松永多佳倫のレビュー一覧
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プロ野球ファンならずとも、掛布が衣笠が江川が…なぜ監督になれないの?と思ったことがあるはず。衣笠は鬼籍に入り、掛布と江川は待望論は根強いも今や齢67…。
なぜなれなかったのか…。それはあの事件か、借金か人格か…と理由はまことしやかに語られるも所詮噂のレベルを超えるものはない。
本書には昭和・平成のプロ野球史に輝かしい成績と戦績と記憶を残した5人が取り上げられている。門田博光・田尾安志・広岡達朗・谷沢健一・江夏豊。ちなみに監督経験は広岡・田尾。
読み了えた感想は、球団を代表するスーパースター・功労者はその球団の監督になるのが当然。とりわけ生え抜きであれば、なおさらという思いに囚われ過ぎているのではないか…。
単純になりたくないのかもしれないし、諸事情から好機を逃したケースだってある。にもかかわらず、なれない然るべき『瑕疵(かし)』を嗅ぎ回っている気がしてならない。
瑕疵は欠陥・不具合・傷を意味する。本書はその瑕疵にフォーカス。ここでいう瑕疵とは、徒党を組まず、筋を通し、忖度せず、正論を語り、信念を突き通したゆえに孤高のプレイヤーとして終える。この一徹さが監督やフロントに扱いづらいヤツという印象を与え、不遇の扱いを受けたことを意味する。
門田は毎打席ホームランを目指す打法に固執、それをからめ手を用いて阻止する野村克也、広岡は打撃の神様 川上哲治の拙い守備を、哲のカーテンの川上采配を批判、干されるも己の道を希求、不偏不党の田尾はお山の大将 星野に森に村山に楽天監督時代は三木谷氏に直言、親分肌 谷沢は派閥を作らず開放的性格を星野に嫉妬され強引に引退、江夏は村山引退後は血行障害に苛まれながらも細腕繁盛記よろしくエースとして孤塁を守るも阪神のお家騒動から南海へ。
〈出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない〉やというが、現実は中々そんなに甘くない。ここまで書いて落合がドラゴンズナインに向けた言葉を想起。『俺は好き嫌いで起用はしない、必要かどうかで判断。ただ必ずしもそうではない。嫌われても使わざるを得ない、圧倒的な力を持った選手になれ!』
オレ流を貫いた落合だけに説得力はある。還暦間近な人間から見れば、圧倒的な力を持っていようとも〈人間には好き嫌いの感情がもたらすダブルスタンダード〉という物差しが厳然とあるんだよと付け加えたい。
監督になるのが目標ではなく、タクトを振るうことにより達成したい野望があるのなら、時に自身を曲げ、相手の懐に入ることも肝要だと思う。そう、大義成就のためには。
生来の性格もあるが、現役時代の輝かしい実績があれば、監督やコーチにならずとも、セカンドキャリアに思い悩むことなく、猟官運動に奔走する必要が無いとも言える。
元ロッテ里崎の様に、1軍コーチでさえ薄給、飲食店経営もリスキーと見なし、現役時代より引退後を想定。蓄財に精励し蓄えは十分。ゆえに野球解説やYouTubeでは遠慮会釈なく語る御仁もいる。
信念を貫けば確執は生じる。この5人は現役時代に不遇をかこったかもしれない。たが、その信念・一徹さが現役時代の輝かしい成績を生み、レジェンドとして評価されているのだから、監督になるとか、ならないかは実に取るに足りない見方だよなぁってことを教示してくれた一冊。
ひとり70頁ほどなのに1冊の伝記を読み切ったぐらいの熱量をビジバシ感じる力作。 -
Posted by ブクログ
2010年、沖縄の興南高校が春夏の甲子園を連覇したことは記憶に残っていない人も多いかと思います。史上6校目の春夏連覇は、県外出身者が一人もいないベンチ入りメンバーで達成された偉業でした。本書はその当時の選手、監督が”その後”をどう生きてきたのか、偉業達成から10年後に振り返ります。
意外だったのは卒業生の大部分が大学、社会人で野球人生にピリオドを打っており、野球とは決別した人生を送っている事実です。高校野球で甲子園出場、しかも春夏連覇と言えば相当な野球エリートという印象を持ちますが、2010年の興南高校は傑出した個の才能よりは、メンバーの結束力で勝ち取った偉業だったことが本書から伝わります。
