砂川秀樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルの通り、セクシュアルマイノリティの「カミングアウト」に関して扱っている。カミングアウトとはどのようなものか、カミングアウトする理由、する側/される側の葛藤や受容までの事例からの考察など丁寧に説明される。
このテーマは、当事者にとって様々な葛藤の種になると思う。でも、なぜ困難なのか、自分はどうしたいのかを明確に表現するのは案外難しい。自分の言葉で表現するための良い材料になってくれるように思う。
各章で「カミングアウトストーリー」と題して、カミングアウトした人/された人の話があり、それを元にして話が進む。このストーリーは当事者なら心に来るものがあると思う。この形式が素晴らしく、内容が頭 -
Posted by ブクログ
「カミングアウト」とは一般的に、LGBTの当事者が自らのセクシュアリティを周囲に告白する行為だと理解されており、そこでは告白する主体にフォーカスがあたる。しかし、8人のカミングアウトストーリーを元にまとめられた本書では、カミングアウトをこう定義する。
「カミングアウトは、伝える側と伝えられた側との関係が作り直される行為だ。いや、作り直される行為の始まり、という方が正しいだろう。なぜなら、カミングアウトは伝えればそれで終わり、というものでもないからだ。」
(本書p3より引用)
本書で語られるカミングアウトストーリーはいずれも、カミングアウトを受けた家族や友人という周囲の人間が、それをどう理解 -
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Posted by ブクログ
特別な人たちではない「生活者」の人々の手紙。
たくさんの葛藤、困惑、痛み…の先にあるのは、誠実で真摯な思いだった。
セクシャルマイノリティが「特別」と括られている訳じゃなく、当たり前にそこに存在している人であった。同じ目線の高さで当事者と家族や先生が話していて、これこそ「社会の多様性」だ、と感動した。
一方、最後の対談で、どこか理解したくない部分を持つ一人のお母さんがでてきたが、全てを理解をすることは単純じゃないな、と感じた。でもそれを否定することは違う。
理解しようとしてくれる、そうまでいかなくても否定しない。それだけでも多分良いんだと思う。
現代は「多様性」がキーワードとなっている。 -
Posted by ブクログ
セクシュアル・マイノリティは、国や宗教や階級階層に関わらず、どこでもぽつんと生まれてくる。多くの場合家族はセクマイじゃない。自分がマジョリティじゃないことについて、言っちゃいけないことと思って育ってきたこどもたちが、ついに親や教師にそれを言うと、セクマイじゃないにも関わらず?そのことを真摯に考えなくちゃならなくなった大人はびっくりしたりするのだが、本人も家族も、社会の中で頭の中身を作ってくるから、まぁ大変なわけよ。この本には、テレビに出てくるようなんじゃないふつー?の人たちの往復書簡が収められてるだけ!なんだが、考えるべきことの多さったらないぞ。
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Posted by ブクログ
LGBTの当事者(ここではLGの方々)が親や恩師にカミングアウトし、相手が当事者にその返信をする往復書簡。
手紙の前に口頭でカミングアウトを受けているが、ここに出てくるどの親も(皆、母親)その瞬間、かなりショックを受けた様子がわかる。
長年、子育てしてきても、我が子がLGBTであることに気づけないということなのか、と受け取った。
ということは、当事者は、そんなに身近にいる人にさえ、分からないように、気づかれないように、隠して生きてきたということでもあるのか。
昔は、ゲイやレズビアンは、笑いのネタ、蔑みの対象として見られていて、テレビでもバラエティーなどで面白おかしく取り上げられていて、実は自分 -
Posted by ブクログ
前半の親子の間でのカミングアウトの往復書簡を読んで、同性愛のことよりもお互いを思い合う親子の絆が印象的だった。同性愛者だということは、それ以外にもたくさん存在するマイノリティなことの一つに過ぎず、誰しもが何らかの特性においてマイノリティでありえるから、当事者も周囲も同性愛について特段気にしなければいいんじゃないか、と思った。
けど、おわりに のところを読んでその認識を改めた。世の中の仕組みから他愛無い日常会話に至るまで多くのことが異性愛を前提に回ってしまっているので、当事者は同性愛者であることによる生きづらさを感じるし、自分がそうであることに嫌でも意識がいってしまう。確かに誰しも名前を間違っ -
Posted by ブクログ
NHKの書籍紹介で3度も見て、じわじわと「あ、これ読んだほうが良さそうだなぁ」と思い、拝読。
やっぱり読んでよかった。
ジェンダー問題については身近に当事者もいるが、往復書簡を読むのは初めてだが、手紙をやり取りする、親と子、生徒と教師はお互いを尊重し、想い合っていることがわかる。
知人(知人とも呼びたくないが)が教師という立場でありながら、面白おかしく学生のアウティングをする場面に立ち会ってまったことがあってから、モヤモヤしてその人と会うたびに嫌な気分になっていたが、「自分のことではないけど、あのとき私は傷ついたんだな」とこの本を読みながら振り返られた。
この本が発行されたころと比べて、セクシ -