従業員の精神的活力によって、知性や知恵を高めることが課題である。次に社内外の垣根を取り払い、バリューチェーン上の全てのステークホルダーや地域社会と共生することが重要だと説く。最後に企業のレジリエンスは貧困や環境など、今日の世界が直面する課題の解 -
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私は、企業とはこれまで、どれだけ口では「社会のため」、「Sustainability」、「環境が大切」、「お客様の喜ぶ姿のため」とは建前を言ってみても、結局、究極的には利益の極大化のため、反社会的な行動も屁理屈で「正義」に見立てて、また、社会に責任を転嫁して活動するものかと思っていたが、実際にはそうではなく、建前ではなく信念として行動すべきとが良くわかった。今後の参考になる、有意義な読書だった。
以下、印象に残った言葉を・・・。
・失敗は素晴らしい企業をつくるための金鉱。リスクにあえて挑む。
・精神的活力を高める。生活の自然なリズムに逆らって全力で働くようになると、精神的な余裕が失われ、洞 -
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著者が期待する企業の善行に関しては、株主が先ず変わらねばと思うが、至近、まるでCMスポンサーにクレームをつける輩の如く、株主も企業の倫理観に対して厳しくなった。そのため、企業側もESGの意識が高まってきたのは事実だ。しかし、企業存続にはどうしても利益追求が必須であり、企業側には、単に気にするパラメーターが増えただけ、とも言える。
偽善ではなくとも、風評を気にして対処しなければならない局面もある。また、企業もそれを煽る社会も良かれと思いながら、期待していた成果が得られないケースもある。例えば、インドとパキスタンではアパレル関係の縫製工場から子供の労働者を雇い止めしたが、結果的に子供たちは家計を -
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・企業として、人々の役に立ち、他者と協力するという自然な行動を従業員に促す社風をつくる
・短期主義や株主価値の偏重といった障壁を乗り越える勇気、かつてないほど声高に要求してくる市民に対応する勇気、現在と未来をつなぐメッセージを発信して説得力を生み出す勇気。リーダーに従う人々は、リーダーを観察してこの勇気があるかどうかを見極める
・本物のリーダーを目指す過程は経験を自分のものにするための「内なる旅」と呼べるかもしれない。充実した人生とは「内省のある人生」である
・その企業のリーダーが何を行っているか―?どのようにして従業員のレジリエンスを高めているのか?近隣やサプライチェーンに対して何をおこなっ -
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「ワークシフト」と「ライフシフト」の間に挟まれて、あまり目立たないグラットンの「未来企業」。原題はKey。
今ひとつ、受けなかったみたいだけど、グラットンによると、これまでになく苦労して、自分の安全圏を乗り越えて、書いた力作とのこと。
位置付けとしては、「ワークシフト」が働く側に立っていたのに対して、「未来企業」は、同じトピックを企業側から考えたもの。
そういう意味では、通常の「経営学」の本に近いかな?
確かに「ワークシフト」と「ライフシフト」に比べると、やや地味だけど、個人的には、結構、楽しめた。
結論からいうと、ここで言われていることは、「ティール組織」と同じ方向に向いているとい -
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ネタバレ『ワークシフト』で一躍有名になった、リンダ・グラットン教授の「企業版働き方本」。三つの領域でレジリエンスを高めよというメッセージである。
(領域1)内なるレジリエンスを高める
(領域2)社内外の垣根を取り払う
(領域3)グローバルな問題に立ち向かう
具体的なメッセージの一つひとつは、すでに多くの経営論で紹介されているものも多いが、事例を丁寧に重ねているので理解しやすい。ただ、他の方の書評にもあるように、「レジリエンス」がメインコンセプトでありながら、その意が日本人にポンッと馴染むものにまで昇華されていない感がある。
しかし、「サステナビリティ」というタームがそうであったように、今後の社会の