当時のエースは大学でイップスを患い、プロ野球に進みますが1軍登板数試合の結果を残して引退し、現在は母校の教員として後輩の指導に当たっています。
またあるメンバーは野球は高校でピリオドを打ち、JICAでソマリアの復興に携わっていたり、大学時代に公認会計士試験に合格し、家業の会計事務所を継いでいる人もいます。
そして本書の一番の読みどころと感じたのは、「少し長い目のあとがき」で紹介された背番号を付ける事が叶わなかった部員の証言です。
夏の大会を前に背番号とともにベンチ入りメンバー発表の直後、ベンチ入りメンバーから落選したチームメイトが寮の自由時間に寡黙に素振りをしている姿を見て自らの気持ちを奮い立たせた部員、「今はベンチ入りが叶わなくても、卒業後の次のステージで開花するかもしれないから、その時のために今頑張る」と自分の気持ちに折り合いをつける部員…。
著者も”あとがき”で書いておられますが、普通の人が社会に出て30代、40代で経験して、なんとか咀嚼できるような経験を17、18歳で経験し、20代には自分なりに整理できている故に強靭な精神力が身に付いているというのは、非常に腑に落ちるエピソードと感じました。
プロ野球で活躍するような超エリートではなく、挫折を経験して乗り越えている姿に共感できたノンフィクションでした。 -
Posted by ブクログ
1990年代に沖縄水産高校の監督として甲子園の常連だった裁弘義氏(故人)の高校野球との関わりを通じた生涯を追ったノンフィクション。裁氏がすでにお亡くなりになっておられるので、教え子に当たる元野球部部員や、同僚の教員、コーチなどの証言をもとに裁氏の人間像を描きます。
高校野球中継で見た好々爺然りとした外見とは全く異なり、元部員曰く「近くにいるだけで吐きそうなぐらい怖かった」という程の練習を課し、当時の内地から見下されていたレベルであった沖縄の高校野球のレベルを強豪県と呼ばれるまでのレベルに引き上げました。
沖縄が内地に対して誇れる物を持つことができた事への最大の功労者が裁氏であることは間違いなく、本書のタイトルが誇張でないと感じました。
内地へのコンプレックスや、のんびりとした県民性、出る杭を打つ島独特の閉塞感など、周囲の環境を敵にまわしつつ自分の意思を貫く生き様は壮絶です。 -
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球界で辛辣な意見を常に発信し続ける人と言われれば、真っ先に思い浮かぶのが広岡氏。本書は広岡氏の球歴に沿って、広岡氏の考え方、広岡氏に影響を受けた数多くの選手、コーチの証言をまとめています。
巨人で現役を引退後、広島(コーチ)、ヤクルト(監督)、西武(監督)、ロッテ(GM)と活躍の場を移していかれました。現在ならアスリートが食事にも気を配るのは当然と思われていますが、野球選手が”酒の飲みっぷり”や”夜の遊び”を武勇伝として誇っていた1970~80年代に、食事や飲酒、喫煙の管理に乗り出した広岡氏と選手が対立するのは避けられない状況であったのがよく分かります。
広岡氏の考え方は、今なら落合博満氏と似ている気がしました。「人に何を言われようと、”勝つため”に必要なことを徹底する」シンプルですがやり切るのは大変です。それだけに周囲の人間関係がギクシャクすることもあり、広岡氏もマスコミなどからどちらかというと冷徹、悪役として表現されることが多かったように思います。
人間関係や周囲の雰囲気を気にするあまり、「言うべきこと」さえきちんと言えていない事が多くなったような昨今、広岡氏のような生き方、振舞ができる人の存在は、近くにいる人は煙たいかもしれないですが、得難い貴重なものだと感じました。
広岡氏と対立した人たちの証言が少ないので、広岡氏=善、対立勢力=悪 という描き方が所々見受けられるのは少々気になりますが、そこを差し引いても広岡氏の生き方、考え方がよく伝わって来るノンフィクションでした。 -
匿名
内容紹介の日本語間違ってる
忖度と言うのは相手の心情を察すると言う意味で推測の類義語に過ぎない
忌憚なく球界を批判すると書くんだよ。そういう時は
モリカケ以降に忖度とか使う人間、覚えたての言葉を使いたがる(しかも間違って)ガキのように見える